天才魔法少女vsガルダ(ツシッツ)
『ロイの両親に被害が及ぶ、逃走するか?』
『・・・』
『おーーーーーーーい早く出ーって、おいーーーーーで』
ツシッツは容赦なくトイレットペーパーをロイ少年の家に次々と投げては垂らしていく
『あのツシッツという男は、私の魔法と貴方の無詠唱魔法を対策済みでしょうねえ・・・』
『見え透いた挑発、罠だろう?絶対逃げた方が良いぜ』
『"加護を纏い 現れよ 殺岩兵"』
夜中に大声で迷惑行為に励んでいたためか、勇猛果敢な少女が駆け付けツシッツに向けて威嚇行為に走った
『ライラだ』
『誰です?』
『村一番の魔法使い、あいつと比較されて俺とロイはいつも馬鹿にされてたんだ』
『そのトイレットペーパーちゃんと全て片付けなさいよ!!』
『私は~~魔法管理局職員のォガルダと申しますぅう。ここに指名手配中のレヴィインとぉそれを匿っているロォイィを逮捕しに来ました。公務の妨害するなら貴方もぉ逮捕しまーす』
ガルダの姿へ成り代わっているツシッツは、立ち振る舞いから顔の表情まで狂人のように演じていた
ロイの姿へ成り代わっているガルダは、少年時代以来の恥の感情に襲われていた
『人の家にトイレットペーパーを投げつけるのが公務?不審者の間違いでしょ』
『確かに・・・あいつ馬鹿なんじゃないか?勝てるだろ』
『道化を演じて私達を誘ってるだけです・・・今のうちに逃げますよ』
『でもライラを放っておけないだろ』
ガルダはレヴィンの状況に相応しくない謎の余裕を持った心遣いに煩わしさを感じた
『あんな女よりカルレアさんの方が大切でしょう?』
『そうだけど、どうせ逃げるなら手の内見てからでも悪くないだろ』
『んー・・・』
ガルダは覇外風送によっていつでも脱出できる為に頷き、二人はライラたちの様子を眺めていた
『レヴィンの母親は、貴方達の組織に数日前殺された。通常の公務自体疑わしいものだわ』
『全ては導師様のご意思、忠実な配下である私達、そしてその公務を踏みにじるのであれば賊として排除しなければなりません・・・さっきのは聞かなかった事にしてあげますよ?』
『私は敵討ちとして気色悪い貴方を排除するわ、導師様も喜ぶでしょうよ』
ガルダは本心に全くない事をガルダの姿で喋るツシッツに、虫唾が走り表情を歪めた
『”支配せよ 魔性変幻”』
呪文を唱えたツシッツを中心とした直径30mほどの結界魔法が張られ
結界の内側に入っていた殺岩兵が瓦解していく
『あの結界、自分に展開した守護魔法すら致命的な一撃へ変えられる可能性が高い、正直私とてガン不利ですねえ・・・』『俺が斬り付ければいいだけだろ』『・・・』
魔法主体で戦うガルダにとって致命的に相性が悪い、あの結界を張られていては
外道を歩み獲得してきた手札の殆どが通用しない
『地石墜!!』
ライラは結界の外から地中に眠る巨大な岩を浮遊魔法で上空に飛ばし
結界内に入るように岩石を外側から勢いよく放った
ドゴォォン
『次は当てるわよ』
『その時には貴方の命を容赦なく頂きますねえ?』
そして地石墜により大きな地響きと落下音に村人がわらわらと駆け付け
ロイ少年の家の窓から事態を見守っていたガルダが口を開いた
『いいですね、村人を盾にしながら攻撃しましょう』
『極悪すぎんだろ』
『どのみち魔法管理局職員に逆らうものは、まとめて葬られますよ。この国はいつも悲劇を跡形もなく消し去り平和を維持してきたのですから』
レヴィンの表情は硬くなり、真剣に考え始めた
張られている転移阻害の魔法はあくまで外側へ逃げぬよう張られた物であって
内側には影響ない事を室内で確認した
『俺は人混みに転移し、次の地石墜に合わせて仕掛ける』
『では私は此処から貴方の奇襲より先に仕掛けて注意を逸らしましょう』
『貴方は一体何をしに来たの?』
『私はこの家に住むロイという少年がレヴィン・アーケヴィンスを匿っている
