外伝 ライムの過去
ライムの過去です。
結構重要なのですよ!
パスは一人、一冊の本を広げていた。
それはその人物の過去を全て記録された本だ。
そしてその人物は──
“ライム”
〜ライムの過去〜
「有罪」
冷たい声が響き渡る。
場所は“法廷”
裁判長は白髪に緑色の瞳の男──ライムだ。
被告人は殺戮の悪魔ベリアル。天界の規定において違反が15件、そのうちには神の殺害も含まれている。
「は? なんで有罪なんだよ!?」
赤髪の若い男の容姿の悪魔が叫ぶ。
「神の殺害が4件、さらに世界の無断破滅が7件そして戦禍を広めたのが4件。全て規定違反だ。」
ベリアルが犯した罪を一つ一つ読み上げる。
「証拠も十分、アリバイもなければ否定する素振りすらない。当たり前だ。」
そう言い残してライムは剣を取り出す。
その剣の名は“執行剣ディアム”。
罪を犯したものに対して確実な死刑を執行する剣。
「何か言い残すことはあるか?」
せめてもの情としてライムは遺言を聞く。
「なんでだよ?! あっちから喧嘩売ってきたのになんで俺が冥獄府にいかなきゃならねーんだ?!」
「!!! チッ!」
ベリアルは唱えてしまった。
それは冥界の監獄、冥獄府を開放するものだった。
冥獄府はその存在を認めただけで解放されるほどに不安定なのだ。
なので本来は“矛盾の間”という空間を作ってからその話に移る。
そして冥獄府には重罪を犯した神や邪神、怪物など様々なものがいる。
だが、数が多いだけではライムには敵わない。
数が多いだけならば……
目の前には蛇の髪を持った二十代後半程の男、トゥポンが立っている。
「何が起きてやがる?! やめろ!」
トゥポンはベリアルを吸収し自らの糧とする。
「罪人よ、我に力を」
「!!!」
それは一時的に罪人の力を全て扱えるようになる方法。
“トゥポン”それは冥獄府の中でも最強の邪神。
そのトゥポンが全ての罪人の力を使えるようになった。
それが意味する答えは……
「すこし…… いや、かなりまずいな。」
「“次元掌”」
“次元掌”は自分の拳の中の空間と対象の空間を同化し、空間ごと握りつぶすことができる技だ。
ライムの“次元掌”ですらなんの痛痒も与えない。
「“神罰の斬像”」
“執行剣ディアム”を使い繰り出したのは罪と命を重ねて斬ることで必中必殺を可能にした技。
しかし、これも届かない。
「堕ちたものよ…… ライム」
トゥポンが低い声でそういったあと、手をこちらに向ける。
「“蠅王の呪殺”」
「“護神の盾”!」
さっきの技はバアル・ゼブブの力だ。
「面倒になりそうだな」
ライムは強かった。
始まりの神であり裁判長、同時に執行人でもあり最も重要な立ち位置にいた。
執行人であるゆえ負けてはいけない。
常に最強でなければならない。
ライムはそのために強くなった。
戦い始めてから数日した。
(これは多少のリスクを背負っても決着をつけるしかないな)
「“憑依核滅”!」
ただの“憑依”であれば力の根源たる“核”を壊さなければならない。
だがこの技は“核の移動”だ。
そして相手の体で自滅魔法を仕込んで戻す。
この技のリスクはまず体を乗っ取られる可能性がある事と相手の力で自らが変異する可能性があることだ。
そしてライムは後者を引き当ててしまった。
急に脱力感が襲う。
(賭けに負けてはないが勝ってもないな)
思わず苦笑いする。
トゥポンは跡形もなくなっている。
「これからどうしようかな〜」
天界の規定で神は神でしか裁けないという物がある。
つまりの仕事は続行できないのだ。
それは部下に任せればいいが……
(誰か重要職の使徒にでもなるか)
そうすれば口出しすることもできるのだ。
(ヒューは論外。パスもヒューがいるから論外。そうだな…… そう? 創造神だ!)
創造神は重要職だ。
我ながら完璧だな。
部下のテミスにあとを任せ俺は創造神の使徒となる。
ちなみにこれはティファの十五代くらい前だ。
そうして史上最強の使徒、ライムが誕生した。
正直に言うと「早く出したいなー。でも今から繋げても変になるだけだしな〜、ならこうだそう!」
という感じで書きました。
伏線作るのって難しいですね。