登山×田中
「ねぇ、どうせ俺もただのお気に入りなんでしょ。」
✽✽
寂しい。この穴をだれかに埋めてほしい。
そう思ってすがった人達は皆優しくて。
甘えて、気を紛らわして、安心する。
一人じゃないということに安堵を覚え、常に人肌を求めては、友を傍に置いて。
ほとんどの人が俺を助けてくれた。
横にいてと言えば横にいてくれた。
だけど君だけは違ったね。
なぜだろう。俺が一番欲しいのは君だっていうのに。
いつも君だけ、振り向いてくれないんだ。
✽✽
本命side
特別だと思える人ができた。
でも君はいろんな人から好かれていて。
俺から手の届く存在じゃないんだって
いつも言い訳して逃げてきた。
俺も君の中では所詮ただのお気に入りなんだって
思えば思うほど辛くなって。
いつも君に対して、素直になれない。
✽✽
君が気になって仕方ないんだ。
いつも気づけば目で追っている。
誰よりも君を知ってる自身があるよ。
長いサラサラした髪の間から見える目が、
すっごく綺麗で見惚れてしまう。
君に対しての気持ちが溢れてしまう。
今日、君に伝えようと思う。
「昴、好きだよ。」
✽✽
少し頬を赤らめた登山。
ムカついた。
なぜだろう。
好きな人に告白されたっていうのに
全く嬉しくない。
「ねぇ、どうせ俺もただのお気に入りなんでしょ。」
俺は本気で好きなんだ。
遊びなら、振ってやる。
✽✽
「違うっ!!俺が本当に好きなのは!!」
全て言い終わる前に昴は走り出した。
「待って、待って!!」
必死に追いかけるが、見失ってしまった。
あぁぁ、なんで、こうなるんだ。
君だけは、振り向いてくれないのか。
こんなにも、俺は寂しいんだろう。
いつもいつも、俺が本気で好きな人にだけ
振り向いてもらえない。
あぁ寂しい。寂しい寂しい寂しい。
また、心に穴が空いていく。
これからもまた、誰かに縋って。
この穴を埋めてもらう、つもりだったのに。
なぜだろう。
ねぇ、昴。
あの日から
何を食べても、味がしないんだ。




