第七話 魔境探索2
文法が変わってますけど、これからも時々変わると思います。
面倒になったな。
だが、先にテリトリーを犯したのは俺達だ。ここは穏便に済まそう。
「失礼をした。そちらのテリトリーと知らずとはいえ侵入したことを詫びよう。すぐに立ちさ──」
「それは許さぬ。貴様らの死はすでに決まっているのだ。」
(なんだコイツ…… 死にたいのか?)
せっかく穏便に済まそうと思ったがアドラヌスはそのつもりはないらしい。
どうしようかと模索しているとアドラヌスに言われた。
「だが、その女子どもを差し出すのなら考えてやらんでもない。」
自分たちのことを言われた二人は固まってしまった。
「一応理由を聞こうか?」
ろくでもないことだろうができるだけ穏便に、穏便に……
「男は使えんのだよ。不味い。それに比べて女は食うだけでなくよと── グァッ?!」
さすがに我慢の限界だ。俺はアドラヌスをぶん殴る。
「貴様ッ! 下等生物如きが── グハッ?!」
さらに殴る。
そのまま頭にかかと落としをいれて地面に叩きつける。
「馬鹿なッ?! 我の高潔な顔が──」
「いいか? 俺は大抵のことでは怒らない、だが何をしても怒らないというわけではないんだ。」
「“崩滅”」
使ったのは破滅魔法“崩滅”
この魔法は指定したものを崩壊させるというものだ。
うまく使えば反抗意思や意識だけ消せるという応用性の高いもの。
今回は意識を消した。古龍なんだからそのうち目覚めるだろう。
俺は二人に向き直る。
「面倒なやつに絡まれちゃったな。先に行こうか?」
「「大丈夫?!」」
二人がすぐに駆け寄ってきて体中触られる。
「この程度のやつで大げさだって。」
「そんな事ありません!」
「相手はドラゴンよ!?」
二人に否定される。
空を見ると日は暮れて来ていた。
(このまま夜を過ごすにしてもこいつがいたら邪魔だな)
倒れているアドラヌスを見て思いつく。
(そうだ! どっか遠くに投げよう!)
「二人ともちょっと待ってて。」
俺はアドラヌスの方へ歩み寄り、頭を掴む。
「死ぬなよ〜!」
俺が投げるとすぐに見えなくなった。
「もう何を見ても驚かないわ。」
ルディが疲れた声を出している。どうしたんだ?
「もうすぐ夜になるし、ここで野営しようか。」
「わかりました」
サリアはきちんと返事をしてくれたが、ルディは頷くだけだ。
─数時間後─
「もうすっかり日も暮れちゃいましたね。」
サリアが空を見て言う。
日は完全に沈み、俺達は焚き火を囲んでいる。
「なんだか眠くなってきちゃいました……」
サリアのまぶたは重そうだ。
サリアは急にこっちに来る。
「どうしたん──」
ポスッ
あぐらをかいている俺の右足に頭を乗っけてくる。
「なっ──」
ルディは言葉に詰まっている。
「おい、サリア」
「いいじゃないですか? これが一番安全なんですよ?」
反論はできない。確かに近くにいたほうが守りやすいしな。
「でもあぐらだとバランス悪いだろ?」
「いいんです。ルディの分も残しておかないと。」
「私はいいわよっ!」
説得するだけ無駄だ、諦めて受け入れる。
だが、時々ルディが物欲しそうに見てくるのはどうにかしてほしい。
(少し眠ったフリでもするか)
ちょうど後ろに木があるのでその木にもたれかかり、眠ったフリをする。
「寝ちゃった……」
しばらくしてルディがつぶやいた。
「ちょっとだけ…… ちょっとだけならいいよね?」
ルディがゆっくり近づいてくる。
え? なぜこんな事がわかるかって?
