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初めての共寝・・・・(?)

R指定はもちろん付きませんw

次に目覚めると寝台脇に蒼劉がいた。

「・・・蒼劉さま」

「ああ、起こしてしまったか?」

璃珠のおでこに、蒼劉の手が触れていた。

「本日のお仕事は終わりですか?」

「今は休憩中だ。」

休憩と言えば川で連日蒼劉に会っていたのを思い出した。

「いつもの川べりに行かないのですか?」

「うん、まあ、いつも行っているわけではない・・」

「そんなのですか?」

蒼劉は微妙な表情で答える。

本当の所は、旺耀から璃珠の話を聞いた蒼劉が

ちょっと様子を見に来ただけなのだ。

「それより具合いはどうだ?」

「お食事も美味しいですし、だいぶ元気になったと思います。汗もたくさん かきました。熱を下げる為に身体が(はたら)いている証拠で、とても良い事だそうです」

「そうか、それは何よりだな」

蒼劉が確かめるように頬と首と、ペタ、ペタと手を触れさせて微笑んだ。


そうしていると突然隣の部屋の 更に向こうから大きな声が響いた。


「蒼劉様はいらっしゃるかーーー!!」


璃珠が目を丸くしている前で

蒼劉はうんざりした顔をしている。

「・・・うるさいのが来た」


「玄徳様!蒼劉様はただいま休憩中で、席を外しております!」

焦って止めている男の声が聞こえる。

「旺耀!昨夜、蒼劉様が奥の殿に客を招いたと聞いたぞ!

とうとうその気になって下さったのか!?」

「玄徳様、声を抑えてください・・・・!」

「・・・休憩中と言って、隠れているのではないか?

蒼劉様ー!居ないのですか?」

ズカズカズカ・・

足音が近づいて来る。

「全く・・・璃珠、かくまってくれ」

そう言って、楽しげな様子の蒼劉が布団に入ってきた。

「わわ、蒼劉さま」

「しっ!黙って」

ズカズカズカ

「待ってください、いくら玄徳様でも不躾が過ぎますよ!」

「旺耀、主の(めい)に従う忠実な家臣だな。偉いぞ!」

「お褒めの言葉が聞きたいんじゃありません!」

どんどんと声が近づいて来る、蒼劉が布団の中で、

ドアに背を向ける形で璃珠を抱き込んだ。

「璃珠、大人しくしているように」

璃珠は、こくこく・・と頷き返した。


「蒼劉様ーー!」

バターーンとドアが開く。

「やはり、ここに居ま・・した・・か」

最後の方は呆然とした声に変わっている。

「何だ、玄徳、睦言(むつごと)の邪魔をするとは、無粋が過ぎるぞ」

胸に璃珠の頭を寄せ、長い髪だけは見えるようにしている。

肩越しに振り返って、蒼劉が不機嫌そうに言う。

玄徳の後ろから追ってきた旺耀が肩を掴む。

「玄徳様!だから言ったのです!