という通報を受けてこの地に来た迄ですよ』
『それなら私に気付かれず静かに執行できたはず、本当の目的を語りなさい!』
ライラは人混みが出来て背後や人々へ被害が及ばぬように警戒していた
『何時だと思ってんだ』『危ないわよ』『ライラちゃん後は私達に任せて』
有象無象の村人たちが果敢に吠えて現場は騒がしくなっていた
『うん、まあこのくらいで良いでしょう
犯罪者に与する者はこうなる事を目に焼き付けなさい』
『逃げ場を作らず 焼き尽くせ』
ツシッツはガルダの短縮魔法を真似て、その場にいた村人をも対象として転移妨害の結界と大火で囲み逃げ場を潰し村人達はパニックに陥る中、レヴィンは転移の魔石によって村人達に紛れ込んだ
『地縛令!』
ライラの極大魔法はツシッツが地表に張った魔性変幻の結界を地中からかき乱して破壊し
その場にいた全ての人間の身動きが出来ぬよう地面に縛り付けた
『...地石墜!!!』
ライラの地石墜はツシッツだけに向けられ放たれた
『くそが・・・』
レヴィンは滞魔必収奪で地縛令を吸収しつつも完全に出遅れ村人たちと共に嘆くも
ツシッツの表情に焦りは見えず、呪文を唱えた
『魔性逆転』
『ッな!!』
ライラとツシッツの立ち位置が入れ替わり、地縛霊に囚われ地石墜がライラに迫る
『ライラちゃん!!!』『きゃああああああああ』『助けに行けねえ!!』
地縛令によって縛られた村人達は喚く事しか出来ず
レヴィンはガルダを信じて、ライラと入れ替わってきたツシッツを背後から仕留めにかかる
杖を持った腕ごとを斬り捨てようとした瞬間───
『覇外風送一閃』
ガルダはライラを片腕で担ぎ救出し
瞬く間にもう片方の腕でレヴィンを捕まえてツシッツから距離を取った
ドゴォオオオオン
地石墜が被害者を生む事は無く鳴り響く
『ロイ!?』『おい、何で邪魔したんだ』
驚きを隠せないライラと千載一遇の場面をふいにされ苛立ちを露わにするレヴィン
ガルダは二人を自分の背後に立たせてツシッツと対峙した
『あの距離でも感じ取れなかったのなら差は──』『魔性砲』
ガルダがレヴィンに向けて喋ってる途中にツシッツが魔力で作られた弾をライラへと飛ばし続ける
『!!』
ガルダは纏っていた覇外風送で弾丸を飛ばし守り続けた
ライラは応戦しようと呪文を唱える
『地石─』『やめろ』
ガルダは空いていた左手でライラの杖を取り上げ魔性砲を対処し続ける
見違えた強さと逞しさを見せつけるロイ(ガルダ)に胸を激しく高鳴らし心揺さぶられた
ライラは邪魔をしないようにロイの背後から手を合わせ見守っている事しか出来なくなっていた
水を差された意図がわからず状況の打開も思いつかぬレヴィンはガルダに代わって滞魔必収奪で放たれ続ける弾丸を吸収し、ガルダに喋る余裕を与えた
『あの人に傷を与えたら転移の呪いをかけられます』
『だったらどうすればいいんだ』
『レヴィンは反映魔法を私の杖に!』
ガルダは魔力が足りず、ライラを抱き寄せ魔力を吸い取りつつ呪文を唱えた
ツシッツはレヴィン達の周囲に魔性弾を展開し放った
『魔性貫通追尾弾』『光覇外風送!!!!』
ガルダの魔法が先行し、レヴィン達だけでなくツシッツも光に包まれ転移阻害の結界を無視して4人はその場から姿を消した
標的を失った追尾弾はその場で消滅し、地縛令で縛り付けられていた村人たちに被害が及ぶ事は無かった
──────
ガルダの魔法によってただ一人、即死させるようにと深海へ飛ばされていたツシッツ
自身の魔道具が強制発動し球状の空間魔法に守られていた
『・・・現れ出でよ』
結界の外へ捨てられたカードから、ガルダそっくりの遺体が現れ海面を目指して上がっていく
『やはり、すべて俺のせい・・・・だけど皆が・・・・』
ガルダの変装を解き現れた白髪黒眼の少年はカードに収められた友人、同胞達を眺めながら
二つの正義に苦悩し、海底へ沈んでいった




