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第二十二話 厄介生徒

ごめんなさい

失踪するつもりとかは本当になかったんですけど気付いたら時間が経ってました。

「まだそんなに時間が経ってないはずなのに懐かしく感じるな」


俺はサラスの校門の前で一人呟く。


「本当、久しぶりって感じよね」


ルディも賛同してくれる。

それから俺たちは学園長室に向かう。

ドアを開けるとそこには──


「やぁライムくん! 待っていたよ!」


へらへらとしたホルストとその横に立っているエリル先生がいた。


「Sクラスに上げるまでですよ?」

「もちろんわかってるよ。そしたらすぐに卒業証書もあげるから」

「……教室は?」


ここまで来たら引き下がることもできないだろう。


「そこまではエリル先生が案内するから」

「そういうことなので、ついてきてください」


俺たちは言われるがままにエリル先生についていく。

ついたのは教室にしては大きすぎる部屋だった。


エリル先生は扉の前で止まる。


「この教室です。ではあとはお任せします」


エリル先生はそそくさと離れていく。

なんでそんなに急いでるんだ?

だが、教師は忙しいものだし仕方ない……。

そう思いながら教室の扉を開けると──


矢が飛んできた。

反射的に俺はそれを掴む。


「くそっ! あともうちょっとだったのに!」

「次は外さないよ」


矢が飛んてきた方を見ると二人の男子生徒がいた。

赤髪の方ががはやし立てており、矢を撃ったのはクロスボウを持った茶髪の男子生徒だ。


俺は矢を見る。

矢はしっかりと尖っていて先端には毒まで塗られている。


普通の者が当たったら即死だろう。


俺は教室を見渡す。

教室にはあと2人いたが特に気にする様子もなく話している。


「俺が今日からお前たちの教師になったライムだ。早速だが、自己紹介をしてもらいたいと思う」

「誰がお前なんかの言うこ──」


赤髪の男子生徒が何かいいかけていたがエリスを見た瞬間言葉が止まる。

エリスが少し魔力を解放して威圧していたからだろう。


「一応言っておくが、俺は優しくないから気に入らないことがあったら手が出るかもしれない。その時の命の保証はしないからな」


無論冗談だ。

さすがにそこまで暴君ではない。

だが、こんなにやんちゃな生徒たちにはこのくらいがいいだろう。


そこから全員に自己紹介をさせる。


最初は俺に矢を撃ってきた茶髪の男子生徒だ。


「僕はジーク・フレイト。狙撃手で特にクロスボウが扱えるよ」


先ほどのことがなかったかのように平然と話している。

次は赤髪の男子生徒。


「チッ、俺様はサラム・マルドラ。炎魔法で俺様は最強だ」


こっちは反抗的な態度は残ったままだな。

次はうさ耳のカチューシャをつけたウェーブの金髪の女子生徒だ。


「ワタシはフローラ・ラミレールでス! 動物が大好きデス!」


すごいカタコトの話し方だが、親しみやすい声をしている。

次は青髪で三つ編みの女子生徒。


「……!? あ、私?! えっと、マリー・スウェー厶で、えぇと……、水魔法が得意です!」


一瞬しゃべらないのかと思ったがボーっとしていただけらしい。

すこし妙な気配がするし、こいつがこのクラスで一番強いだろう。


合計4人。

誰もかれも特徴の強い生徒たちだ。


(まずは力関係を明確にするのが先か……)


誰だって自分より劣っているやつに従いたくなんかない。どこかが優れているから従うのだ。


「よし。お前らは俺の実力を疑っているようだし、一度模擬戦でもするか」


全員の目の色が変わる。

どうやらこうなるのを待ち望んでいたらしい。




場所は変わって訓練所。

ここならある程度の攻撃も耐えることができるが念のため補強魔法をかけておこう。

俺は補強魔法をかけ終わると生徒たちの方を向く。


「誰から来る?」


真っ先に前に出たのはサラム・マルドラだ。


「史上最速でSクラスに行っただ何とか知らねぇが、格の違いを見せてやるよ!」


サラムは腰にかけてある剣を抜く。


「こいつは“炎剣ブラームス”! 炎魔法の効力を底上げし、敵を焼き尽くす業火そのものだ!」


そう言うとサラムはブラームスに炎を纏わせる。

自己紹介の時もいっていたがこいつは炎魔法を得意としているらしい。

ならばこちらも炎魔法を使ったほうが俺の力を示しやすい。


ブラームスに炎を纏わせたサラムは斬りかかってくる。

纏われた炎はゆうに数千度を超えるだろう。

だが──


「そのくらいじゃ俺には届かないぞ。火炎(ファイア)


