あらすじ
戦争をはじめとするすべての暴力、犯罪、差別、偏見、いじめ、虐待、搾取、不自由の無い、真に平和なホワイト社会が実現できたとき、宇宙は定常状態となり永遠の幸せが到来する。これは人類が真の安心と愛を勝ち取るまでの道のりを描いた物語である。
人類の歴史は戦争の歴史と言って過言ではないくらい、常に戦争や争いにまみれていたが、わずかな間、戦争の少ない平和で幸福な期間を過ごせることはあった。その平和な時代でさえ、貧困に苦しみ挙句に犯罪に手を染める者も居たし、法律に触れなくても偏見や差別といった人権問題はそうと認識されない時期さえあり、無くすことは難しいのではないかと思われた。戦争もいずれは勃発してしまい、真に平和な世界が訪れることは無いのではと、世界中の人々は常に不安を抱えて生きていくことを余儀なくされていた。
格差が拡大してしまった時代では搾取が横行し、詐欺などの犯罪が急増して社会全体が不安に包まれている状態であった。元々「悪」とは遠い位置にいる人間でさえ、出来心だったり欲が強すぎることなどが原因で悪事を働くことがあった。人間の中にあるほんのわずかな「悪」の欠片でさえ常に、僅かながらも人の考えや行動に影響を与え「悪」の道へと人を誘おうと試みるのだ。なので、「悪」の存在は一点たりとも許すことは出来ない。「悪」は完全に消滅させなければならない。
地方公務員の結城真はある考えにとらわれるようになる。人類が近い将来滅亡してしまうのではないかという不安である。それを食い止めるべく、一つのブログを立ち上げたのだ。世界を永続的にして、人類が生き延びられるよう、いくつもの手立てを提案し実行に移すことを促す内容であった。たまたまそのブログを見つけた天才SE真白時が触発されて、その実現のためエターナルシステムを開発する。エターナルシステムとは仮想空間上に世界を創造することを可能としたシステムである。開発は叔父の会社で働きながら行ったため、エターナルシステムの権利は叔父の会社が持つこととなっていたが、当時すでに巨大多国籍企業に成長していたワッフル社が会社ごと買い取り、ワッフル社は社運をかけ、エターナルシステムを用いて仮想世界「テラ」を創造する。「テラ」は現実の地球をはじめとする人類の版図を可能な限り再現して作られた世界である。ワッフル社は「テラ」をはじめとする仮想世界に入り込むためのVR機器の開発を始め、真白時は仮想世界の中で五感すべてを感じ取れるようになる「五感ジェネレータ」の開発にも成功する。現実世界の体が仮想世界のアバターと同じ動きをしないように制御する技術も開発される。これらのおかげで仮想世界にフルダイブすることが可能となった。早速ワッフル社は「テラ」内の社会システムや金融システムを開発し運用を開始する。「テラ」にアカウント登録する際に必要な条件は3つ。
・すべての宗教を放棄することに同意すること
・核エネルギーおよびこれに比類するエネルギーの平和利用に同意すること
・「悪」を根絶することに同意すること
であった。世界中で若い人を中心にアカウント登録が進み、「テラ」の住民は順調に増えていった。「テラ」ではすべての住民に所得税、消費税と累進的な金融資産税がかけられる代わりに、生活に必要なベーシックサービスと基本収入であるベーシックインカムが支給される。犯罪は犯そうとする前に警告が現れ、無視して実行するとすぐさま検知されて処罰される。犯罪を犯した者は行動を制限されるようになったり、悪質なものにはアカウント停止の措置が取られるため、未解決の犯罪は皆無である。戦争も起きない。また、「テラ」に通貨「ドレン」が設定され、ドルや円、ユーロなどの通貨と交換可能であった。そのため「テラ」でのベーシックインカムを現実世界での生活費にする人も居た。「テラ」の住人が増えていく過程で他通貨からの資金の流入が続きやがては世界中のかなりの割合の通貨が「ドレン」に替えられていた。