表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Truth Of Legend  作者: 座敷猫
第二章:城塞都市クヴィスリング編
12/49

12話:人型の魔物

〜前回までのあらすじ〜(把握してる方は読み飛ばしてください)

突如として大陸に現れた魔族…その長い戦いの中で人類は窮地に立たされていた。

国は魔族の侵攻を恐れ、守りを固めると共に…危険な任務を魔王討伐隊に選ばれた者達に押し付けるようになった。

そんな過酷な世界の中…赤髪の青年アルスは戦いの中で離れ離れになったかつての仲間達を探すために勇者となった。

道中出会った魔法使いの少女レヴィン、戦士の男ウォルフ、聖職者のフィルビーの三人を仲間に加え…共に見回りに来た村を襲った魔族の群れを退けた。

その後、アルスは自身の目的を胸に秘めつつも、与えられたある任務をこなすために仲間達と共に歩み始めた…。

挿絵(By みてみん)


 "大丈夫か?"

 ───う、うん…えっと、君は……


 "俺はカリヴァ、お前は……"

 ───僕は……アルス


 "アルスか……話すのは初めてだな"

 ───そうだね……えっと、助けてくれてありがとう


 "こっちこそ、妹を助けてくれてありがとうな"

 ───たまたまだよ、僕なんか……


 "そうだ、お前さ……よければ俺と一緒に組まないか?"

 ───え?



 ――――――――――――――――――――――――


「……夢か」


 (ささ)やかな風とそれと共に(かお)草木(くさき)(にお)いを感じ、アルスは頭を抑えながらゆっくりと起き上がった。


「よう、起きたか」


 不意(ふい)(そば)から聞こえたのは男の声。

 ボーッとしていた頭が覚醒(かくせい)するに(したが)い、段々と周囲の音と景色……そして男の姿が鮮明(せんめい)になっていく。


「ウォルフ……おはよう」


 その男はウォルフ────昨日の旅立ちの日、魔獣(まじゅう)との戦いの最中(さなか)遭遇(そうぐう)し、仲間になってくれた男だ。


「他の二人ならまだ寝てやがるぜ」


 アルスの挨拶(あいさつ)に対し、ウォルフは苦笑(くしょう)しながらチラリと視線を横に(うつ)す。

 そこには、金髪の少女と黒髪の少女がそれぞれ小さな寝息(ねいき)を立ててスヤスヤと眠りに付いていた。


 レヴィンとフィルビー……彼女達もまた、ウォルフと同様に昨日出会い、村を一つ(ほろぼ)した凶悪(きょうあく)魔族(まぞく)を相手に共に戦った仲間(なかま)だ。



「うぅ、ん……?」


 アルス達の会話を聞こえたのか、フィルビーが目を()まし始めた。

「あぇ、もう朝……?」と(つぶや)きながら目を(こす)り、やがてアルス達に顔を向ける。


「……あ、おはようございます……アルスさん、ウォルフさん」

「おはよう、フィルビー」

「おぅ、そこの寝坊助(ねぼすけ)はまだ寝てやがるがな」


 (すで)に日が(のぼ)り始める中……フィルビーの(となり)のレヴィンは(いま)だにスヤスヤと気持ちよさそうに(ねむ)っていた。

そんな彼女を(かば)うように、アルスは「仕方ないさ」と肩を(すく)める。


「……交代(こうたい)見張(みは)りなんて彼女は初めてだろうからな」


 ────昨夜(さくや)、またいつ来るか分からない魔獣(まじゅう)襲来(しゅうらい)(そな)えてアルス達は交代で就寝(しゅうしん)して見張りを立てる方針(ほうしん)を取ることにしたのだ。

 元々野宿(のじゅく)をした経験などないであろう貴族の()であることを考慮(こうりょ)すれば、彼女(レヴィン)はむしろよく適応(てきおう)してくれている方だろう。



「ったく、とんだ箱入(はこい)りお嬢様(じょうさま)だぜ」

「ふふっ……可愛らしい寝顔(ねがお)ですね」


 彼女の事情を知ってか知らずか、ウォルフは(あき)れたようにレヴィンの顔を(のぞ)き込み、またフィルビーは彼女の(ほっぺ)を優しくツンツンしていた。


「なんかよぉ……お前ら急に距離(きょり)(ちぢ)んだな」


 そんな彼女の姿を見て、ウォルフは()()()を指摘した。

 昨日の夜から、どういう訳かレヴィンとフィルビーはお(たが)いの名前の呼び方が変わっていたのだ。

 彼の疑問に同調(どうちょう)するようにフィルビーの方に視線を送ると、彼女は「あはは……」と照れたように笑いながら口を開く。


「えぇっと、少しお(たが)いのお話をしまして……」

「あぁ、俺らと似たようなもんか」


 フィルビーの説明に対するウォルフの何気ない返事────それを聞いた瞬間、彼女は目を(かがや)かせた。


「え?じゃあアルスさんとウォルフさんも仲良くなったんですか?」

「馬鹿言え、そんなんじゃねーよ」


 グイグイと(せま)るフィルビーに照れ臭そうに顔を(そむ)けるウォルフ。

 すると、彼女は今度は物欲(ものほ)しげな顔をアルスに向ける。


「そうなんですか……よければ私もお二人の話、聞きたいです」

「そんな面白い話じゃないぞ?」

「それでも、もっと皆さんのこと……知りたいですから」

「そうだな……レヴィンが起きたら話すとしようか」

「はい!」

 

