第三十話 聖女のパーティ
超久しぶりの投稿。
おまたせしました。
本当に忙しかったんです。許してください
「凄まじいですね……」
真っ先に口を開いたのはテミスだった。
今、俺達は原初の聖廟の目の前にいる。
近くに来ると思ったよりも大きく、その高さは15mを超えそうだ。
神殿というよりは教会に近く、真っ白な大理石の隅々にはラピスラズリや金の装飾が施されてある。
外から見てもわかるほどの大きなステンドグラスには、ドラゴンのようなものと男が向かい合っている。
周囲には純白の鎧を着た騎士が巡回しており、特に扉付近は警備が固い。
「お困りでしょうか?」
「ひゃっ!?」
丁寧な男の声と、サリアの声で気づいた。背後に誰かいる。
振り返ると、同じように純白の鎧を着た騎士が立っている。
「現在、原初の聖廟では聖女様との懇談会が行われています。もしや、参加者でしょうか?」
「は、はい」
「招待状はお持ちですか?」
顔を見合わせる。当然、招待状なんてものはない。
ルディが一歩前に出る。
「ミルディア・ヴァルテトよ。通してもらえないかしら?」
「なっ──。これは失礼を。どうぞお通りください」
ルディは権力を盾にする。
にしても、こんなに簡単に通していいのだろうか?
「ありがとうございます」
これ以上引き留められる前に俺達はそそくさと歩き始める。
それはそうと、今の体は男ではないんだし……。話し方には気をつけたほうがいいか。何にも喋らなくてよかった。
ライム達が行ったあと。
男はゆっくりと兜を脱ぐ。
黒髪マッシュに、黒い瞳。
「さて……、どうなるかな?」
思わず呟く。
想像以上に事がうまく進んでいる。
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中に入るとさらにすごかった。
教会内は大広間のようになっており、真正面を突き進んだところには大きな階段がある。その階段の先では、聖女、エミーが複数人と話している。
大広間にはテーブルも並べられており、色とりどりの茶菓子が並んでいる。まさに、懇談会だ。
だが、今はそんなことに構っていられない。
一刻も早く、神界に行かなければならない。
ここでは人目につきすぎるし、何より神力以外の不純な力が漏れている。
地下か……?
「先輩。礼拝堂にいきますか? そのほうが楽に神界に行く事ができるはずです」
「場所はわかるのか?」
「はい。階段を登って、突き当たりに大きな扉があります。その先が礼拝堂です」
「……わかった。じゃあ、行こう」
室内の警備はほとんど居なかった。
というより、警備のほとんどが聖女の近くで人が押し合わないように誘導している。どうやら相当人気のようだ。
扉の前には簡単に行くことができた。
大きな木製の扉は漆が塗られているのか鈍く光を反射しており、取っ手は金でできていた。
取っ手に手をかけようとしたその時──
「何をしている!」
思わず振り返る。
階段の下。入り口のところに四十代ほどの男が複数の騎士を連れて立っている。
髪色は、くすんだ緑。白髪が交じっているが、それでも緑だと分かる。
「……美しい魂ですね」
思わずそう呟いたのはテミスだ。
慌てて俺も同じような見方をする。
本来、神や使徒であれば単純に相手を見るだけで魂を観測することができる。だから、人違いなどそうそう起きない。
だが、今の俺が魂を観測するには周囲に魔力を広げ、一人一人の魂を纏うようにしなければならない。
そうして少し苦労してみたが、結果は驚きだった。
男の魂に、黒い部分。つまり、汚れた部分はほとんどなかった。
まさしく、純白。
男は一直線に聖女の元へと向かう。
「あれは?」
「教皇ルキシト様ですね」
サリアが解説を入れてくれる。
教皇ということはこの国の最高権力者だろう。
まさに、教皇にふさわしい美しい魂を──
「エミー! 何をしている!」
「お父様っ!?」
「この懇談会は終わりだ!」
ルキシトがそう言うと、背後にいた兵士が広がり、退室の誘導をする。その鎧には金の紋章が刻まれており、どうやらほかの兵士よりも位が高そうだ。
「お、お待ちくださいお父様!」
「ならぬ! 今すぐ終わらせろ!」
3人の兵士がエミーを囲み、そのまま外に連れて行く。
ルキシトは怒ってるような、安堵したような表情を浮かべている。
「皆様。大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんが、どうかお帰りください」
ルキシトは会場にそれだけ言い残して去る。
残ったのは10人余りの兵士たちで、当然俺たちのところにも来る。
「皆様、ご迷惑をおかけしますが、どうかお帰りください」
結局、俺たちも帰されてしまった。
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宿を取り、部屋に入るなりエリスが椅子にドサッと座る。
「なんなのですかあの男は。強引にもほどがあります」
それに対して、テミスも頭を抱えている。
「私の記憶では素晴らしい人物だったのですが……」
「別の方法で行くしかないな」
「夜に忍び込む?」
そう質問して来たのはリアだ。
確かに、それが一番手っ取り早い。神界に行けば地上から干渉されることはないし、素晴らしい案だろう。
「そうだな。なら今日の──」
言葉が止まる。
テミスの額には汗が浮かんでいる。
それもそのはずだ。
一瞬。たった一瞬だが、禍々しい気配。それは、パズズのものに酷似していた。
静寂が訪れる。誰もが病気にかかったみたいに汗を浮かべている。サリアやルディなんかは腕が震えていた。
「……何、さっきの」
リアも指先が震えている。
おそらく、さっきのは警告だろう。
夜に行くことは許さないという。
「……あいつらしくは無いな」
パズズは自らを“絶対悪”と呼んだ。
パズズは真正面から戦って勝てる。だから、複雑な策を立てることは少ない。
そのパズズが、こちらの行動を制限してきた。
「動きにくくなったな……」
〜裏話〜
パーティに行く道中、俺たちはかなり人の目を引いていた。
まあ、当たり前の話だ。
複数人の美少女美女が団体で歩き、そのうちの一人は剣を持っているのだから。
「あの……。ライム様。せめて剣だけでも隠すことはできませんか……?」
「サリアの言う通り。目立ちすぎ」
サリアの言葉にリアも賛同する。
「先輩、パーティに出席するのですから武器はない方がいいと思います」
続けてテミスからの冷静な分析。
なんでこんなに責められてるんだろ……
「わかったよ……」
結局、執行は人目につかないところで異空間収納にしまった。
その名の通り別の空間にしまうのだが、取り出すのが遅れるから嫌なんだよな……
今回、パーティーとかの情景描写(?)に力を入れてみました。
裏話が本当に思いつかない




