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12-2 靴に刻まれた秘密

倉庫の奥、積み重なった靴の山の前で、有栖は息を整えていた。

マダガスカルの革、古い注文票、縫い目の歪み、色の微妙な配列――

すべてが町の過去と現在を映す暗号として、じわじわと浮かび上がる。


「……靴は、ただの履物じゃない」

有栖はノートを開き、靴底の刻印を一つずつ線でつなぐ。

過去の事件現場、町の路地、住人たちの微妙な行動――

すべてが、靴の中に隠された地図のように現れる。


森田刑事が静かに覗き込む。

「有栖さん……この靴、色や縫い目のパターンが過去の注文と一致しています。犯人はここまで計算している……」

有栖は頷き、じわじわと理解する。

「そう、犯人は町全体を使い、靴で私たちを誘導している……」


一足の靴が、特に目を引いた。

マダガスカルの革で作られ、底には複雑な刻印。

「これは……犯人の最初の挑発状」

有栖は指先で刻印をなぞり、暗号の意味をひとつずつ解読していく。


刻印が示すのは、町の古い倉庫、かつての不審死の現場、そして過去の事件に関わった人物の足跡。

さらに紐の結び方や色の配列は、町の路地図と微妙に呼応している。

「……すべての手がかりが、靴に刻まれていたんだ」


夜霧の町を歩くと、無意識に靴を選ぶ住人たちの行動も、じわじわと暗号に組み込まれていた。

その瞬間、有栖はひらめく。

「……これが、町全体を使った犯人の仕掛け……そして、二重の影の存在も……」


店の奥で微かな足音がする。

振り返っても誰もいないが、靴の擦れる音は確かに存在する――

町全体がじわじわと犯人の意図に巻き込まれている。


そして、有栖はノートに最後の線を引き、囁いた。

「……靴に刻まれた秘密、これでやっと全体像が見えてきた」


町全体の迷宮、住人たちの行動、過去の事件、遠くマダガスカルの革――

すべてがつながる瞬間、読者はじわじわとクライマックスへの期待を高める――。


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