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少年の味方は、親の仇であるガルダただ一人

昨日までは自分の(カルレア)を殺そうとしていたのに、(カルレア)が記憶を失った事で良い母親を装い感動の再会を演出しているミェレア


『私に匹敵するカスですねえ・・・』

(カルレア)(ミェレア)の再会と抱擁を目の当たりにした

ガルダはその光景に顔を歪め、レヴィンに目線を合わせたが

当のレヴィンは、激情せず呆然としていた為に察する

『ミェレアの主はとんでもない食わせ物ですねえ・・・』

完全に戦意喪失しているレヴィンを見て即座に敵陣からの離脱に入る

ガルダは効力を失ったレヴィンの剣を抜き取り、呪文を唱えた


『"()の者と 遁逃(とんとう)せよ 覇外風送(はがいふうそう)"』

敵による複数の空間魔法がどこからともなく発生しレヴィンとガルダの逃走を防ごうとするが

転移の極大魔法がレヴィンとガルダを守り、阻害や追い撃ちを許さぬ暴風に包まれ


二人は、レヴィンの故郷であるショイサ村にあるロイ少年の部屋に転移した

─────『・・・この魔法は導師を海の底へ道連れにする時に初めて使う予定だったんですがねえ...』

静まり返る部屋、ガルダはレヴィンが導師どころか自分への記憶すら敵で止まってる事で我に返る


『少年、貴方はどこまで記憶を残していますか?』

『教えたら策を練って騙すんだろ・・・お前がガルダなのはわかってる』

自分の体に刻まれた刻印からガルダが父親の体を奪った魔法使いであり

十中八九そいつが魔法下手なはずの親友(ロイ)の体を乗っ取って今喋っている

助けられたとはいえ、自分を利用したい勢力に変わらず信用出来る相手ではない


『では手っ取り早く話を進めましょう、貴方の記憶だけでなく彼女たちの記憶も取り戻せますよ』

『本当かッ!?・・・いや罠か・・・』

『ふむ、私が体を乗っ取っても記憶を引き継げてる理由、不思議に思われませんか?』

レヴィンは目を開くも、ガルダの乗っ取りに関して記憶が大幅に消されている為に

刻印でそういう事があったという事しか知らない為に告白する


『今の俺は断片的にしかお前を知らない・・・俺は父親を乗っ取ったお前と戦う直前の記憶まで消されたんだ』

『サタテリス親子の再会に水を差さなかったので何となくわかっておりましたが、そこまで記憶を消されていたのですねえ・・・』

『どういう意味だ?』


『昨日ミェレアにカルレアさんを人質に取られ、救う為に戦っていたんですよ?あんなのを見せられたら激高してさらなる力を解放してくれると楽しみに眺めていたんですがねえ』

ガルダはレヴィンの剣を掲げて不敵に笑い、手渡した

『訳が分からん・・・嘘が下手だな』


『まあその辺は魂から記憶を引き出してご納得して頂きましょうか』

『どうやってやるんだよ?』


『簒奪魔法の換骨奪体を使えば、すぐにでも取り戻せますがこれは無しで

       新たに魔法を習得してもらいます』

『何で無しなんだ?』

『容易に魔法を会得出来る貴方と違い特異な簒奪魔法をサタテリス姉妹2人が習得するのは現実的じゃないからですねえ』

『先を見据えてくれてるのは有難いが、出来るのか?』

『練習して貰うのは反映魔法、妨害魔法の派生ですので習得は少し楽かと

    物理だけでなく魔法の障害にも効果あるので反転魔法の対処に使えますよ』

『思ったより幅広く使える魔法なんだな』

ガルダは自分の魔法を対策していた総裁ダルグスに備えていたが

レヴィンは記憶を失っているため、ぴんと来ていなかった

底をついていたレヴィンの魔力はガルダから分け与えられ

ガルダの指導の下、障害物によって光が届かない部分に光を反映する魔法の練習を始めた


『修行中くらいロイと変われるなら変わってくれよ』

『この転移場所は貴方が指名手配されているトレストリア国内であり

  奇襲を受けたら対応できないので今は出来ません』

『何でわざわざ魔法管理局が飛んできやすいトレストリアに転移したんだよ?』

『貴方の記憶を奪った勢力が監視が行き届いてるこの国内で無茶出来ないからですよ』

『なるほど・・・お前何でそんな即座に対応出来るのに

     俺の両親を殺したんだよ絶対もっと良い手を思い付けただろし必要無かっただろ』

『禁忌である無詠唱魔法を使う少年とその家族は、魔法管理局直々に抹殺の指令が出ていたので職務を果たした訳です。救いがあるとするなら、”魔法を使う者”の殺害は新たな魔法を作る上で必要な事で確実に私の新たな力になっています』

