少年は同級生に女装がバレる
金髪青眼の少年船長ロイ・ガーゼンによって
船で1泊2日の航海と同時に小型船舶免許の試験を船内で受けられることになったが
3人は躊躇っていた
『あれ同郷の親友なんだが、この女装どうすればいいと思う?無詠唱魔法使える事教えた1人だ』
依然として女装中のレヴィンは、羞恥心が限界に来ていた
『『!?』』
カルレアとリレアが目を合わせ吃驚する
『親友ナラ...明かしてモ...』
『いや待って、魔力の総量がガルグと同じぐらいある化け物少年よ』
『『!?!?』』
今度はレヴィンとリレアが目を合わせ驚愕する
『いや、あいつそんな魔力無かったぞ俺の次に落ちこぼれ扱いで仲良くなったんだから』
『解析を妨害しただけカモ・・・?』
『それ抜きにしても魔道具に収納されてる弓が異常なの
沢山の魔法が加えられてて取り出されるだけで私達気絶するかもしれない』
『何でロイがそんな物騒なもん持ってるんだよ?』
『知らないわよ』
『さっきオーナーを操ってたように見エタ、異常なのは間違いナイ』
『親友だと思ってたのに・・・』
レヴィンは落ちこぼれ仲間じゃなかったと心からショックを受けて話に水を差し続ける
『てか本当にやべー奴なら1泊2日の旅の前に解析させないだろ、絶対見せかけだって』
渦中の少年ロイが割って入ってくる
『お話し中のところ悪いんだけど、1つ良いかな?
試験を受けられるのは一人だけなんだけど、一目惚れした君に受けて貰いたいんだ』
『え?』
カルレアとリレアは指名された相手に笑ってしまう
『こ、光栄ですわ!喜んでお受けします』
レヴィンは精一杯の女声を出し役に準じた
『うちの妹に目を付けるのは許してあげるけど、その首輪に眠る物騒な物は何なんですか?』
カルレアは一目惚れと言う建前を利用し追及する
『これは父さんの弓ですね、一獲千金を夢見る僕は海底鉱山へと赴く時には必須だと思って
勝手に借りてきちゃいました』
『魔力の総量がおかシイのは?』
『それもこの弓にかけられた魔法の影響です、僕魔法使いとしては1,2を争う落ちこぼれと出身地で
馬鹿にされてましたから本当に大した事ないですよ』
『じゃあ、その恐ろしい首輪を航海中だけは外して来てくれたりできない?妹が怖がってるのよ』
うんうんと
女装レヴィンが無言で首を縦に振り、萌袖で手を口に付け顔を赤らめぶりっ子している
ぶりっ子嫌いなリレアはその姿を見て少しイライラし始めた
『いやあでも航海中何があるかわからないから..彼女の首に付けておくならいいですかね?』
『女の子に首輪付けるとは異常───』
『それならいいですわ』
女声レヴィンが直々に許可を出す
『私達三人いるシ、ロイは大船に乗ったつもりでイイ』
カルレアは相手の置かれてる立場に少しだけ納得する
仮に正体が本当にレヴィンと同等であるなら、あの首輪の弓が無い限り丸腰も同然
今のレヴィンだけでも処理できてしまう
恐らくこれ以上は平行線、この条件なら陸地に留まるより
航海した方がまだ安全と踏んで反論するのを辞めた
───────
船へ荷物の搬出を終え、昼の12時に航海が始まった
船舶免許の1対1の授業が船室で始まりカルレアとリレアは
追い出されたため二人で相談している。
ただでさえ海洋恐怖症のカルレアが船室に入れないのは致命的で
リレアは視界に移らないよう傍に付き慰めていた
『一緒にいてくれるって言ったから勇気出したのに酷い、クズ、最低男・・・』
顔を青くし頭を抱えて荒んでいるカルレア
『今は彼モ恐怖してると思ウ』
船室では教師ロイが教科書を読み上げ、時には出題し
ロイの父親の首輪を付けた女装レヴィンが真面目に授業を受け答えていた
『覚えが良いじゃないか、僕が授業しなくとも教科書を読むだけでテストは受かるだろうね』
『試験だけで免許が取れれば楽ですのに』
『学科なんて僕が首を縦に振るだけでいいのさ、実技もテストもそうだけどね』
彼は隣に座り囁いてくる
『楽させてくれるんですの?』
『・・・その代わりに、君達3人と海底鉱山に今すぐにでも行きたい
僕は必ず君達の助けになれる、その首輪に眠る力で』
女装レヴィンの首に腕を回し、ロイの指が首から胸まで降りてくる
『一攫千金以外の目的を隠されていたりしますか?』
女装レヴィンはビビり散らかしていた襲われる覚悟を決めた
『父親の救出と大好きな人への罪滅ぼしだよ・・・レヴィン』
『なんだわかってたのかよ!!!』
とヘラヘラしながら水風船を投げつけカチューシャの魔道具を取り声を荒げるが
ロイは熱い眼差しで見つめてきて少し恐怖する
『・・・僕なんだよ・・・君を通報してしまったのは』
『は!?なんだって・・・!!?』
思わず掴みかかるが、すぐに冷静になる
『いや、悪くねえ・・・・ロイは悪くねえよ、お前がしなくてもきっと別の奴に通報されてる』
『君が一夜にして消えた後に、痕跡を辿ったんだ。責任を強く感じてね
そして君のご両親が魔法管理局との間に何が起きたか、僕でも調べが付いてしまった』
『本当にすまなかった』
ロイは両手でレヴィンの両手を掴み真面目に懺悔しているが
さっきまでの行為もあって普通に怖い。さっきのいる?
『何で場所がすぐ分かったんだ?』
『通報した日の夜には戦闘が終わってたのに、翌日の朝には家の前で君のお父さんが喋ってたんだよ。ガルダとフィディと呼び合ってて転移は極東の地と言うのが聞こえたんだ』
『なるほどな、俺はてっきりロイの偽物の刺客だと思ってたぜ物騒なもん持ってるし』
『僕そいつらの会話聞いたら居てもたっても居られなくて・・・レヴィンが職員と交戦する時に助けになると思って、持ってきたんだ』
『ガルダなら何とか追っ払ったぜ、多分死んでないけどな』
『ええ!!お父さんでも勝てなかった相手を!?君が!?』
『まあ、3人・・・4人の力だな、乗っ取られてた父さんの力を奇跡的に借りられたんだ』
『何か二日しか経ってないのに凄い逞しくなったね・・・?』
少し身震いしたレヴィンは話を変える
『それより免許くれるのか?』
『もちろんテスト合格出来たら手配するよ』
『ありがてえ、ばれてたなら最初から言ってくれよ』
『それこっちの台詞、指名手配中の上に女装してる親友にこちらが口開ける訳無いだろ
気まずいし通報した罪悪感もあったし君から正体明かすの待ってたんだよ、騙されてやんの~って。
なんか僕があのまま押してたら普通に乗り気じゃなかった?』
レヴィンはロイの反論に笑いながら相槌を打つも
『んな訳ねえよ、お前が乗り乗り過ぎて有頂天になってる所で転がすつもりだったわ』
二人の笑い声が甲板で苦しんでるカルレアの耳に届き体調が更に悪化した