第二話 出会い
すきま時間がなかなかない……
俺は爆発音がしたところへたどり着いた。豪華な馬車の前で女騎士が熊を相手している。爆発熊だ。
助けてやるか……俺は爆発熊に掌底を入れる。表面上は無傷だが、内臓はずたずたになっているだろう。
爆発熊が倒れると、女騎士は唖然としていたが、すぐに剣を構える。「何者だ」震える声で問いかけてくる。
どうしたものか……何か理由がないと不審に思われるよな。考えた結果、こう答えることにした。「俺はライム。学園国家ムサミューズに向かう途中だ。」
俺の外見年齢は15歳ほど。それならば入学生だといっても不自然ではないだろう。そういう考えのもと、世界一の学園国家ムサミューズの名を出した。
女騎士は緊張がほぐれたようだが、ハッとした顔をしてすぐに馬車へ向かった。「ご無事ですか?! 姫様!」どうやらどこぞの王族だったらしい。
馬車の扉を開けると、一人の女の子がうずくまっていたが、こちらに顔を向けた。光のような金髪に紫色の瞳。15歳ほどだろうか。
「外はもう大丈夫なのですか? フォルム?」どうやら女騎士はフォルムと言うらしい。
「はい こちらのライム殿のおかげで」俺は馬車の中に入って自己紹介をする。「さっき紹介されたライムだ」
「私はサリア・フォン・フェイルです」その女の子……サリアは慌てて挨拶をする。
フェイル王国って言えば指折りの大国じゃないか。それがなんで護衛一人で?
素朴な疑問は聞くに限る。「なんで護衛一人で?」俺が聞くとフォルムが答える。
「サリア王女もムサミューズに向かう途中なのですが国王が反対していて……」「それで抜け出してきたと」俺が続けるとフォルムが頷く。
ムサミューズに行くデメリットなんてないようなもんなのに馬鹿なんじゃないか?そう考えているとフォルムが丁寧に聞いてくる。
「申し訳ありませんがムサミューズまで護衛を頼まれてくれませんか?」なるほど、俺の行き先はムサミューズだしな。
「もちろん 確実に守れるとは言えないが」俺は一応付け加えておくと、フォルムが笑いながら言う。
「B+ランクの魔物を素手で倒す人はそんなこと言えませんよ」サラッと人外呼ばわりされた気がするんだが……
それより気になったのはランクというものだ。俺が最後に地上に降りたときは無かったな。
「そ……」「あっ 馬車動かしますね」ランクについて聞こうとしたが、フォルムは思い出したように御者席に向かう。
「ライム様は馬車の中へどうぞ」サリアに呼ばれる。そうだな……サリアに聞くか。
「そういえばランクって?」馬車が動き始めると、俺はランクについて聞く。「ご存じないのですか?」サリアは驚いたようだ。俺は小さく頷く。
「ランクというのはF〜SSSまでの魔物の強さです F〜Dまでは冒険者で倒せますがそれ以降は違います Cランクは聖騎士級 Bランクは聖騎士小隊級 Aランクは一国の軍に相当してそれ以上は災害に分類されます」
また新たな疑問が湧いてくる。「じゃあ+とかは何なんだ?」「+や-は勝率を表します -は六割以上の確率で勝つことができ+は四割以上の確率で勝つことができます」
なるほどな……しかしそう考えると俺は化け物じゃないか。
そうこうしながら雑談を交わしているとフォルムの声が聞こえる。「もうすぐムサミューズに着きますよ」
窓の外には高い外壁に囲まれた学校が見えてくる。あれがムサミューズか。
今回もキャラデザ書いておきます。
サリア・フォン・フェイル
身長159cm 体重39kg
Aカップ
おとなしい性格だが、自分で決めたことはしっかりする強い意志を持っている。
フォルム
174cm 50kg
Eカップ
フェイル王国でも1、2を争う実力者。サリアの専属の護衛をしており、どんなことにもサリアの意志を尊重する。