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導化師は我が道を行く  作者: 錆腐短杖
異世界への旅立ち
21/54

番外 No.1 兄妹・存在

戦闘描写入ります

 仁導が奥の部屋でティオールと戦闘をしている頃、ジャッカとスグロは33人との盗賊と対面していた。

 罵声を浴びているが2人は気にもしていない。むしろ、落ち着いた雰囲気で話していた。


「ねぇ、兄さん……この人たち殺しても良いのかな……?」


 コクンと首を横に傾げながらスグロに問う

 しかし、雰囲気とは裏腹に物騒な事を聞くジャッカ


「う~ん、いいんじゃね? 仁だってここの頭を殺しに行ったしな」

「じゃあ、本気で行こう? 本気でね」

「分かった」


「行くよ……行くよ 行くよ! 行くよ!! キャハハ!!……」

 ジャッカが気が狂ったように笑い、突然黙る

 このような事をすれば注視されるものだが彼女はもう誰の目にも止まっていなかった


 これは、彼女の固有スキル〈存在弱化〉の能力だ

 効果は名前の通り存在感が希薄になるだけと言うもの


 余談だが、固有スキルはそれぞれの人格が2つずつ持っている

 そして、その人格が持つ固有スキルを仁導は実体化していない時のみしか使用できず、コピーもできない


 ジャッカと共に来ていた男の方を見ると大太刀を構えていた

 こちらはこちらで〈存在強化〉と言う固有スキルを使用している


 効果は存在を強化するだけの物でジャッカとは全くの逆となっている




 動いたのは2人組の方だった



 男が大太刀を横に振るう


 すると、その気配に気圧され奥にいた下っ端が後ずさった

 その時、足元に激痛が走る


 足元を見ると……撒菱が撒かれている

 動けなくなった彼は横から飛来した苦無に首元をかっ切られた




 ある幹部は恐怖に従って入り口へと一心不乱に逃げた


 すると、後ろから高速で空気を切り裂いてきた極小の弾丸に心臓を貫かれた




 ある戦闘要員の女は敵に反撃しながら上手く避けていた


 が、撒菱に足をとられて転んだ拍子に体を打ち付けて心臓が止まった


 もちろん、戦闘要員をしていたわけなのでそんなに弱い筈がない

 これはジャッカが人知れず〈弱化術〉:身体弱化 を使用したため、転んだ衝撃に耐えきれる体ではなくなったためだ




 ある偵察は、敵とは離れた位置で戦況を観察していた


 戦闘情報を伝えるため……と言うことはなく、隙あらば逃げるためだ


 1:32の乱戦を観察するうち、違和感に気付いた

 それは『もう1人の女の居場所』である


 慌てて探し始めた時「サヨナラ」と耳もとで声がした

 そして、首筋に冷たい何かを突き付けられ“カシュ”と乾いた音の数瞬後に体が動かなくなる


 毒が回りきった彼は顔を青くしながら倒れた




 次々と戦えるものが少なくなっていった


 しかし、倒れた者に大きな傷は見当たらない

 せいぜい、首の血を拭けば分からなくなる程度の切傷があるくらいだ


 なぜなら、ここに倒れている者は全員ジャッカの暗器による暗殺なのだから


 ある者は撒菱の足止めに、ある者は苦無に、ある者は小型拳銃に、ある者は弱化術に、ある者はある者は無針注射の毒によって……



 これは、ジャッカの〈存在弱化〉状態の暗殺

 スグロの〈存在強化〉による自分への視線の誘導と大太刀の陽動

 これらが一つの技として機能した戦い方だろう



「ウフフ……」


 この部屋に盗賊は、誰一人として立っていない。


 小さく存在感のない声が洞窟内に残響する。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ここまで読んで番外編入ったので一旦区切りとして感想書かせて頂きます。 話のテンポが良く、一話ごとの文量も少なめで読みやすかったです。 ノリの軽さが好きですね。ギャグも面白かったです。 [気…
2020/09/28 00:57 退会済み
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