透視だ。まぶたを透視しているのだ。
ポスッ
ルディが左足に頭を乗っけてくる。
「落ち着く……」
その言葉を最後に寝てしまった。
俺は目を開ける。
「無理して我慢しなくてもいいのにな……」
俺は二人の頭を撫でる。
「で? お前は誰だ?」
さっきから気配を感じる。問いかけると目の前の空間が割れ、白いローブを着た一人の女が出てきた。
サイドテールの髪は白を基調とした髪色だが、所々クリスタルのように虹色に輝いている。
瞳孔も虹色だ。
おそらくはこいつが──
「はじめまして。私は虹龍エリスです。此度はアドラヌスの暴走について謝罪しに来ました。」
きれいにお辞儀を決め自己紹介をするエリス。
「もう少し早く出たほうが良かったのでしょうが、何分タイミングがわからず…… 申し訳ありません。」
やっぱり見られていたか……
「いや、大丈夫だ。それにお前にまで責任を問うつもりはない。」
俺は連帯責任が嫌いだ。悪いことをしたのは個人なのにどうしてその上司まで責任を持たねばならんのか?
「お心遣い感謝します。ですかそうはいかないのです。」
おっと…… 雲行きが怪しくなったぞ?
「アドラヌスに扇動された他の龍までもあなた様を狙っております。」
「来たらぶっ飛ばすだけだ。」
「それではいつか龍が絶滅してしまいます。」
俺のことをなんだと思っているんだよ……
「提案なのですが…… 私を従魔にしてくれませんでしょうか?」
「は?」
思わず間の抜けた声が出てしまった。
従魔とは主人に絶対服従の魔物だ。誇り高き神竜がそうなるなんて……
こいつ頭おかしいんじゃないのか?
「従魔になると絶対服従になるぞ? 俺が非情な命令を出したらどうする?」
「それに関してですが…… そのようなことはないと判断しました。圧倒的な力の差があり、怒らせたにも関わらずアドラヌスが生きているのがその証です。」
そう来ると何も言えないな……
「本当にいいんだろうな?」
「もちろんでございます。」
どうやら覚悟は決まっているようだ。
「闇を晴らし深淵を深める絆、魂は盟約を契り、運命を共にするソナタの名を答えよ」
「エリス」
エリスの肩に紋章が刻まれる。
「これで契約完了だ。」
「なんとお呼びすればよいでしょうか?」
「好きに呼べ」
「では、“ご主人様”と呼ばせていただきますね」
そう言うとエリスが近づいてくる。
「こちらのお二人はどうしましょうか?」
「寝かしといてやれ。」
「では私も休ませていただきますね」
ポスッ
そう言うと俺の両足の間に頭を乗せる。
「おい?」
「どうかなされましたか? 従魔の躾は甘やかすことも大切ですよ?」
(チッ)
俺は最近甘くなってきてるな……
そうして夜は更けていく──
気が向いたら★お願いします。
キャラ設定
エリス
略称:なし 性別:女 年齢:6519歳
髪色:白を基調とした虹色
瞳色:虹色 髪型:サイドテール カップ:E
身長:175cm(人型) 45m(龍型)
体重:44t
一人称:私 二人称:あなた
ライムを呼ぶ時:ご主人様
神竜であるがプライドよりも利をとる冷静さがある。ライムの場合は龍の絶滅を防ぐため。
〜裏話〜
私はイリス。虹龍であり三柱しかいない神竜の一柱です。
今回は配下であるアドラヌスが意識を失って見つかったと言う報告を受けました。
アドラヌスは喧嘩っ早いですが実力もある。
何があったのでしょうか?
そうこうしていると倒れているアドラヌスを見つけました。
(何か魔法がかけられている。とりあえず解いておきましょうか)
「ハッ?! エリス様?!」
「何があったのですか?」
「…………」
「黙ってないで答えなさい」
少ししたらアドラヌスが自白しました。
「我が領域に侵入してきた人間にやられました……」
「──え?」
アドラヌスが人間に?!
──いえ、ですが勇者と呼ばれる者達などは信じられないほど強かった。それに負けたのなら納得できます。
「私が言ってみましょう。」
空間を裂き、空間の狭間に入ってその場へと向かう──