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妃教育

蒼劉が北の後宮に行っている頃、璃珠は女官長の呼び出しを受けていた。

「妃教育ですか・・・」

「そうだよ璃珠。女官から妃になった者は大半が平民だからね。城内の者に侮られたり不当な扱いを受けたり、恥をかいてしまわないように教育をするんだよ」

「そうなんですか」

確かに、それは大切な事だと思う。

平民が今日からあなたは妃ですと言われても突然礼儀作法が身に付く訳ではない。

「璃珠にもそれを受けて貰おうと思ってね」

「それはもちろん(やぶさ)かではないです、ただ私は妃となった訳ではないのですが・・・」

彩伽に話が通って今と立場が変わるのにはまだまだ時間がかかる。

「王太子殿下から複数回のお召があった上に、この後宮で唯一ご寵愛を受けた者なんて、妃になる未来しかないでしょう?いずれ必要になるのだから早い内から始めるべきだよ」

女官長が胸を張って宣言する。

このような手配をするのも女官長の大事な仕事の1つなのだろう。

「そういう事でしたら、承知しました」

「とは言え、貴方の立ち居振る舞いは洗練されているから、それほど心配は要らないとは思うけれど・・・まぁ間違っていないか確認するような気持ちで(のぞ)んだらいいわよ」

彩伽の王城でそれこそみっちり教育は受けたからね。

とはいえこの国の妃となると私の常識が合わない事もあるかもしれない。

確認すると言われた事がとてもしっくり来た。

「はい、わかりました」


そんなやり取りを経て、早速部屋に講師役の貴族夫人が通された。

さすが女官長、準備がいい。

上等な(ころも)を品よく着こなす色香漂う貴婦人だ。

歩く姿から洗練されている事がわかる。

「ようこそおいで下さいました。璃珠、こちらが妃教育を担当して下さる()夫人です。旦那様はこの国の宰相をされていて、お嬢様が北の後宮に妃として入られています」

「莉夫人、璃珠と申します。よろしくお願い申し上げます」

女官長の紹介に丁寧に頭を下げる。

「まぁ貴方が王太子殿下のご寵愛を得た唯一の女官ですのね、思ったよりも・・・随分とお若いですわ」

そう言って驚いた様子も優雅だ。

まぁそうですよね、莉夫人もまさか5歳児に妃教育をするとは想像もしていかったでしょう。

「璃珠、明日の午後からこちらの莉夫人に来ていただいて妃教育の時間とします。そのつもりでいて下さい」

莉夫人の前なので女官長がかしこまった話し方をしている。

「本日は顔見せだけですわ。璃珠、明日からよろしくお願いしますね」

「はい、精一杯頑張ります!」

新しい知識が入るのは大歓迎だ。

璃珠の胸はワクワクと高鳴った。


翌日、莉夫人と一室を借りて対面していた。

「本日は貴方の立ち居振る舞いがどの程度なのか、見させてもらいますね。まずはここをまっすぐに歩いて壁の前で折り返して来て下さい」

「かしこまりました」

私はなるべく優雅に見えるように気をつけて歩いた。

折り返す時は(ころも)の裾が優雅に流れるように丁寧に捌いた。

「たいへん結構ですわ、指摘する所がございません」

「ありがとうございます」

莉夫人は満足気に微笑んだ。

「次に、そこの手巾を取って、わたくしに渡して下さい」

「かしこまりました」

私は焦らずに丁寧に手巾を手に取り、受け取る方に失礼が無いように、小さな花の刺繍を正面として莉夫人から見て正しい位置で両手を添えて手渡した。

「・・たいへん結構ですわ、相手に対して礼を尽くし、だからと言ってへりくだっている訳ではない完璧な所作です」

「お褒めいただき光栄です」

「次に・・・」

それから、いくつかの簡単な課題を出される。

それに知る限りの礼儀を踏まえて応対した。

「・・・・全てお出来になっています。基本的な動作でわたくしがお教えする事はありませんわ」

莉夫人の顔に冷や汗が浮かんでいる。・・・あれ?