とにかくここから離れてください!」

「あ・・・ああ、失礼つかまつった」


パタン

ドアが閉まる。

「まだ()られるとは、思わなかったのだ」

ドアの外ではボソボソと話す声が遠ざかって行く。

室内は静寂が戻った。

蒼劉は璃珠を抱き込んだまま、ふう と息をつく。

「行ったか」

「蒼劉さま、大丈夫ですか?」

璃珠が腕の中から見上げ、声をかける。

「あちらが完全に悪い、大丈夫だ。

・・・騒がしくして済まなかったな」

蒼劉は優しく顔を覗き込んで返事をした。

「あの方は、蒼劉様のお仕事に関わる方ですか?」

「そうだな、執務で深く関わっている」

「休憩中にまで探しに来るなんて熱心な方なのですね」

「・・・確かに、あの勢いも職務に忠実な故だな」

蒼劉が疲れたように笑う。

「蒼劉様はお疲れですか?」

「うん、そうかもしれぬ・・・璃珠が温かくて眠たくなってきた」

「お昼寝をするのは、良い事だと聞きました」

「少し眠っても良いか?」

「はい、今の蒼劉さまは休憩中ですからね、

お昼寝するのが1番です」

「その通り・・だな・・・」

ポスリと枕に頭を乗せてすぐにスーと寝息に変わる。

余程お疲れのようだ。


邪魔にならないように

私も大人しくしなきゃ・・・ぐぅすやすや


櫛奈と旺耀が様子を見に、奥の間に入ると

くっついて気持ちよさそうに眠る2人の姿があった。

「おやおや」

「まあまあまあ!」

2人は目を丸くして、起こさぬように静かに盛り上がる。

「蒼劉様が女性と(しとね)を共にされているわ!」

櫛奈が目の端に涙を光らせる。

「相手が幼女で喜び過ぎです母上。でもなかなか気に入ってらっしゃるようですね」

「あの 他人と距離を置きがちの蒼劉様が、昨夜から ことの他気にかけてらっしゃるし、お触れになるし」

「だが、相手が若過ぎて間違いは起こりようもない」

「まあそれは来るべき時が来たら自然とそうなるものですよ」

「そうですね。気の長い話ですが・・・」

「璃珠を逃がしたらダメですよ。旺耀。今は幼子(おさなご)でも直ぐに大きくなりますからね」

櫛奈の目がギラりと光る。

「うーん、努力します・・」

2人は静かに退室していった。


パカリと蒼劉の目が開く。

天蓋からの幕が締められ 少し薄暗い寝台が目に入る。

胸元では璃珠がスースーと寝息を立てている。

半刻(いちじかん)ほど寝ただろうか

とても深く眠れたようで妙にスッキリとしている。

奥の間は静まりかえっていて、璃珠の規則正しい呼吸音だけが響いている。

穏やかな気持ちになって璃珠の頭を撫でた。


璃珠を起こさないようにそっと起き出して執務室に戻る。

「おかえりなさいませ」

執務室で待機していた旺耀が出迎える。

「ああ、寝てしまっていた。玄徳どのは引き下がったのか」

「ええ、(ひる)日中(ひなか)から女性と睦み合う蒼劉様を見て衝撃を受けておられましたよ」

旺耀がくすくすと笑う。

「あえてそう見えるようにしたからな」

「その割にはフリだけでは終われなかったようで」

旺耀の声にからかいが混じる。

「ああ、どうにも眠たくてそのまま寝てしまった・・・」

「休めたのなら良うございました」


午前の執務の続きに取り掛かる。

後宮の警備の見直しについてや、嘆願、上申の(たぐい)に目を通し、皇帝陛下から回ってきた国政に関する執務もこなしていく。

何だか、仕事がとても(はかど)る。

ずっと付きまとっていた頭痛が消えている。

昼寝が余程良かったのか、調子が良い身体が不思議だった。

午後の執務が(はかど)りすぎて明日の分まで終わった時点で旺耀が口を開いた。

「蒼劉様、余り早いと他の部署がついていけませんよ」

「そうだな、今日はこの位にして剣の鍛錬に行ってくる」

「行ってらっしゃいませ。私は調査の続きに外出します」

「わかった」


蒼劉が軍の修練場に顔をだすと大きな声が聞こえてきた。

「おお、殿下!!このような時間に珍しいですな!!」

右頬に傷があるこの国の最強と言われる将軍が嬉しそうに寄って来た。

「久しぶりに稽古をつけて欲しくてな」

「感心ですな殿下!お相手いたしまするぞ!!」

そう言ってスラリと腰から訓練用の剣を抜き取った。


カンカン!カン!

「おや、今日の殿下は調子が良さそうですな!!」

しばらく切り結ぶと将軍が楽しそうに声をあげる。

「今日こそ将軍から1本取ってやる!」

「まだまだ遅れはとりませぬぞ!!」

両者の目がギラりと光る。

いつの間にか周りに集まった軍の兵士から声があがる。

「いいぞ!」

「いけ!そこだ!!」

「お二人は本当に凄い、ついていけないぞ」

「将軍をあそこまで追い詰める殿下が凄い!」

わーわーと盛り上がった周囲をよそに剣がぶつかり合い

やがて決着がつく。

「参った」

ピタリと首の前で寸止めされた剣を目に蒼劉が呟いた。

「惜しゅう御座いましたぞ!殿下!!私も久方ぶりに汗をかきました」

「将軍にはまだまだ適わぬな」

ため息を吐きながら蒼劉が肩をすくめる。

「ははは!!年季が違いますからな!!それにしてもすこぶる調子が良さそうでしたな。私も油断出来なかったですぞ!!」

将軍が豪快に笑いながら、蒼劉を褒める。

「そうなのだ、今日は何だか身体が軽い」

「やはり、昨夜、男になったからではないですか?」

「何の話をしている」

「大人の男は一味違うと言う事ですぞ!!」

「・・・・」

「男を上げた殿下のこれからが楽しみですなぁ!!」


どうやら昨夜の奥の殿の事は城中に知れ渡っているようだ。

蒼劉はちょっぴり悪戯(いたずら)好きで、お茶目さんです。

取り繕う為に、いかつ目な言葉を選んで話しています。


一皮むけたように調子のいい殿下。

いったい、何があったんでしょうね。


お読みいただきありがとうございます!


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