第十四話 冥界の扉
なんでこっちばっかり更新してしまうのか……
扉を開けると大きな魔法陣の上にファルセトが立っていた。
だが…… それ以上に……
「この死体の山はなんだ?」
老若男女問わず血だらけになった死体が魔法陣の周りに積まれていた。
「“冥獄府”に行くための生贄だ。それ以外何に見える?」
「“天界規定第十四法、違反のための殺害”」
「は?」
思わず呟いてしまった。
前のクセが抜けてないな……
「ぶっ飛ばすっていう意味だ」
「やってみろ」
「私がやる」
リアが前に出る。
「“鮮血震波動”」
これも血だな。
エリスの赤を多少強化した感じだな。
「“反射”」
リアの攻撃はそのまま反射し自らに返っていく。
「気をつけろ」
とりあえず障壁で防ぐ。
リアは少し黙ったが俺を見上げてくる。
「そんなことしなくても自分でどうにかした。」
(めんどくさいやつだな……)
こんなに曲がったやつなんだからさっき顔が赤くなったのは気のせいだろう。
「“崩滅”」
「“反射”──?!」
ファルセトはまた跳ね返そうとするがそれはできない。
「なぜっ?!」
口から血を吐きながらファルセトは叫ぶ。
「俺が滅ぼしたのは“反射”だ。“反射”という概念にはその能力はないに決まってるだろ?」
つまり、“反射”とはバフのようなものだ。そのバフがついていると攻撃が反射される。
さっきはそのバフを引っ剥がしたみたいなものだ。
「貴様ッ!」
「“冥獄府”で何をするつもりだった?」
「答えるわけもない」
リアがファルセトの血に近付く。
「“冥獄府”の罪人を解き放ち自らが王になろうとした」
「なっ?!」
「細胞の記憶をよんだか」
おそらく赤血球の記憶を辿ったのだろう。
「ククク…… だが、これで終わりではないぞ」
「あ?」
「“召喚 傲慢の使徒”ッ!!!」
「!!」
「?」
リアはあまりわかってないようだ。
“傲慢の使徒”は“冥獄府”の重罪人の一人だ。
元は神の使徒だったが裏切って三人の神を滅ぼしている。
「愚民どもが…… だがこの私を呼び出したことは褒めてくれよ──ライム…… だと?」
「早速だが、死ね。“惨憺たる崩滅”」
出てきた瞬間に殺された“傲慢の使徒”。
「今のなんだったの?」
「さぁな?」
流石に同情したのでもう少し説明してやる。
“傲慢の使徒”はなかなかに強い使徒だった。
殺した神も破壊神と戦神、魔法神といった神の中でも上位に君臨する神だ。
“冥獄府”の中でも強い方だった。
“冥獄府”にぶち込んだのも俺だしな。
時間が経つとリアを守りながら戦うのがめんどくさかったし、仕方ないよな?
「なぜ…… なぜだ……? “傲慢の使徒”がこうも一方的に……」
「俺のほうが強いからだろ」
「ライム……? まさか貴様は──!」
「それ以上は駄目だ。“崩滅”」
ファルセトも滅ぼす。
「ちょっとかわいそう……」
「そうか?」
リアに同情されている二人。
「お前はどうする?」
「あなたについていく」
「嫌だ」
「無理」
まじでやめてほしい。
「どうしてそうなるんだよ?!」
「役には立てる」
確かに情報を集めることにおいてこいつはすごい有能だろう。
だがさらに今の状態がややこしくなりそうだ。
「それでもなぁ、俺にも拒否け──」
「契約」
勝手に俺の手を取って従魔登録を行うリア。
「おぉ〜い?!」
「もう逃げられない」
「契約解じ──!」
「させない」
なんでこうも自分勝手なやつばっかなんだ。
「責任とって……」
「なんて?」
「なんでもない」
リアの小さな声はライムには届かなかった。
「血、頂戴」
リアが手を広げる。
「なんで?」
「貧血で倒れる」
よく見たらさっきより顔が青白い。
「もしかしてさっきの技って自分の血を使ってる?」
「端的に言えばそう」
「早くしろよ」
少し服の襟を下げる。
「いただきます……」
今の状態は抱き合っているのに近いので落ち着かない。
(サリア達が来たりしないよな……?)
「おいひい」
「じゃあそろそろもど──」
「あともうちょっと」
─三十分経過─
「帰っていい?」
「あと少し」
その後2時間ほどしてからようやくリアは満足した。
─キャラ設定──────────────
リア・シャウト
種族:闇夜の血薔薇 性別:女
髪色:黒髪 瞳色:赤 髪型:ボブヘア
身長:172cm 体重:44kg カップ数:B
年齢:548歳
一人称:私 二人称:貴方
ライムを呼ぶ時:ライム
かなりマイペースである。さらに他人を自分のペースに合わさせるのが異常にうまい。
ファルセト
種族:吸血鬼 性別:男
髪色:黄土色 瞳色:黄土色
身長:193cm 体重:81kg
年齢:935歳
一人称:私 二人称:貴様
自分に絶対的な自信がある。天界の事もかなり知っている。
ルシファー
種族:堕・熾天使 性別:男
髪色:くすんだ金色 瞳色:金
身長:196cm 体重:86kg
年齢:12万5369歳
一人称:私 二人称:愚民
神に反逆した数少ない使徒。神にもまさる力を持っているが相手が悪かった。
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〜裏話〜
─これはルシファーが神を殺す時の話───
「貴様ッ! 裏切る気か?!」
戦神は驚いていた。
忠実だったルシファーが自らに牙を剥いてきたからだ。
「黙れ雑魚。この私に命令して良いとでも思っていたのか?」
「貴さ──」
「“輪廻からの離脱”」
戦神は生命の輪廻から外された。
「させないぞ!」
魔法神は戦神を輪廻へ戻そうとする。
「“複製”」
ルシファーは破壊神の力を複製する。
「“激烈流星雨”」
ルシファーは冷静に二神を滅ぼす。
「くだらん」
「そうだな。これからのお前の生はくだらないものになるぞ」
「ライムか…… 我に楯突くの──」
「“強制送還 冥獄府”」
「なっ!──」
「しっかり反省してな」
それからルシファーは地道に地上へ進出する計画を立てる。
その先にまたライムがいるとは知らずに……
ルシファーが可哀想なので気が向いたらもうちょっと掘り下げてあげます。