「一先ず、卓に着いて座学を進めましょう」

それから、いくつかの質疑応答が行われる。

私は聞かれるままに色々な場面を想定した、挨拶や受け答えについて答えた。

「完璧、というよりも・・・逆にわたくしがはっとさせられました。あの場合はそのように対応すれば、更に良くなりますね」

「私の拙い知識がお役に立てたのなら嬉しいです」

莉夫人が顔色を無くしている。

「・・ええと、わたくしはここに何をしに来たんでしたっけ?」

首を傾げ出した莉夫人に璃珠は焦りを覚える。

「莉夫人、落ち着いて下さい。妃教育の講師としてです」

「そうですわね?そうだったはずなのですが・・・」

この講義は当初の予定とはかなり違ってしまったようだ。

それはそうかもしれない。

何せ平民の女官に礼儀作法の基礎を教えに来たはずなのに、相手は幼女の女官見習で、しかし彩伽の王女として幼年期からみっちり仕込まれている礼儀作法を披露されてしまったのだから・・

「莉夫人、私にはこの講義がたいへん為になっております。莉夫人はとても優雅でいらっしゃって見ているだけで勉強になりますし、今の日常では本日の講義のように所作や立ち居振る舞いに気を使う事も少ないので確認する事は大切な事です」

慌ててフォローを入れると、莉夫人の下がっていた眉毛が元に戻った。

「璃珠はお優しい(かた)ですね。確認、そうですわ、本日は初日で貴方の実力がどの程度なのか確認するのが大きな議題でしたわ。それで予定通り実力がわかりました。貴方の礼儀作法は完璧です」

「お褒めいただき光栄です」

莉夫人が落ち着きを取り戻し、ほっと息をついた。


講義を終えた莉夫人をお見送りする。

「では、明日はお茶会や食事の作法の確認に入ります」

「はい、本日はありがとうございました」

そうして妃教育の1日目を終えた。


翌日、翌々日と莉夫人と2人きりでの講義が続いた後

教養についての講義に移った。

地理と歴史の講義には帝国大学の学者が来てくれた。

莉夫人も同席はしてくれるみたいだが、あくまでも今日の講師は学者の先生だった。

「璃珠は、この国がどの様な地理で()るか知っているかな、わかる範囲で言ってごらん」

「はい、この国は大陸の中東部に位置していて、東部から南部にかけて大きな河川が横切っています。中央部から西にかけては平野が広がり、また北は湖が点在する高知になっていて隣国との間には山地が連なっています。また北西部に沿うように緩衝国である公国が細長くあり、その向こうには西の国、更にその向こうの海峡を挟んだ大陸には彩伽王国があります」

私は簡単な地形と国の配置を述べる。

「大変結構です。よく勉強されていますな」

学者先生の硬い顔が少し緩む。

「お褒めいただき光栄です」

「次にこの国の成り立ちについて、知っている事はあるかな?」

私は彩伽で読んだ本の知識を思い出す。

「まず初めに東を流れる大きな川が肥沃な土地を作り、そこに人が集まり人々の営みが生まれました。人が集まると(おさ)が選ばれ、その小さな集落が集まり国になりました。畑作や稲作が盛んに行われ文化が生まれ、長の中の長は王と呼ばれるようになりました。そして作物が取れ周辺諸国から目をつけられたこの土地は周辺の民族から攻め込まれたりまた逆に侵攻したりして領土を広げ、いくつかの王朝が立つのと滅ぶのを繰り返していました。そんな中、天から使わされたと言う人物が混乱に荒れている大地に降り立ち人民をまとめ上げ、それが現在の王家の始祖と言われています。彼の方が立ったのは約800年前と言われています」