レヴィンは話しながらもガルダの反映魔法を自らの手で感じ取りながら模倣し続ける


『魔法使いを殺すと新しい魔法が出来るって?そんなバカな事があればもっと人殺しは身近な物だった筈だ、俺の村はお前が来るまで平和そのものだったぞ』

『・・・魔法は人間ではなくグリフォンという存在が起源で、人間が力を奪い濫用してる側なのですよ

  グリフォンは濫用者を排除し自分を救おうとしてる者に新たな魔法を与える・・・と数々の固有の魔法を獲得してきた私は考えています』

『グリフォンの存在は世の中の書物どころか記憶してる人間も尽く消され

導師を憎むものが一般市民には存在しないので殺害による新たな魔法の創出は無く、平和であるのはその為ですね』

ガルダの考えを裏付ける決定的な証拠は示されてないが、禁忌に指定されてる現状と現にこんな無慈悲な人間が新たな魔法を習得している状況からレヴィンが彼の言葉を鵜呑みにするのは十分なものであった

カルレアが話していたグリフォンの神話とガルダの言う話を重ねて点と点が繋がっていく

その事実を何も知らされず人類が魔法を使い、加担させられている事に血の気が引き絶句していた


俺の記憶を消した輩も、それを是正する為だったなら言いなりになるべきだったのかもしれない

『・・・俺たちは逃げてきたが、間違いだったんじゃないか?あいつらも目的は同じなんだろ?』

『記憶を消される前の貴方にとってグリフォンよりカルレアさんが最優先事項だったので

           抗うのは最善の行動だったと思いますがねえ?』

『そう・・・だったら俺はお前の救済に泣いて感謝してたかもしれないな』

レヴィンはガルダの言葉へ納得し、一目惚れまで引き戻されていたカルレアへの想いを強く自覚した勢いで、反映魔法を再現し光をそのまま反映させた

『換骨奪体』

完璧に模倣された反映魔法を見て即座にガルダは簒奪魔法を唱え魔力を抑えて加減する


『私が貴方の魂を曝け出します、それに反映魔法を使い脳へ失った記憶を与えるのです』

心臓の辺りから引き抜かれかけている魂にレヴィンは失神しかけながらも反映魔法を使い

欠落していた記憶を取り戻し、瞬時にガルダの手を取り膝をつき涙を流していた

『ありがとう・・・ちゃんと・・救ってくれるんだな・・・』

今まで効率的に潰してきたガルダが敵の手を取らず、助けてくれた事に先ずは感謝しすすり泣くレヴィン

そして先刻まで使っていた滞魔必収奪(たいまひっしゅうだつ)を忘れず使いこなす為にも微かに発動させながら

目的の為には手段を選ばないミェレアに怒り、散々冷笑してきた青髪の女も許容の範囲から外れた


あくまで導師を討つという目的の為、ロロイという未来からの存在に成り代わり動いただけのガルダは

少年が涙を流す理由と自分の本意が離れているであろう事に、少し困惑していた

『こんな愚直に感謝されるのは久しぶりですねえ~』


そんな中、突然家の外で大きな声が響いた

『ガルダくうううううううん遊びに来たよおおおおおおおおっとおおお!!!』

窓の外を見るとガルダの姿をしたツシッツが次々と紙を長く垂らした

トイレットペーパーをロイ少年の家に投げつけ掛けていく

水に濡れでもしたら掃除が大変になる相当迷惑な行為だ


『・・・よ、夜中になんだ・・・あいつ・・・くそきもいな』

『今の彼は魔法管理局の人間でありミェレアの仲間です

   外見は本来の私に変身してますので侮辱はご容赦を』

『ふん、という事はお前もあいつらに居場所奪われてたのか?仲間だな』

『負け組同士、手を取り合って打開しましょう~?』

レヴィンの涙は止まりいつもの調子を取り戻し剣を手に取り、ガルダは息を合わせるように戦闘に備えた


ここまでで10分の1ぐらい


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