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No.38 進行・突入

説明回です

「もしかして、とは思っていたがやっぱりここか」

「え、アンタ来たことがあるの?」

「王国に来る前に一度、野暮用で立ち寄ったんだ。」



 俺たちは『救いの道』の拠点だった洞窟に来ていた。

 内部は以前の戦闘跡が生々しくも残っているが、それ以外は至って変哲もない。

 ()()()()()()()()

 マップで改めて検索し立体的な表示をすると、やはり地下に2つの光点がある。

 そう、ここでおかしいのは地下あることだ。前に来たときには無かったはずなのに、今は入り口を隠蔽工作までした上で掘られている。

 そこにいる両方が(レッド)アイコンでレベルも相当に高い。


 1人目は『ヴァイオレット Lv.71』、スキルは〈死霊魔術Lv.41〉〈墓地(クレイブヤード)Lv.35〉〈進化ノ種(ネクストシード)Lv.21〉の3つだ。

 本体のレベル的にはユウキとカーミラが2人で受け持ってくれれば何とかなりそうだが、問題はスキルの方だ。

 調べてみると、死霊魔術と墓地(クレイブヤード)は文字通りの効果らしい。死霊魔術は死体の復元、操作、使役。墓地(クレイブヤード)は死体の収納、保管、取り出し。


 つまり操作できる手駒がいくつあるか、そしてどんな強さかも分からない。思ったよりスキルレベルも高く、彼女らに任せられるかどうかは難しい所だ。


 〈進化ノ種(ネクストシード)〉は説明に『養分に対して忠実に発芽、その植物の操作』と書かれていた。

 このスキルは検討もある程度ついてはいるが、まだはっきりしていない。未知数は不安材料にしかならない。



 2人目は『和泉(いずみ) 界人(かいと) Lv.82』、例の元同級生で盗賊に堕ちた勇者だ。

 スキルは〈地形操作Lv.50〉〈隠蔽Lv.24〉〈走馬灯〉とユニークスキル〈転移者〉、魔法は〈光、闇属性魔法〉だ。


 地形操作と走馬灯は、これも名前そのままの効果のようだ。

 地形の操作と、死にかけるであろう時に走馬灯を見るだけ。ただ地形操作のスキルレベルは最高の50まで上げきっているようだが。魔法も特に代わり映えはしていない。


 注意したいのはやはりユニークスキルの〈転移者〉だろう。

 やはり取得条件はあるようで、コイツの場合は称号の取得のようだ。称号には〈クラス 転移者〉があり、おそらく転移してきた時の物だろうと思う。

 余談になるが、俺も〈クラス 導化師〉からERRORスキル〈導化師〉を手にいれている。もしかしたら他のクラスメートもこのタイプの称号から、何らかのユニークスキルを得ているのかもしれない。



 隠蔽のスキルで隠されていた入り口をあっさりと見つけ出し、螺旋状に下へとくりぬかれている道を俺を先頭に歩く。もちろん侵入者察知や明らかに殺意しかない罠などを全て無力化しながら。

 罠の解除も実際はそこまで難しくない。しかし話しかけられても今は困るので、結構本気で真顔を作りながら進んだ。


 それに言ってしまえば、実は今回は気を張る必要はあまりない。なぜなら依頼された内容が『帝国から流れてきた盗賊(はぐれ勇者)()()()()()()()()()』、これだけだからだ。

 別に討伐や投降させる訳でもなく、どうにかしてくれと言われた。つまり、追い払うだけでもいい。


 最悪、彼女たちが無事であればそれでいい。あとは俺1人で何とかして──


「そんな悲痛な顔しないでくれない? 今からそんなんじゃ身が持たないわよ」


 カーミラの呟きで一瞬、表情が崩れた。

 とっさに元に戻したが本気で作った顔でバレたんだから無意味だと悟り、普段と変わらない表情に戻す。


「……別にそんな顔してないと思うんだが?」

「んー、何となくアンタが意味わかんない決意固めてそうだったから言っただけよ」

「なんだそれ。まあ、何かあったら言うようにする」

「分かったなら良いのよ」


 カーミラは軽く息をつき、周りの警戒に戻った。


 その後は特に何もなく進んでいった。

 2人といつも通りの会話して、時々仕掛けられている罠を解く。途中から迷路のような作りにもなっていたがマップを参考にらくらくクリア。

 今回はとにかく役に立つマップさまさまで、既に盗賊のいる部屋の扉前に着いていた。


「さて、もう敵の真ん前まで来たわけだが……準備は大丈夫か?」

「むしろ駄目だったら引き留めてると思うわよ」

「簡潔に、問題ないと答えておきますわ」


 本来なら俺1人で来た方が断然良いはずだ。しかし今となっては2人が居るからこそ安心している。

 安心しきってはいけないが、気負う必要はない。

 まあとりあえず、頑張る。それだけで良い。


「最後に言っておくが、万が一何かあったとしても追い払うだけでも構わないんだ。まず死なないようにしてくれ。じゃあ、行くぞ!!」


 俺は巨人でも通るのかと思えるほどの扉を、思いっきり開け放った。

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