表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名もなき盾  作者: 安楽公の罠
第1章 勇者リナ編
5/15

旅路と成長

【前回までのあらすじ】

幼馴染のリナが勇者に選ばれ、アレンは結界士として旅に加わる。

仲間たちがそろい、一行は静かに旅路を歩み出した。


 旅は順調ではなかった。

森や荒野で幾度も魔物の群れに襲われ、窮地に立たされることもあった。


 だが、そのたびに私たちは連携して乗り越えてきた。

リナは先陣を切り、ガルドがそのサポートに入り、リディアの祈りが後ろから支え、カインが素早く隙を突いた。

私はただ必死に結界を張り、仲間たちを守った。


 戦いを重ねるごとに、皆の動きは洗練されていった。

互いに息を合わせることを学び、確かに一行は「勇者の一行」と呼べるものに近づいていた。



 時に、進軍の途中で罠に出くわすこともあった。

落とし穴、仕掛け弓、毒針の隠し扉。


 「こういうのは俺の仕事だな」

カインが前に出るとき、他の者は一歩下がった。

私を含めた仲間たちは結界の中で息を潜め、万一に備える。

私はそれを誇りに思いながら、結界の強度をさらに増した。



 ある日、森の奥で異様な気配が走った。

草木を踏み割る音が幾重にも重なり、数え切れぬ影がこちらに迫る。


 「魔物の群れだ!」

カインの声が響くより早く、リナが剣を抜いた。


 「一番槍は任せて!」

リナは真っ先に突っ込む。

続く巨躯のガルドが吼え声を上げて追い、後衛のリディアが祈りを始める。


 私は反射的に前へ出た。

リナがぶつかる地点を予測し、その瞬間に合わせて結界を展開する。

牙を剥いた魔物が突進するが、結界に弾かれた刹那、リナの剣が閃いた。


 叫び声と血飛沫。

ガルドの大剣が振り抜かれ、結界の向こう側に突破口が開かれた。

私はすぐに結界を張り替え、彼女の背を守り続けた。



 戦いの後、皆が息を切らしながら笑っていた。

互いを信じ、命を預け合い、成長を実感できる瞬間だった。


 「ね、見たでしょ! やっぱり私たち、いけるよ!」

リナが剣を鞘に納めながら声を弾ませる。


 「まったく……無茶の後始末は骨が折れる」

ガルドが苦笑混じりに言うと、


 「でも決まってたよな! 俺の斥候あっての勝利だな!」

とカインが胸を張る。


 「違います、祈りがあったからです」

リディアが眉を寄せて抗議し、また笑いが起きた。


 私は何も言わなかった。

ただ口元が緩むのを抑えきれず、仲間たちの輪の中に立っていたのだった。



お読みいただきありがとうございました。

次回は 10/15の朝8時ごろ を目安に投稿する予定です。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