覗き見と凱旋と敗戦処理
先刻の戦闘、レヴィンとガルダの戦いを見守っていたものが一人
『ひゃあ~危なかったねえ~お疲れさまだあ~』
大木に座り、少年は禍々しい弓を構え放とうとしていた矢を戻した
『でもやっぱ負けねえのな、面白いなあ』
レヴィンの親友であり、無詠唱魔法が出来ると魔法管理局に即通報していた少年ロイ・ガーゼンだ
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『いやあーめっちゃかっこよかったねえ!!?』
『同意を求める言い方嫌イ』
『あー雑魚なんてもう二度と言えなくて悔しいねえ?寂しいねえ?』
『うるさいなァ・・・』
『父さんの力が使えただけさ、俺は雑魚のままだから安心してリレア』
『違ウ・・・恥ずかしいダケ・・・』
リレアはレヴィンにもたれ掛かり呟いた
率先して彼の父を埋葬し墓を建てたのはリレアである
カルレアは引っ越しの支度と並行して花を摘みお墓に添えた
『父上、感謝してます。必ず父上のように強くなって二人を守り抜けるような男になります
これからも見守っていてください』
2人も手を合わせ供養している
『カルレアもリレアも忙しいのにありがとう...俺は二人と父さんに助けられたよ』
『いつもの見栄っ張りのレヴィンはどこよ?今こそ誇るべきだわ、もう二度と無いのに?』
『それハ・・・同意』
『うるせえ!!!俺はお前らを守り抜くって父上にも誓ったの!!!!!何度も覚悟しとけよ!!!』
『あはは~頼りにしてるよ』『・・・』
にこにこしながら手を握るカルレアと再びレヴィンにもたれ掛かるリレアであった
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※レヴィン逃亡後4日目の朝の出来事
『まさかまさかですねぇ・・・(簒奪魔法の)換骨奪体にこんな弱点があるとはぁ・・・』
王都の魔法管理局のすぐそばにある次官ミェリアが所有する屋敷の一室で
ガルダは簒奪した体が壊された後、魂の姿から本体の体がある場所に戻るために2日かかり
朝まで眠っていた
魂に魔力と素養を引っ張られ極限魔法を放たれるとは
やはり何してくるかわからないので無詠唱は厄介ですねぇ・・・
思考を簒奪する魔法を作りましょうかねえ
『なぜ失敗した?無詠唱魔法の使い手を回収するはずだったろう』
『父親の体を使った時点で負け戦でしたね』
突然ガルダは顔が変形し、ボゴォっと骨が砕ける音が部屋に鳴り響いた
『遊んでなければ、すぐ倒せたでしょうに何故正直に言わないか?』
『怒られるのは嫌ですからねえ、酌量として言い訳を前置きしたくなるんですよ
総合的に判断して頂く事にこそ価値があるかと』
『お前がどれだけ無意味に煽り甚振ったか、詳らかにするほど擁護のしようがない男だ』
『魔導の探究はミェリア様への力添えに意味が出て来るかと、挽回の機会を頂きたいですねえ』
『この始末の付け方次第ね、総裁は貴方の失態を私に向けて必ず利用するわ』
次官ミェリアは部下である副局長ガルダを追及する
『少年を隠匿していた者に罪人である二人の少女を発見しました
総裁が探知範囲から執拗に外していた対象なのでこれで脅しましょう』
『貴方が直接交渉しなさい、私は関与しないわ』
『いえいえ、その二人は貴方の娘だったので一応ご希望をお伺いしときたいなと』
『どうでもいいわ、好きにして。私と貴方の立場を堅持出来ればそれでいい
次失敗したら貴方に巣食う病魔に止めを刺させて駒を変えるわ』
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