「テラ」への住民登録を拒み続けてきた各宗教の信者たちも、「テラ」での生活の快適さに気付き徐々に宗教を放棄し「テラ」への住民登録を進めていった。これで宗教による対立がなくなっていった。教会や寺院など宗教的施設は文化遺産へと変わっていった。そのころ現実世界の各国ではAIの開発が盛んに行われていたが、人間と同様に考え、意思や自我をもつAIは開発されることは無かった。しかしAIは高度に発展したため、技術的特異点「シンギュラリティ」が到来する。様々な分野で革命的な発展が起こり、生命科学も信じられないくらい高度な発展を成し遂げた。人体の細胞をすべて入れ替えて若返ることが可能となったため、人類は寿命というものから解放された。同時に新たな生命を多数生み出し続ける必要がなくなった。脳もAIと融合し人間の知能は以前とは比較にならない高度なものとなっていた。生命革命を受けて「テラ」もAR化し、現実世界と「テラ」は融合を果たす。宇宙の寿命が来るのはまだまだ先のため、ホワイト社会が永続する「エターナルドットホワイト」に近い状態となった。犯罪など「悪」のこころが原因でおこるものは未然に防がれることが多かったが、「悪」の存在がある限り完全な平和とは言い難い。さらなる技術革命で人間の持つ「悪」の欠片を結晶化し追い出すことに成功したが、結晶は宇宙の各地へ散らばって行ってしまった。人類は「悪」を追跡、完全消滅させるための艦隊を編成することにした。太陽系の資源を使いすぎないよう、人類は他星系への進出を開始し、宇宙各地で「悪」を探索、討伐する戦いが始まった。時は流れて他銀河へも進出していった人類。「悪」を探索、消滅させるための技術は究極まで進歩し次第に「悪」の欠片は減少していく。また、消滅できなかった場合でも欠片を追い詰める技術、誘導して一点に集めるための技術も究極まで進化していたため、人類をアップデートした最終進化系「Type11」(タイプイレブン)の活躍により、ついに「悪」の存在を一点に集め弱体化することに成功した。
ここで「悪」を消滅させるための新たな艦艇、超弩級攻撃専艦が開発された。攻撃に特化していて防御のことは考えないがいざというときは絶対防御の救命ポットにより脱出し、被害者が出ないつくりである。この時代、操艦は11人で行うことが主流となっていて多くの艦艇に「Type11」のクローンが搭乗していた。「悪」の存在を消し去るため、数えきれないほど多くの艦艇が終結し作戦を実行する段階となった。一点に集められた「悪」を消滅させる作戦は3段階。まず第一段階で逃げようとする「悪」を補足・攻撃して一点にとどまらせる作戦。第二段階では高出力の攻撃で「悪」を消し去ることを試みる。あわよくばここで作戦は終了する。第三段階では残った「悪」を土に帰し他の物へ変換することで悪を消滅させる。第二段階で「悪」が消滅する確率は90%以上、第三段階では100%である。
この作戦により「悪」を完全に消滅させることに成功した。これにより宇宙から犯罪はなくなり平和な世の中が訪れた。また、宇宙の意思の導きにより宇宙は定常状態となり永続するものとなった。「Type11」は宇宙のある地点に21世紀の地球を模した「楽園」を建設することにした。宇宙は定常状態なので「楽園」では真に平和で安心できる世界が永遠に続くことになる。個人の意思や個性を尊重し真に安心できる愛に満ちた幸せな世界が永続するのだ。エターナルドットホワイトの到来である。宇宙各地に広まった人類の末裔も「悪」のこころを持っていないため故意による犯罪は起こらない。「テラ」創造時に宗教を放棄しているため宗教的な対立も起こらない。自然災害も極限まで進歩した文明により対策され、被害は最小限に抑えられているため、どこへ移住しても平和に安心して暮らせる。ここにきて人類は真に平和で安心と愛に満ちた宇宙にたどり着くことが出来たのであった。