学者先生は面白がるように表情を顔に乗せて頷いた。

それから歴史考察で幾つか質問を受けて答えて行くうちに時間は過ぎて行った。


「いやぁ、璃珠君!君の歴史考察はたいへん興味深い!今日はたくさんの気づきを得る事が出来たよ!」

来た時は無表情だった学者先生が上気して語る。

「璃珠君、君は幼いのにまるで空を飛ぶ鳥のように高いところから俯瞰的(ふかんてき)に物事を見ているのだな。歴史にしても現在の国々にしても、実に勉強になった。君は大学に通う気持ちはないかね?是非とも入学して私の研究室に入って欲しい!次にお会い出来るのを楽しみにしている」

「はい、先生、今日はお時間をいただきありがとうございます」

「こちらが教えを受けてばかりだったよ。ではまたな」

学者先生はご機嫌で帰って行った。


部屋にずっと控えていた莉夫人が呆れたようにこちらを見ている。

「・・・璃珠、貴方にとっても有意義な時間だったのかしら?」

「はい、とても」

先生は大学で歴史の研究を進めていた方だったので独自の視点と解釈がたくさん聞けてとても興味深かった。

歴史書はたくさん読んだけれど、あの1ページを開く時のドキドキとした感覚を思い出せて楽しかった。


「そうですの?璃珠がそう仰るなら、良かったですけれど・・」

莉夫人は何だか複雑そうだった。


更に翌日、教養の1つとして音楽の講義となった。

芸事に精通しているのも身分の高い者の嗜みの1つだそうだ。

いつもの部屋には儀式や宴の際に城に呼ばれる楽師が講師として来ていた。

「あら、王太子殿下のご寵愛を受けた小娘(こむすめ)が来ると聞いていたけれど何かの間違いだったようねぇ。おチビちゃん、こんな小さい時から楽器を習うなんて偉いわねぇ」

ズザっ

私は少し驚いて後ずさってしまった。

あからさまに子供に向けた口調で話しかけられたからではない。

この、女性のように話している講師が、どう見ても男性だったからだ。

線は細いが背は高いし男性の衣に身を包んで低い声をしている。

顔は確かに女性のように綺麗だけれど・・・


「そんなに緊張しなくても大丈夫よぉ、初めは誰もが初心者なのだから。王太子殿下に気に入られるなんて生意気だと思っていたけれど、貴方みたいな子供じゃ心配いらないわ。優しく教えてあげる」

