少年達は海底鉱山を探索する
守護魔法によって船酔する事のない魔法使いたちだが
波に揺られながら食べる食事には苦戦を強いられていた
そして次の日の朝、ロイの父親が探索に入った海底鉱山付近に到着するという事で
3人は浄化魔法をかけ身を清めて、早めに眠りに付こうとしていた
レヴィンは早く仲良くなるようにとあれこれ提案していたが却下され
船室の一番後方にロイ中央のやや前方にレヴィン前方にカルレアとリレアが骨を休めている
『明日の探索心配だからカルレアとリレアは船上で待機してくれないか?』
『私達は"君"が心配だからついていくんだけど』
少し距離を取った言い方でカルレアは反論する
『あの弓、無詠唱で複数の魔法を放つ事ができて俺と相性が良すぎる』
『弓があれば私達は要らないト?』
『過剰戦力だから、船を守る分担も悪くないと思ったんだ』
『あいつの思惑通りに進んでるのが気に入らない、レヴィンが私達を放って進めてるのも気にくわない』
『一番に考えてるのはカルレアとリレアだよ、相談しなかったのはごめん』
私とリレアも仲間として一番に考えてるから、こうなってると反論しようにも
どちらかが折れない限り平行線のままであることにカルレアは気付く
『ロイ少年、落ち着きすぎてるし可愛げが無いのよレヴィンは尻尾振って見せるし
....弟が変な女に奪われた気分だわ』
『...男相手に嫉妬しないでくれよ』
『正体不明過ぎて、本当に男なのかも怪しくなってきたネ』
『一緒に水泳したことあったけど男だよ確実に絶対』
後方で休んでいるロイはその話し合いを踏まえて
カルレアの前ではレヴィンと触れ合いを抑えて提案をし過ぎないよう決めた
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大海原にぽつんと海から小さな山が顔を出している
『俺が...お前らに優雅な船上生活を送らせてやるからな!』
指名手配犯が高らかに宣言する
『魔石を売るのも船を買うノモ私達...』
『その実態は、自分の夢を叶えるために二人の女の子の一肌を脱がした不埒者』
『ふ・・・ふん、存分に未来の恩人の顔に泥を塗るが良い』
『私誰かさんを拾ってあげたのに』
『そのせいでシにかけたのニ』
『故に少年は美少女姉妹への1つ目の恩返しに船を買いたい!!』
冗談から始まった流れが不穏になっていたので本音で引き戻すレヴィン
結局心配だからと船にいるのも怖いというカルレアによって
当初の予定通り4人で錨を降ろし、ぽつんと浮かんだ小さな山に上陸し
山頂の人2人分の小さな穴から落ちて探索に入る
『魔石の影響で転移は出来ないけど、互いに視界に映る範囲なら杖の先に召喚出来るから
僕の杖を皆登録して欲しい』
ロイは自分の杖を取り出し、召喚魔法の登録を全員にさせた
毒ガスが蔓延してる可能性を踏まえて守護魔法
本来なら大量に物を収納する魔道具に地上の酸素をふんだんに取り込ませた
『『『『風よ、翼となりて我を支えよ』』』』
皆が風魔法を発現させ、降下に備える
弓を身に着けたロイが風魔法を纏い先に降りて安全を確認した後
2番目にレヴィンが最後に二人が一緒に降りた
穴から落ちると30mほど落下し続け、真下には汽水湖が出来ていて
壁や地面に色んな魔石が埋まっている為に
薄暗い夕暮れにきらきらと星が輝いているような空間だった
レヴィンが風魔法で浮遊し陸地に向かう所で
湖から上半身には鼠と下半身には猫が混ざった奇妙な化物が不思議な水の魔法を発現させ
空中でも構わず追いかけてくる
『こいつ!?無詠唱で!!』
『魔法矢』
瞬時にロイの矢が化物の体を捉え貫き絶命させる
ロイの方に向かうと既に奇妙な生物の死体に囲まれていた
『何でこいつら魔法使えるんだよ、無詠唱で』
『魔法の発動前に声は聞こえるよ、人が理解出来る言葉じゃなくても魔法は発現するんだろうね』
ロイは足を蹴り魔道具を発動させる、中から剣が出てくる
『レヴィそれ使って、君の為の剣なんだ。父さんのだけどね』
なにやら穴が沢山ついており
刀身には蔓のように枝がまとわりついており、鍔には沢山穴が開いている
『この枝邪魔すぎないか?枝の部分斬れないだろ』
『使用者の魔力量や技量によって変化する剣だよ、握って魔力流すだけで起動する』
『そんな面白い剣なのかよ!!....いや変化しないけど』
『まだまだ未熟って事だろうね』
『失礼な剣だな、その弓の方が欲しいぜ』
ロイは会話しつつも降りてきたカルレアとリレアが安全に降りてこられるよう
発現させていた魔法矢で魔物を次々と撃破する
レヴィンは光魔法を展開し照らしつつ、魔石が付いてる死体を漁り続ける
『デカくて足の生えた俊敏なミミズ見つけたわ・・・『『気持ち悪い』』
カルレアとリレアは二人抱きしめ合って震えている
レヴィンは地上で見た事のない生物達に興奮していた
『うわ沢山孵化してる~母ちゃんだったんだこいつ・・・すげえ共食いしながらデカくなってきた』
『気持ち悪いから実況しないで!!』
『ロイ、ここの魔物を掃討して拠点にするのはドウ?』
常軌を逸した環境にリレアは着実に攻略を模索する
『食物連鎖の一番下にいるここの生物たちの繁殖能力は高いのは勿論、絶滅危機に瀕した場合物凄く強力な個体に変わってしまい魔軍の精鋭部隊が撤退した話を父さんが言ってたよ』
『強いミミズ見てみてえな』『バカやめて!!』
『ではどこを拠点にすれバ?』
『拠点自体不要・・・というか作れないって言うのが正しいかな
一般的に来た道をあえて壊して進むのが良いらしいけど正解は無いと思う』
『何で壊すのが良いんだ?』
『壊された場所を魔物が直すのに注力するんだ、まあ繁殖能力が高い所ではむしろ逆効果だけど』
『さっさと進んで帰還するのが良いんだろうな、留まる利点が無いように聞こえる』
レヴィンは剣に普通の魔石を組み込み準備が整ったため、移動する事を提案した
『何でこいつらは魔法使えるのよ、地上の鉱山では聞いた事ないわ』
『やっぱ魔法は人間の物じゃないんだろうな』
カルレアはレヴィンにハッとさせられるがロイがいる為に
話を進めまいと一応人差し指を口元に当てる
『早く用を済ませて帰りたいネ』
『ロイの父親どこにいるとかわからないの?』
『もっと深い所から反応があるのは間違いない・・・』
『まあ、さっさと先を急いで帰りましょう?』
4人は足早に地底を目指し降りていく
解析魔法によると汽水湖の底部分には降りてこられた
急な斜面、道なき道を、風魔法を駆使しつつ降りていく
歩んでいく中での失敗や苦戦を経て
ロイは防壁としても優秀な為に前衛、中衛にカルレアリレア後衛にレヴィンと言う形に落ち着いた
レヴィンは明かりと後方からの魔物への対処
カルレアリレアが守護やレヴィンが仕留め損ねた魔物への対処
ロイは聴力を生かし後方にも助言しつつ路を切り開いて進んでいった