 ────そんなこんなで、三人でレヴィンが起きるのを待つことになったのだった。



 ・・・



「それにしてもアルスさんも孤児院(こじいん)育ちだったなんて……なんだか親近感(しんきんかん)を感じちゃいますね」

「あぁ……」


 レヴィンが目覚めた後、次の目的地であるクス伯爵領(はくしゃくりょう)へ向かいながら、アルス達はお互いの事を話し合った。

 昨日共に死線(しせん)を乗り越えた仲というのもあり、話し合いを通して以前より心の距離がグッと近づいたようにアルスは感じた。



「……てか、アルスってなんでわざわざ南方(こっち)に来たの?勇者になるなら故郷(こきょう)か近くの国でも良かったんじゃない?」

「それは……」

()()()()()のせいだよ」


 そんな時、不意にレヴィンの口から発されたのは小さな疑問。

 それに答えようとしたところで突如、ウォルフが会話に割って入ってきた。

 人型(ひとがた)魔物(まもの)────その言葉に「な、なにそれ……?」とレヴィンが動揺(どうよう)を見せると、ウォルフは説明を続ける。


(くわ)しい事は分からねぇが、大陸北部で人間に近い姿の魔物の目撃情報(もくげきじょうほう)がで上がったらしくてな……んな(うわさ)のせいで北方と中央のどの国も入る条件(じょうけん)(きび)しくなりやがって、こんな場所(とこ)まで来ることになっちまったわけよ」


 ただでさえ戦火(せんか)の絶えない大陸北部……そのような状況下(じょうきょうか)でそんな(うわさ)が上がれば迂闊(うかつ)余所者(よそもの)を入国させるわけにはいかないのは当然の事だった。


 その事に溜息(ためいき)()きながらも「……まァ、結果的にオメーらと組むことになったのは運が良かったがな」とウォルフは()(くく)ったのだった。



「人型の魔物……ここ十数年で新種(しんしゅ)の魔族の目撃報告も増えてるらしいし、それの一種かしら……?」


 その後、聞こえたのはレヴィンの呟き声。

 口元に手を当てて考え込む彼女は、やがて考えに詰まったのかアルスの方に目を向ける。


「ねぇ、アルスは……何か知らないの?」

「いや、ウォルフが話した事くらいしか……」

「そっか……気味(きみ)が悪いわね」

「どの道確証(かくしょう)のない話だ……目撃情報とやらも見間違(みまちが)えかもしれないし、今は気にするな」


 アルスに話を振るも、対する反応に浮かない表情を見せるレヴィン。

 そんな彼女を(はげ)まそうとすると、不意に横にいたウォルフとケタケタと笑った。


「だってよ、怖がらせて悪かったなお嬢様(じょうさま)?」

「怖がってないし!てかお嬢様とか言うな!ムカつく!!」

「はぁ……とにかく魔族の調査も魔王討伐隊(おれたち)の仕事だ……その人型の魔物についてもいずれ明らかになるだろうさ」


 その反応から突如始まる二人の口論。

 彼的には(はげ)ましのつもりだったかもしれないが、このままではまた昨日のような口論(こうろん)が始まりそうだ……とアルスは話をまとめに入る。


「それより次の目的地(クス伯爵領)まではまだ何日か掛かる……余計な口論(こうろん)であまり体力を使うなよ」

ウォルフ(コイツ)が変に(あお)ってくるからでしょ!勇者(リーダー)として注意してよ!!」

「んだよ、元気付けてやろうと思ったのに」

「どこがよ!大体アンタは最初から……」

 

 ……が、結局のところ二人は忠告(ちゅうこく)を無視し(ふたた)びギャーギャーと言い争いを始めてしまったのだった。


「二人とも……仲がよろしいんですね」

「いや、違うと思うぞ」


 その様子を見て微笑(ほほえ)ましそうに笑うフィルビーに対し、アルスは顳顬(こめかみ)(おさ)えて(あき)れるように言った。

お読み頂きありがとうございます!第二章開幕です!

もし作品を気に入って頂けたなら

ブックマークと下にある⭐︎マークで作品の評価のほどお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