No.3 道化・導師
「ふぃ~」
やっと1人の時間が取れた。色々と確認したいことが俺にもあるんだよな。
え、延ばしてたのは俺だって? そんなことはもう忘れたな。多分ああしてなかったらもっと大変なことになってた……と思う。
ふと、思い付いて頭をよぎったことを思い出してみる。
『この世界は異世界だ、ならステータスや能力が有るのではないか』
というものだ。
考えてみれば辻褄は合う。少なくとも俺たちを召喚した時点で魔法に近しい何らかの力があることは確かだ。そして彼女は“勇者”と言っていた。つまり、ステータスや能力に“勇者”が有るかもしれない。
もし、向こうで誤ってよくあるゲームのパネルっぽいものなんて出したら、むしろ危険分子扱いであの先生と同じ末路を辿るだろう。そうならないためにも、ある程度この世界を知った後は1人になることは先決だった。
まあ、取り敢えずステータスが出せるか確認しよう。
「ステータスウィンドウ」
ピー[[現在使用不可]]
…
……
………
えっと、どういうこと? 「現在」ってことは昔は使えたの?
それよりもどうして使えないんだろう?
考えた結果はただ1つ……
とにかく色々試してみる!!
指を出して空中で縦に横に円形に振る。念のため足でもやってみた。
ダメだった。
次は言葉で攻めてみよう。
「ステータス、ステータスウィンドウ、ウィンドウ、スクリーン、スクリーンウィンドウ、ステータススクリーン、スクリーンステータス、ステウィン、ウィンステ!!」
……
しかし何も起こらなかった!!
もう一度だ。
「ステータスウィンドウ、ステータススクリーン、ウィンドウ、開けゴマ!!」
改めて考えると、何を行ってるのか訳が分からないな……
フォン!!
え、開いた。
一体どれで開いたんだ? まさか──
「閉じろゴマ?」
フォン
消えた……
なんだそれ、おかしいだろ!! 「開けゴマ」って、「閉じろゴマ」もわかんねぇし!!
結果から言うと
開けと思ったら開いた。開かなかったのはどれも開けと言う気持ちがそこまで大きくなかったかららしい。まあ、当てずっぽうでゴマが面白そうだったから開けと思ったけど……
良かったな、勇者達。
まあ、ステータスチェックの度に「開けゴマ!!」と言い始める勇者も見てみたいとは思うけどね。
まあ、それはともかく自分のステータスを見てみよう
仁導名霧 Lv.1
HP 6000
MP 10000
STR 8000
INT 8000
VIT 10000
MEN 10000
DEX 15000
AGL 20000
LUK ―――
〈称〉
クラス 導化師
クラス/説明 相手を騙し欺くことに特化したクラス 稀有なスキルを所持している事が多い 彼に真実は存在しない
異世界人
〈能〉
ERROR
〈技〉
―――
〈役〉
全方向支援攻撃特殊型
「は?」
俺はすっとぼけた声と共にじっくり10秒間表を凝視し続けた。