私が上手く反応出来ないのを緊張と勘違いして声をかけてくれる。

所々で棘を感じるけれど、まあ悪い人では無さそうだし気にしない事にする。

「楽師、璃珠に無礼な口をきくのはおよしなさい。子供だからと甘く見ていると後悔する事になりますよ」

今回も付き添っている莉夫人が楽師をたしなめた。

「失礼いたしました。奥様」

胸に手を当てて莉夫人に向かって深く深く頭を下げる。

それから直ぐに璃珠に向き直って

「では、おチビちゃん、これから貴方を殿下どころか陛下の前でも演奏できる立派な楽師に育ててあげるわね。その外見ならば売れっ子になれるわよ」

莉夫人に向かって謝罪したばかりなのに、口調が変わってない上に、私は楽師は目指していない。

莉夫人がため息を吐いてから講義を見守るために壁際に寄る。

どうやら、相当クセの強いお方のようだ。

「・・・よろしくお願いします」


楽師に渡されたのは子供用の琵琶だ。

「今日は、これで音階を押さえる練習をするわよ」

楽器の持ち方を教えられる。

目の前で楽師も同じように琵琶を構える。

「これが基本となる1の音よ」

ビーン と楽師が弦を弾く。

私も同じように、1の音をピーンと出した。

「あらぁ!上手よぉ」

1音出しただけで大袈裟に褒められる。

「いきなり押さえられたなんて凄いわ、素質があるわ」

基本の音階は1から7まであると教えられ、それぞれを順に鳴らして行く。

「あら?基本の7つが全て1度で鳴らせたわね。では1音1音ではなく、連続で1から7まで鳴らしましょう。どうぞ」

ピン、ピン、ピン、ピン、ピン、ピン、ピーン

淀みなく連続して鳴らす事が出来た。

「・・・確認していなかったわ、楽器の経験があるの?」

楽師が少し訝しそうに首を傾げた。

弦を押さえた経験があるのと無いのとでは、習得の速さが違う。

「あ、琵琶を弾くのは初めてですが、兄がよく弾いておりました。それから、私は二胡とハープならば弾いた事があります」

私が彩伽でずっと嗜んでいた楽器を答えると楽師の顔が目に見えて上気した。

「まあああああ!ハープ!それは珍しいわね!聴きたいわぁ!演奏している所がみたいわ〜!」

え、楽器の話題への食いつき方が半端ない。

流石は楽師をやっているだけある、と勝手に納得する。

大袈裟に喜んだ楽師がガタリと立ち上がる。

「莉夫人、このお城にハープは置いていないでしょうか?」

黙って講義の様子を見ていた莉夫人が少し思案顔になってから頷く。

「女官に探させますわ」

そう言って部屋の外に声をかける。


しばらくして、女官(ねえさま)が戻って来たと思ったら、

女官長と蒼劉さまが()いてきた。

「そ・・・王太子殿下」

皆の前で名前を呼ぶのは良くないと、咄嗟に言い直した。

「まああああ、王太子殿下!このような所にどうして?お会い出来て光栄ですわぁ!(小声:まさか小娘に会いに来たのではないでしょうね)」

私が蒼劉さまに声をかけようとした横で、楽師が頬を薔薇色に染めて騒ぎ出した。小声で何か言っていたけれどそれはよく聞こえなかった。

「久しいな、楽団長。この楽器を宝物庫から出す事になったので付き添ったのだ」

女官が持つキラキラしいハープに目を向ける。

宝物庫からって、そんな貴重な物を講義に持ち出してもいいのだろうか・・・。

「珍しい楽器ですものねぇ、でも思いがけず麗しいご尊顔を拝見できて嬉しいわぁ」

楽師が少女のようにはしゃいでいる。

もしかして、この男は蒼劉さまの事が・・・いや何も言うまい。

「璃珠が楽器を弾くと言うのでそれも気になってな。莉夫人も久しいな」

「殿下もますますご健勝のようで、おめでたい事でございます」

2人は馴染みがあるようで、少しばかり親しげだが、莉夫人もかしこまって礼をしていた。

私は受け取ったハープを眺める。

宝物庫にあったと言うのだから、実用的な事よりも装飾の意味合いが強いのだろう。

大きさも小ぶりで、所々に宝石が埋めこまれていた。

いくつか鳴らして調律を確かめる。

「おチビちゃん、持っているのが様になっているではないのぉ。ほら早速弾いてみなさい。拙い演奏を殿下にお聴かせして恥をかかないと良いわねぇ」

楽しそうな様子で嫌味を言っているが、こちらは精一杯やるしかない。

「では、指慣らしに1曲弾いてみます」

ポロン、ポロン、ポロン・・・・

うん、何とか弾けそうだ。


私は気持ちを入れ替えて音楽に集中する。

弦に指を滑らせてしばらく前奏を弾いてから、(うた)を乗せる。


ある日大切なものに気付き

日常に目にするものの見え方が変わる

その変化に戸惑いながらも喜びは絶えず溢れ続ける

そこに在る尊き全てに愛と感謝を捧げる・・という歌だ。

彩伽にいた時、事ある(ごと)に奏でていた。

自然にあの頃の情景が(まな)(うら)に浮かび

今は亡き愛しい人達の笑顔が思い出される。

この歌が皆に届けばいいのに・・・

そう祈りながら歌った。


歌唱部分が終わり、後奏を爪弾き

余韻を残すように短い曲を終える。

・・・・・・・

あれ?何だか静かだ。

部屋に広がる沈黙の気配に、周囲を見渡すと

ポカンと口を開けて女官長と女官(ねえさま)がこちらを見ていた。

蒼劉さまは目を閉じて穏やかに微笑んでいる。

莉夫人はやはり少し呆れ気味に見ている。

そして楽師はぐしゃぐしゃに泣いていた(!)

