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Truth Of Legend  作者: 座敷猫
第三章:アミナス教国編

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49話:罪を滅し、来たれり

〜前回のあらすじ〜

降臨祭の日、魔王によるアミナス教国・首都ヤーラへの攻撃を皮切りに幕を開けた人類連合軍と魔王軍の戦い……

人類を率いるスーヤ騎士団でも指折りの実力者であるエルフ達が先陣として切り込む中、遂に人類の宿敵たる魔王"ハイル"がその姿を表した──────!!


※今回はエルフ族の騎士であるグラシアが視点の話です

「──────まだだ……(さだ)まれ……!!」


 前方に立つ樹木の魔物……奴が漆黒の外套(がいとう)の隙間から出した触手状の枝を拳のように握り締めたその瞬間、身体から放たれる滅紫色(めっししょく)の魔力が収束していき……別の色へと変貌(へんぼう)を遂げる。


 それは、全てを()らい()くす闇──────

 先程巫女(みこ)の不可視の斬撃を正面から防ぎ切った滅紫色の魔力の(よろい)を更に凝縮(ぎょうしゅく)したオーラ……

 その防御力が如何程(いかほど)のものか、これまで幾多(いくた)の戦場を一角獣(ユニコーン)と共に駆け抜けてきたグラシアであってさえ、計り知れるものではなかった。



 "魔王ハイル"

 魔界で生まれた最初の魔物にして、長年に渡り大陸タルシスカに攻撃を仕掛けてきた魔族の(おさ)

 その容貌(ようぼう)はスーヤ騎士団員のみが閲覧(えつらん)出来る過去の戦争の資料で見たものとは異なっていたが、その身から放たれる禍々(まがまが)しくも絶大な魔力と対面しただけで息が詰まる(すさ)まじい威圧感(プレッシャー)……



「魔王……ハイル……!!」



 ────そして何より、実際に対峙(たいじ)した経験のある巫女(レイア)が今し方発した言葉から考えて、奴こそが魔王ハイルであることは疑いようがない。



「我が騎士グラシア……魔王までの道を、その手で切り開くのです」

()け……!!あの忌々(いまいま)しき樹海(じゅかい)までの道を切り開くのだ」


 人類連合軍と魔王軍、双方の(トップ)の命令が戦場に(ひび)く。

 瞬間、魔王の命に(こた)えんと巫女の攻撃に(ひる)んだ筈の魔族の大群が再び押し寄せてきた。


「行くぞ!ユニコーン!!」


 それに対しグラシアもまた、自らが役目を果たさんと一角獣の背中(後ろ)に巫女を乗せ戦場を駆け出すのだった。


「────【一角獣の行進(イーラ・ユニコルノ)】!!!!」


 魔王を神秘の森に到達させるわけにはいかない……その想いを乗せて放つ技は一角獣の突進と構えた騎槍(ランス)、そして雷と風の奇跡の合わせ技。

 一角獣の力により底上げされた威力(いりょく)は凄まじく、文字通り放たれた魔法ごと敵の隊列に大きな風穴を空けた。



「────【地獄の業火(インフェルノ)】!!!!」


 その奥から迫り来るは魔王の業火。

 魔族にとっての基本的な魔法……だが魔王が放つソレは、他の魔族が放つモノとは比べ物にならない程に大きく一気に広範囲へと広がる。

 水の防御結界(けっかい)────人の子達が使う防御魔法に相当する技で防ぎ切れるか。

 一瞬の判断が死に直結する戦場……目の前を(おお)灼熱(しゃくねつ)の壁を前にグラシアが表情を(しか)めた、その時だった。



『ビュオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!』


 突如目の前に大きな影が飛び出て、風の奇跡を(まと)いし剣で業火を斬り払う。

 それを成したのは……広げた翼で一角獣(グラシア)達に追走(ついそう)してきた大陸最強の剣士────ペルデール。


「〜♪」


 刹那(せつな)、彼の働きに続いて巫女が再び歌を(ヤイバ)に乗せて魔王へと斬撃を放つ。


「「「グギャアアアアアアアアアアッッッ!!!」」」


 ……が、最初の一撃と同様その攻撃は魔王に損傷(ダメージ)を与えるには(いた)らず、周囲の魔族達を両断するだけの結果に終わった。


 原因は明らか……開戦当初から奴の身体を(おお)うドス黒い闇のオーラだ。

 他の魔族とは一線(いっせん)(かく)する魔王の魔力を凝縮(ぎょうしゅく)させたであろう魔力の盾(それ)は、魔法による攻撃を一切寄せ付けない圧倒的な防御力を(ほこ)っていた。


