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第二十七話 自然と空想

またもやネルガル目線です。

後半からはライム視点に戻ります。

「ほな、ワイは戻るわ。他のやつらとよく話すさかいライムも頼むで。特にティファちゃんはお前が行ってあげぇや」


それを聞いたライム(あいつ)は嫌そうな顔をする。まあ、ワイの知ったこっちゃないわ。


「……わかったよ。」


ムスッとした返事を聞いてからエレシュと門をくぐる。


この門はエレシュが創ってくれた門や。死者の嘆きと怨念で創られたこの門はエレシュの呼びかけでどこもどこでも繋げられる。だからこそ重宝してるんや。




冥府(クル)。そこは光も希望もない混沌。


「はー……、やっぱここは気が滅入るわ……」


その言葉を聞いたエレシュキガルは焦る。冥府(クル)を作ったのも、管理しているのもエレシュキガルだからだ。


「えっ!? ほ、本当……!? えっと……、そのっ……!」

「あ、いや、そういうことやないんや。エレシュの顔が見えにくくなるからや」


それを聞いたエレシュキガルは顔を耳まで真っ赤にする。


「も〜!!」

「ははは」


エレシュキガルにポカポカ叩かれながら歩く。


(にしても……、誰に言いに行こか……)


「ネルガル様。話に行くならイシュタルのところに行きましょう」


それを見据えたかのようにエレシュキガルが話す。

イシュタルとは自然を司る古き神々の一柱(ヒトリ)だ。なぜイシュタルの名を挙げたのか。それは──


「お呼びですか? お姉様?」


背後に緑色の髪を縦ロールにした女性が立っている。

深緑のティアードドレスには所々に薔薇が散りばめられており、頭にはスイセンの花が1輪、美しく咲いている。


「イシュタル……! イシュタルから来るなんて珍しいね」

「非常時ですので」


そう、イシュタルはエレシュキガルの妹なのだ。

雰囲気的にはイシュタルの方が姉なのは言わなくてもいいだろう。


調和(ヴィシュヌ)正義(ラシュヌ)の件ですわよね?」

「そうそう。イシュタルの方でも何か異変は感じなかった?」

「特にありませんでしたわね」


スムーズに会話が進むエレシュキガルとイシュタル。


「それはともかく、エアは何しに来たんや?」


ネルガルが問いかけるとイシュタルの後ろから金髪の10歳前後の少年がいたずらっぽく笑いながら現れる。


大きめの白いジャケットに同じく白い蝶ネクタイ。そして少し大きめの白い長ズボンを着た全体的にダボッとした印象だ。

そして空を映したような瞳は見るものを吸い込むかのようだ。


「あはは。バレてた?」

「ガキが。舐めてるとシバくで」


その言葉を聞いたエアは、慌てて両手を上げる。


「相変わらず君は口が悪いなあ……。僕はちょっとからかっただけじゃないか?」

「……まあええわ」


ネルガルの言葉を聞いてホッとするエア。

一方のエアはこんなことを思っていた。


(僕のほうが立場は上のはずなんだけど……。そんなこと言える雰囲気じゃないよねぇ……)


エアは空想の神だ。

そして空を司ってもいる。立場上はネルガルよりほんの少しだけ上なのだが……


(ネルガルの方が強いからなぁ……)


神々は立場よりも実力を重視する傾向がある。そのため、エアであってもネルガルに強く言えないのだ。


「ほんで、どうするんや?」

「カチコミするしか無いでしょ。まあ、戦力は十分に集めたいから、古き神々(みんな)集まってからかな」

「久しぶりの戦ですわね」

「捕虜の拷問なら任せてね……」


エレシュキガルが物騒なことを言っているが彼女は尋問官でもあるので当然だろう。


「ほなライム待ちかぁ……」




───────────────────────




ネルガルが去ったあと、俺は天界に行く方法を考えていた。


(……やっぱり神殿に行ったほうがいいか。この世界で最も優れた神殿)


「有名な神殿って何がある?」

「えっ? 急ですね……」

「ギリシュ教国とかいいんじゃない?」


ルディの提案にサリアがコクコクと頷いている。リアまで頷いているあたり相当有名なようだ。


「主神は?」

「創造神ティファ様よ」

「うへぇ……」


主神とはその地域で最も信仰されている神だ。その地域の神殿のほとんどは主神へとつながっている。


(わがまま言ってられないな……)


「わかった。ならギリシュ教国に行くぞ」

「え、でもマリーさんたちはどうするんですか?」


そうだった。俺は今教師なんだ。


「ニグに全て任せれば良い」


ニグは元々天界の住民だ。だから天界に行くこともできる。俺たちが天界に着いた頃にニグと天界で合流したらいいだろう。


そう決めてからはすぐに学院に戻ってからエリスとニグに状況を説明する。


「ふむ。ならば我に任せよっ!」


どうやらニグが生徒たちには説明してくれるらしいので俺達はすぐに法廷(オリジヌ)に転移する。


それじゃあ──


「ギリシュ教国に向かって出発だ!」




イシュタル

略称:なし

種族:神 性別:女

髪色:緑髪にスイセンの花飾り

瞳色:緑色 髪型:縦ロール

身長:171cm 体重:49kg

年齢:遥か昔

一人称:(わたくし) 二人称:貴方(あなた)

ライムを呼ぶ時:ライムさん

好きな食べ物:自然由来の食材

嫌いな食べ物:人工的に創った食材

 エレシュキガルの妹。自然を司る神。スイセンの花飾りは大昔にエアから貰ったもの。


エア

略称:なし

種族:神 性別:男

髪色:金髪

瞳色:空色 髪型:ナチュラルショート

身長:141cm 体重:36kg

年齢:遥か昔

一人称:(ぼく) 二人称:(きみ)

ライムを呼ぶ時:ライム

好きな食べ物:鮭

嫌いな食べ物:辛いもの、苦いもの

天空と空想の神。自分の思い描くままに何でも現出させることができる。一応立場としては現存する神で最も上。




〜裏話〜

イシュタルが冥府(クル)に着く前──


「エア。私はお姉様のところへ行ってまいりますわ」

「なら僕もついていこうかな。どうせネルガルも居るだろうし」


エアはイシュタルの背後に回る。


「何をなさっているのですか?」

「少しあの二人を驚かせようと思ってね」


いたずらっぽく笑うエアにイシュタルは苦笑いを浮かべる。


「どうなっても知りませんわよ」

最近やる気が上がる上がる。

そろそろ現実逃避やめないとなぁ…

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― 新着の感想 ―
エアくん!覚えたぞ! そして、サリアちゃんがこくこく頷いてるの可愛い
2025/08/24 06:59 クライラク
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