え!?何泣いてるの??


「予想はしていたが、それ以上に素晴らしかったな」

蒼劉さまが手放しで褒めてくれる。

「本当に、璃珠は底が知れませんわ」

莉夫人がため息をこぼす。

「お、お、お、おチビちゃんんん!」

楽師が泣きながら迫ってくる。何これ怖い。

ズカズカと寄ってきてヒョイと持ち上げられる。

「わっ」

思わず悲鳴が小さく出てしまった。

いきなりどうした?

「おい!」

蒼劉さまが抗議の声をあげる。

それに構わず楽師が間近でギラギラと見つめてくる。

「あなた、うちの楽団に入らない?!!」

・・・突然の引き抜きだ。

「えっ?」

私が驚いて上手く反応を返せないでいると

「こうしちゃいられないわ、直ぐにハープの手配をしないと!」

私を抱き上げたまま部屋の出口に向かおうとする。

「いや、待て待て!その子はうちの後宮の者だ。勝手に連れて行くな」

咄嗟に蒼劉さまが引き止めてくれた。

・・・助かった。拐われるとこだった。

「王太子殿下、この才能をこんな所で埋もれさせてはダメよ」

「こんな所とはなんだ」

「この子のハープと歌は神からのギフトですよ。気づいていないのですか?この子の心が浄化されるような演奏を聞いてから身体の調子がとても良くなりました。やんちゃしていた時の古傷の痛みが感じられなくなったわ」

ギクッ

気付かず異能も溢れ出てしまっていたらしい。

「璃珠が特別なのは知っているが、それを楽団に譲る気は無い。返して貰う」

そう言って蒼劉さまが楽師の腕からスルリと私を奪い返してくれた。

これで身の安全は確保出来た。

流石の楽師も蒼劉さまには強く出られないようで

少し悔しそうにため息を吐いてから落ち着きを取り戻してくれた。

莉夫人と女官長と女官の姉さまは部屋の隅で石のように固まってしまっている。

蒼劉さまに抱き上げられたまま講義の終わりの時刻を示す鐘が鳴った。


「璃珠、気が向いたら私たちの楽団に来てくれていいのよ。貴方の二胡も聴いてみたいわ。また会えるのを楽しみにしてる」

上機嫌で去っていく楽師を見送りながら

残された皆は小さく息をついた。


「・・・・今回の講義も璃珠の為になったのかしら?」

「ええと、ハープが弾けて、嬉しかったです」

「そう、まあ、貴方にとって少しでも利点があったのなら良かったわ」

莉夫人は諦観を顔に浮かべてそう言った。


「璃珠の妃教育はこれで終了とさせて頂きたく存じます」

蒼劉さまと女官長がいるのでちょうど良いと思ったのだろう。莉夫人がそう切り出す。


「うん、まあ璃珠の実力が分かって良かった」

蒼劉さまが、了承の意でそう告げる。

「女官長もそれで良いな?」

「はい、仰せに従います。莉夫人、講師役を感謝申し上げます」

「講師となれていたのかは、疑問ですけれど、有意義な時間でしたわ」

「莉夫人、たいへんお世話になりました」

私が感謝を伝えると、莉夫人がにこやかにこちらを向いた。

「璃珠、今度許可をとって我が家に遊びに来ない?わたくし、貴方とこれからも仲良くしていきたいわ」

「たいへん光栄です。そ・・王太子殿下?ご許可をいただけますか?」

蒼劉さまの名前を呼びかけて慌てて言い直す。

「そうだな、璃珠がそう望むのなら、外出の手配をしよう」

そう言って頭を撫でられる。

相変わらず、抱き上げられたままの一幕だ。

「嬉しいです。ありがとうございます」


「あらあら・・・」

「まあまあ・・・」

莉夫人と女官長が微笑ましくそんな2人を見ていたのだった。


お読みいただきありがとうございます。

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