第二十六話 対策
モチベあがったから投稿頻度上がりました。
わかりにくいかもしれませんがどうぞ楽しんでください!
「「「あっ」」」
3人の声が重なる。
一つはサリア達に全てを任せてきたライム。
もう一つはボーッとしていたネルガル。
そして最後は黒髪に紫色のメッシュが入ったボブカットの左目に黒い眼帯をつけた少女、エレシュキガルだ。
エレシュキガルの左手には包帯が巻かれており、ひらひらとした黒と白のドレス。いわゆるゴスロリドレスを着ている。
「ら、ライムくん……? な、何でここに……?」
「何しに来たん? 暇なんか?」
ネルガルはいつでもウザいな……
「お前が大変な──」
「あ、せや。テミスちゃんが力取られたっぽいで? 大変やなあ」
「……。そうだな」
相手するのは面倒くさい。ネルガルは無視したほうが良いのだ。
「え、ま、待って……。ネルガル様……? 何が起きているんですか……?」
ネルガルが軽く説明をするとエレシュキガルの目が見開かれる。
「それ、大変じゃない……? すっごく大変なことになってない……?」
「ああ。とりあえず法廷に戻るか……。ネルガル」
「へいへい」
ネルガルはテミスを投げた時のように法廷と現在地の距離を殺す。
───────────────────────
「ライム様っ!? え、えっと……、そちらの方は……?」
着いた先はサリアの目の前だった。
「誰やこの娘?」
「後で話す」
突然背後から話しかけられる。この声は──
「パスやないか。懐かしいなあ」
「ひ、久しぶり……」
「いいから、治療手伝って」
パスが歩いていった先にはテミスが寝ていた。
テミスの腹部の傷の上では痕跡の書が開かれたまま浮いている。
「今、痕跡の書から傷があった事実を消してるからネルガルは同時に傷を殺して」
「りょーかい」
そうして始まる治療、テミスの傷はどんどん治っていく。
そのうちに俺はサリア、ルディ、リアを集めていた。
「まず、今回テミスから奪われたのは調和と正義だ」
そうして権能の説明に入る
「調和を司る調和。その権能は““並行世界との調和””だ。全ての行動において、選んだ世界と選ばなかった世界で並行世界が存在している。その並行世界を調和させることで同時に二つ以上の結果を得れる」
3人ともポカンとしている。
どうやら突然のことすぎてこんがらがったのかよくわかっていないようだ。
「例えるなら……、俺が今からネルガルを攻撃するとする」
「何でワイ?」
セネガルが治療から戻ってきたらしいが気にせず続ける。
「その時、俺は““殴る””、““蹴る””、““魔法””などの様々な方法があり、その選択によって並行世界が生まれるんだ」
「だから何でワイ?」
「そして、調和が並行世界で使用されている場合、その選択をこの世界に再現することができる。さっきの例えで行くなら、ネルガルには蹴ると魔法が飛んできたという結果だけを再現されて傷を負い、同時に俺の殴りも当たる」
そう、調和は汎用性が高いのだ。どんな能力と組み合わせても邪魔にはならない。
相手にするなら相手が調和を使った瞬間に自分の全身に結界などを張って全ての攻撃を防げるようにするだけだ。
「なら、正義はどうなんですか?」
「前提として、戦いとは正義の押し付け合いだ。勝ったほうが正義。正義はそんな正義を決めることができる。尤も、戦いの勝敗を決めるのではなく、自分より総エネルギー量が少ないものを自在に操れるって能力だがな」
そんな話をするとリアが不思議そうに聞いてくる。
「もしかしてあんまり強くない?」
「そんなことはない。例えば魔法とかも操れるから、正義を持っているやつに攻撃するためには相手の総エネルギー量を超える威力じゃないと話にならない。だが、そんな高威力の攻撃なんて予備動作もいるし、当たるわけないがな」
そうして話しているとパスが歩いてくる。
「治療終わった。でも能力の復元はムリ」
パス曰く、そもそも痕跡の書から消えているとのことだ。
「……しばらくはヒューに任せる。私よりは確実に耐性があるから」
そう言い残してパスはヒューに変わる。
「何でヒューの方が良いの?」
「ふっふっふ。それはねルディちゃん、私の能力は調和や正義より上位にあるからだよ!」
そう、ヒューの能力を使えば相手がいつ調和を使うか、正義で何をするかを知ることができる。だからこそ耐性が高いのだ。
「ほな、ワイは他の対抗できるようなやつに連絡するわ」
そうしてネルガルは他の古き神々へ連絡をする。
───────────────────────
緑の草花が咲き乱れ小鳥のさえずりが聞こえる庭園。そこには十歳程度の金髪の男の子と二十歳程度の緑髪の女性が向かい合って紅茶を飲んでいた。
「あら、何か大変なことが起きてるらしいですわね?」
「そうだね。僕もがんばらないとなー……」
空の中央で夜と昼が分かれ、太陽と月が同時に見える海岸。そこには三十代とみられる少しひげを生やした茶髪の男性が椅子に座っており、十七歳程度の月白色の髪をした少女が隣に立っていた。
「おっさん? タバコ、煙いんだけど?」
「……悪かったな」
太陽が煌めきタバコが塵となる。
「これから大変になるね」
「……そうだな」
輪廻の廻る宮殿。そこでは一人のボサボサな青髪の女性が呟いていた。
「もっと休んでたいなー……」
地獄の業火が燃え盛る裁判所。そこは紫髮の少女の管轄だった。
「私も暇じゃないんだけど……!」
かくして、古き神々も現状を知ったのだ。
───────────────────────
エレシュキガル
略称:エレシュ
種族:神 性別:女
髪色:黒髪に紫色のメッシュ
瞳色:紫色 髪型:ボブカット
身長:159cm 体重:41kg
年齢:遥か昔
一人称:私 二人称:貴方
ライムを呼ぶ時:ライムくん
好きな食べ物:甘いもの
嫌いな食べ物:苦いもの
ネルガルの事が大好き。ちょっと「愛が重いかも」と本人も自覚しており自制しようとは頑張るが暴走することもある。神々の役割としては尋問官。
〜裏話〜
「そんで、この子たちは誰や?」
ネルガルが改めて聞くとヒューがネルガルに痕跡の書を投げ渡す。
「あっ、読めってことやな?」
「そう。説明するの面倒だからね!」
ネルガルが痕跡の書を呼んでいるとエレシュキガルが座っているネルガルの肩に顎を乗せながら覗き込む。
「くっつきすぎや」
「嫌ですか……?」
「……好きにせい」
ぶっきらぼうに答えるがネルガルの顔は赤い。
俺は何を見せられてるんだ?
そろそろモチベ下がってきた……
追記︰「セネガル」ではなく「ネルガル」です。キャラ名間違えてました。メソポタミア神話について調べていただくと間違えているとわかるはずでず。セネガルは国でしたね……