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導化師は我が道を行く  作者: 錆腐短杖
異世界への旅立ち
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No.2 覚醒・確認

「皆さん!! 成功しました!!」


 目が冴えていくのと同時に聞こえたのは高く澄んだ女性の声、声の高さから17か18辺りだろうか?


 完全に見えるようになって確認できたのは玉座のようなものに座っている60代の男性。その男の前で俺たちを見下ろしている、恐らく先程成功を受けて声をあげていた女性。

 俺らの足元には先程見た円型の魔法陣、それを取り囲むようにして等間隔で並んでいる20人ほどの大人たち。生きてはいるだろうが布を被せられているのでお顔を拝むことはできない。


 俺たちの人数は、ひーふーみーよーいつむー……うん、担任を含めて全員居るな。どうやら飛ばされたのは俺たちのクラスだけらしい。それでも40人近く居るんだけどね。


 ある程度の確認が出来たところで女性は口を開いた。


「初めまして、勇者様がた。私の名前はミンガラム・ルーフリー。我がミンガラム帝国国王デスクテアの第二皇女です。是非、ルーフリーとお呼びください」


 どうやらこの国の名前はミンガラム帝国と言うらしい。そして、彼女が国王と言った所で後ろの男性を見た辺り、あの人が国王デスクテアなのであろう。


「誠に勝手ながら申し上げさせていただきます。あなた方には私どもの国を救って頂きたいのです」


 救ってください、の所でクラスのヤツらが「おぉっ」とか言っているな。誰しもそう言うのには憧れるのだろう。

 まあ、あっちに色々言われるのも癪だしこちらからも攻めさせてもらおう。


「ホントに勝手だよな~。勝手に拉致紛い、いやもう拉致と言っても良いか。更に監禁とか、悪いことしたら別だけど処刑でもされたらたまったモンじゃない。こちとら元の世界で安全な生活を送ることも出来たんだからな?」


「誠に申し訳ありません…… しかし我が国にはこれしか方法が無かったのです。この国は今、魔族に襲われています。しかしこの国の戦力で迎え撃つことは不可能です。そこで私どもはあなた方に頼ることにしたのです。その代わりこの国に居る間は最低限の安全は何としても確保しますので、ご安心下さい」


 ルーフリーは目を潤ませながら言う。この涙は偽物だが不躾だから黙っておこう。

 まあ“最低限の安全”。この一言の重みは全然違うな。

 次の質問に移るとしよう。


「その言葉を聞けて安心しました。次の質問に移らせて頂きますが良いですか?」

「あら、言葉使いが急に丁寧になりましたね。勿論構いませんよ」


 お互い社交辞令の笑顔を張り付け、言葉の応酬を続けていく。


「次に聞きたいのは、この国での勇者の扱いです」


 場合によっては面倒くさくなるだろうから、聞いておくのが良いだろう。


「はい、勇者召喚は珍しいですが決して初めてではありません。なので、ある程度の体制は整えています。まず、先代の勇者がとても謙虚であったことを踏まえて、本人が望まなければ過度の接待は不要と定めています」


 確かにそれは正直ありがたい。ばれてもその場かぎりの物になるだろうからだ。


「しかしそれでは民衆たちの不満が溜まってしまうので、勇者を崇めることは許可しています。まあ同じ色の容姿の人は多いですから、自ら勇者だと名乗らない限り大丈夫だと思いますけどね」


 なるほど、その辺りは言った通りしっかりしてるようだ。そういえば、金はどうなるのだろう。


「次は金銭についての質問です。どのようなものがお金として使われており、どんな単位なのでしょうか」


 ルーフリーは少し驚いた表情を作り苦笑した。


「そこまで気付くのですか。説明する手間が省けるので助かります。この世界の通貨の単位は『オルム』と言います。先代の勇者様からの助言を頂き1エンなる単位と1オルムは同じくらいの価値と思っていただいて結構です。詳しい説明はメルス紙をお渡ししますので、それで金銭のレート、武器や道具のランクをご確認ください」


 紙に書いてくれているのはありがたい。いつでも読み返せるしな。と言うかわざわざ書いた紙を渡すなんて用意周到だな。何も無いよりは断然良いのだが。


「質問は以上でしょうか? ではこれで一度説明を終わりたいと思います。一人一部屋ずつ部屋を用意していますのでご使用下さい。勿論設備もご自由にどうぞ、それではごゆっくり。あ、そこの1人だけ服装が違う方は残っていて下さいね」


 そして俺たちは教師だけ残し、一人残らず自らの貸部屋へと散って行った。

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