 ──────ならば、接近戦しかない。



「……【魔樹降誕(マギア・トゼンドロ)】」


 軍勢を切り払い、いよいよ目前まで迫ったグラシア達に対し魔王は新たに呪文(じゅもん)(とな)える。

 直後、地中から()い出て此方に襲い掛かるは瘴気(しょうき)()()らす大量の樹木(じゅもく)──────


「二人共、()()に捕まってはなりません!!」


 (まばた)く間に周囲に展開される飽和攻撃を前に巫女が叫ぶ。

 魔王に触れられた者は、その()()()()()()()()……決戦前、彼女はそう言っていた。

 恐らくは、この樹木を(かい)してもその条件は満たされてしまうのだろう。


『バキャア……ッ』


 全方位からの物理攻撃をグラシアは騎槍(ランス)に、巫女(レイア)騎士団長(ペルデール)は剣に奇跡の力を乗せて一気に粉砕(ふんさい)した。

 窮地(きゅうち)を切り抜けた矢先、(くだ)かれた樹木の隙間から姿を(のぞ)かせた魔王は感情を発露(はつろ)するように顔の奥底の()()を光らせる。



「久しいなァ……スーヤ・レイア」

「会いたくはありませんでした……ハイル」



 嘲笑(あざわら)うような呼び掛けに(まゆ)(ひそ)める巫女──────彼女は(すで)に魔王の背後を取り、剣を構えていた。


「いきますよ……!!」


 (あるじ)の呼びかけに合わせ、グラシアは再び騎士団長(ペルデール)と共に攻撃態勢を取る。

 今度は三位一体(さんみいったい)……大陸における最高峰の実力者三人による同時攻撃。


『ドンッッッ!!!!』


 通常の上級魔族であれば確実に仕留められたであろう連携(れんけい)技────その結果は新たに地中から出現した樹木に(はば)まれ、あるいは軌道(きどう)()らされ失敗に終わってしまう。



(おろ)かな……瘴気(しょうき)がなければ私を倒せると(おご)ったか?」


 この硬度(こうど)、そして圧倒的な物量……魔法だけじゃない。物理攻撃に対する耐性まで……!

 ────魔王が誇る絶対的な防御力に驚愕(きょうがく)を見せるグラシア。


「これで終わりだ……!!」


 その間にも『メキメキ……ッ』と音を立てて周囲の樹木が再生・膨張(ぼうちょう)し、此方を押し潰さんと迫ってくる。

 これだけの範囲の攻撃……最早グラシア個人の力で(さば)き切れないのは明らかだった。





「ありがとう……二人共」


 だが、この戦いは一人じゃない。

 巨大な影に押し潰される寸前、聞こえてくるのは巫女の静かな声。


「おかげで魔王にここまで接近することが出来ました」


 次の瞬間、世界は一変する。

 大量の樹木は一気に斬り払われ、光差す先に広がるは──────これまでと全く異なる景色。



「なッ……!?コレは……」


 天地がひっくり返る。平衡(へいこう)感覚がなくなる。

 突如(とつじょ)として起きた()()()()に、流石(さすが)の魔王も動揺を隠せない様子だ。



「近年の大陸への本格的な侵攻(しんこう)、そして我が子達の誘拐(ゆうかい)虐殺(ぎゃくさつ)……遂に本性(ほんしょう)を現したようですね」


 身体が風を切る中、()き通るのは魔王に語り掛ける巫女の言葉。

 普段は優しく(おだ)やかな彼女だが、奴に向ける(ひとみ)に満ちているのは冷たくも激しい怒りの感情だけ。


「魔王ハイル────覚悟なさい……!!今日この場を(もっ)て、アナタという罪を浄化(じょうか)して差し上げましょう」


 長年の宿敵(しゅくてき)に向け剣を構え、力強く宣言(せんげん)する我らが巫女……レイア。

 彼女の、グラシア達の()()にはどこまでも広大に続く美しい自然──────"神秘の森(エリュシオン)"が広がっていた。

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― 新着の感想 ―
カッケェ!!! めっちゃ強い奴にめっちゃ強い人たちがぶつかってて読み応えがすごかったです。風景描写もさながら「三位一体の同時攻撃」を前座にした動きってのが、規格外というか天井に位置するめちゃ強キャラた…
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