俺の使った初級の炎魔法によりブラームスの刃は溶け、使い物にならなくなる。


「「「「は……?」」」」

「次。誰だ?」


ほうけている生徒たちを無視して俺は次の相手を聞く。


「面白いね。僕もやってみるよ」


名乗り出てきたのはジークだ。


「10秒後に開始でもいいですか?」

「何の問題もない」


ジークは歩いて距離を取り始める。

クロスボウを使うなら距離があったほうが有利だし、当たり前の提案だ。

10秒後──


「じゃあ、行きますね!」


ジークが矢を放つ。

矢には風魔法が纏っており、刺さればそのまま風で肉を引き裂かれるだろう。


だが、俺は気にせず歩いて距離を詰める。

そもそも武器が弱い。この程度の武器じゃどうやっても俺に傷を与えることはできないのだ。


俺に当たった矢はそのまま弾け飛ぶ。


「……降参です。僕が勝てる相手じゃなかった」


ジークはそのまま降参する。

もしサラムだったら逆上してさらに攻撃を仕掛けていただろうがジークは冷静なようだ。


「次はワタシですネ!」


次にでてきたのはフローラだ。


「ゴー! 従魔たち!」


フローラの影から狼や蛇などの多種多様な魔物が這い出てくる。


おそらくフローラは従魔師(テイマー)なのだろう。

従魔師(テイマー)の中には従魔を我が子のように可愛がる者もいるため安易に従魔を殺すことはできない。


「“睡魔(スリープ)”」


睡魔(スリープ)はその名のとおりに対象を強制的に眠らせる魔法だ。

この魔法なら傷つけること無く無力化することができる。


フローラが呼んだ従魔は一匹残らず深い眠りにつく。

俺はすこし安堵する。フローラが呼んだ従魔の中にはBランクに匹敵するものもいたため、睡魔(スリープ)で無力化できるかすこし心配だったからだ。


「アレ? みんな寝ちゃいましたネ。私の負けですネ!」


フローラは笑いながら負けを認める。

さっきからそうだがサラム以外はそこまで勝利にこだわってないようだ。


「さ、最後は私ですね……」


最後にスウェー厶が俺の前に歩いてくる。

やっぱり変だ。この感覚はまるで──


「お、お願いします!」


スウェームが挨拶をすると同時に巨大な津波が押し寄せる。

ただの津波ではない。魔力を込めた水を濃縮させたものであり、触れるだけで魔力に侵されひとたまりもないだろう。


だが、俺はこれの対処法を知っている。

なぜならこの技は“水神霊ネレイド”の技だからだ。


水神霊ネレイドの攻撃は基本的にそれを上回る力をぶつければ相殺できる一方、それ以外で防ぐ方法はない。


だが、神や神に近しいものは地上にいると制約を課せられ、能力や力が大幅に激減する。

そのため今の俺はこの津波以上の攻撃を出すことができない。だから防げない。



……これもしかしたら負けるか?




サラム・マルドラ

略称:なし

種族:人間 性別:男

髪色:赤髪 瞳色:赤 髪型:少し長めのツンツン

身長:179cm 体重:69kg

年齢:18歳

一人称:俺様(おれさま) 二人称:お前(おまえ)

ライムを呼ぶ時:先公(せんこう)

好きな食べ物:牛乳(背を伸ばすため)

嫌いな食べ物:魚介類

自信に満ち溢れている。悪く言えば自信過剰。だが、兄に劣っている自覚がありそれをごまかすためこのような態度になった。身長が180cmに届いてないことを少し気にしている。


ジーク・フレイド

略称:なし

種族:人間 性別:男

髪色:茶髪 瞳色:茶 髪型:エアリー

身長:181cm 体重:73kg

年齢:18歳

一人称:(ぼく) 二人称:(きみ)

ライムを呼ぶ時:ライム先生

好きな食べ物:野菜

嫌いな食べ物:脂っこいもの

サラムの幼馴染。サラムの性格は根が似ているため仲良くなれた。身長が180cmを超えていることにすこし優越感もある。


フローラ・ラミレール

略称:なし

種族:人間 性別:女

髪色:金髪 瞳色:金色 髪型:ロングウェーブ

身長:169cm 体重:48kg

年齢:18歳

一人称:ワタシ(わたし) 二人称:アナタ(あなた)

ライムを呼ぶ時:先生

好きな食べ物:野菜

嫌いな食べ物:動物類

動物が大好きすぎて基本的に何かの動物のカチューシャをつけている。動物を食べるのは抵抗があるがそれだけでヴィーガンというわけではない。食べるときは食べる。


マリー・スウェーム

略称:なし

種族:人間 性別:女

髪色:青髪 瞳色:青目 髪型:三つ編み

身長:161cm 体重:44kg

年齢:18歳

一人称:(わたし) 二人称:貴方(あなた)

ライムを呼ぶ時:先生

好きな食べ物:魚介類

嫌いな食べ物:青野菜

いつもボーッとしているため反応が遅い。それに自らあまり話さないのでクラスの中には話したことがない人もいる。




〜裏話〜

ライムが教室に来る前──


「聞いたかジーク? 新しい先公が来るってよ。しかも史上最速でSクラスに登ったらしいぜ?」


「もちろん。面白そうだよね。──出会い頭に矢でも撃ってみる?」


「おもしろいな! 賛成だ!」


サラムとジークは二人で盛り上がっている。

ジークはすぐに矢の準備をし始め、サラムはその様子がよく見えるところに移動する。

それを見てオドオドしていたのはエリーだ。


「え、えっと……、さすがにそれは辞めたほうがいいんじゃ……?」


「むだムダ。どうせ言っても聞かないと思いマス」


エリーの声は小さすぎてサラムとジークに届かないし、フローラは止めるつもりがない。


「だ、大丈夫かなぁ……」

モチベーション向上のためにも評価とブックマーク登録お願いします。

少しずつ投稿頻度が上がると思います。

本当に失踪しないためにもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
初コメです!サリアちゃんを嫁にしたいと常々思っております ライム…ついには教師もしてしまうのか。 新キャラも出てきて、ワクワクがとまりません! 無理のない程度に執筆頑張ってください!
2025/03/14 21:40 クライラク
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