表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/30

自慢したかっただけなのに

『加護を纏い 我が盾となり 現れよ 戦石兵(ゴーレム)

『ライラすげえ!!』『その歳で極大魔法使えるの世界でお前だけだって』

『どうやったら上達するの?』『ライラだけズルいー』


今日も村一番の魔法少女ライラが新たな技を披露し、持て囃されていた

彼女が周囲を沸かす度に、自分たちの至らなさの矛先を落ちこぼれの彼らが務めていた


『最高と最低の格差がおもしれえな』


『おいレヴィン!お前の最高の技披露してくれよ』『また蠟燭に火灯すんじゃねえんだろうな?えーおい?』


『ふん・・・今日の魔法は一味違うさ』


『おお?』『おいレヴィンが極大魔法見せてくれるってよ!!』

『・・・』

手を前に出し 地面を火で囲って見せる

『え?詠唱は!?』『魔道具も無しでお前どうやったんだよ!!!!』『すげええええええ』

『無詠唱なんて私も無理よ凄い』『おいライラでも出来ねえ事やれんのかよ』

村一番の落ちこぼれ、少年レヴィンは一夜にして評価が逆転し

今まで味わった事のない賞賛が少年を襲い、彼は満たされていた


そして禁忌(タブー)とされている無詠唱魔法を行ったとして魔法管理局に通報され、即日指名手配された


───────


『何でこうなったんだ・・・』


夜空に星が煌めく深更、15歳の黒髪少年レヴィンは赤い瞳を潤ませて呟いた


俺が無詠唱魔法が使えるとわかった時

両親は神の使いとして我が子が選ばれたと感激し喜んでくれていたのに

友達に打ち明けたら落ちこぼれ気味の俺を皆が見直してくれていたのに


そんな俺が遥か遠く知らない大地で逃走に疲れ、今は川の流れに身を委ねている


もしかしたら俺の両親は既に殺されてしまったかもしれない

俺と両親は無詠唱魔法に対して禁忌と言う認識は無かった

友達かその親たちがその日の内に通報したのだろう・・・


通常、詠唱する事で自己の魔力を杖に痕跡(記録)を残しつつ魔法に変換する

無詠唱の場合、杖を介在しない為にどの魔法をいくら使おうと痕跡(記録)が残りようがない

放った魔法の爪痕から使用した杖を逆探知する術もあるのだが

これも無詠唱だと使った者を特定出来ないらしい

魔法管理局としては捜査が非常に難航する為、脅威であり大分昔から禁忌に指定されてるようだった


父上は特定なら必ず出来ると必死に反論していたが

尊敬する父上とはいえ国で最も優秀な者が集まる魔法管理局の知見や手腕に勝るとは到底思えなかった

しかし父上は俺を守るために魔法管理局の職員3人を退け逃走の余裕を作り

母上は魔道具で支援しつつ俺が少しでも逃げ遂せるようにと攪乱の為の転移魔法を振るい続けた


俺の無詠唱魔法は一般的な詠唱魔法と違い威力が遥かに低くく殺傷能力も無いし

他者に害をもたらす興味など微塵も無く清廉潔白を志している


ただ落ちこぼれと認めたくない自分が無詠唱魔法をひけらかしたのだ

どこが清廉なのだろう

魔法管理局の職員による強制捜査に従わず逃げ回ってる

俺の何が潔白なんだろう


一夜にして己の全てが崩壊した一日だった


もし逃げ切れたら、無詠唱魔法などひた隠し細々と狡猾に生き抜くとレヴィンは決心した

そう反省しつつ守護魔法による球型の結界の中で水に濡れる事なく正座のまま流されていき

逃走後からついに人の目に触れる


『少年~!こんなところで何してるの??』

こんな夜分遅く、逃亡の果てに最初に出会う人物がこんな美しい銀髪の少女とは思わなかった

逃亡の為に、噓をつき欺いたらこの人に迷惑がかかるだろう


先刻の決心をすぐさま翻し、事情を包み隠さず正直に伝えた


彼女は口を挟む事なくうんうん、ふむふむと相槌しか打たず

唯一の取り柄である無詠唱魔法の件にも思うような反応を拝めず少年は気を落としながら話していた


『―という訳で、母上が転移魔法を攪乱の為にも念入りに使って下さり、都市より一番遠い極東の地で暮らせと言われたので、他者に迷惑がかからない所を目指してる最中です』


『じゃあ私の家に来なよ』


『え!?魔法管理局の人に見つかったら貴方が酷い目に合うので、駄目ですよ!!行きたいけども!』

  少々語気が強く本音を垣間見せた少年に少女は僅かにたじろぐ


『でもでも本当に無詠唱魔法が使えるなら、ね?嘘だったら身柄引き渡しちゃうぞ~』

 ニコニコしながら笑えない冗談を言ってくれる、とはいえ俺は指名手配犯。甘すぎる対応だ

 もし彼女に危険が及ぶのであればすぐ投降しようと考えつつ、提案に縋る

『・・・・・』

 ――――ボゥ...ボゥ...ボゥ..ボ...,,,

レヴィンが目配せすると、地面に小さな炎を左右等間隔に発生させ

これから歩むであろう先の道を煌びやかに照らした


『本当だ!!詠唱も杖も魔道具も使わずに出来ちゃったすごいすごい!!ほんとに凄い!!』

『・・・ふん』

 友達に見せた時と同じ反応を理想的な美少女にもして貰えて

 生きてきた中で一番嬉しく心躍っていたが

レヴィンはスカしていた、そしてしたり顔を我慢できず即座に背中を向けた


『あー!そんないけ好かない反応するんだ~もっと良い子だと思ったのに』

『いやいや!嬉しすぎて!!ちょっと・・・』

レヴィンは顔を真っ赤にして即座に反論し言葉を詰まらせた


『ほんとだ!ほっぺから耳まで真っ赤だ、あはは~少年の名前はなんて言うの?』

『レヴィン・アーケヴィンスです』

『私はカルレア・サタテリス、よろしくねレヴィン』

カルレアは杖を取り出し、レヴィンの手を掴む

レヴィンは胸の高鳴りから叫びそうになったが、体を一瞬ビクつかせて声だけは押し殺した


『ほら、火を消して?家まで転移するわ』

『あ、ありがとう・・・よろしくお願いしますッ!』


レヴィンは顔を真っ赤にしつつもあくまで平静を装いながら答える

カルレアは何故か明後日の方向を見て受け答えるレヴィンの顔を覗き込み

ジト目でニヤニヤしながら杖を顔に寄せて転移の呪文を唱えた

読んで下さりありがとうございました!!!!

小説初挑戦です!!

宜しければ評価お願いします!!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