No.9 導化師・窓
今回も説明回です
こうして無事〈疑似人格〉を作り終えた俺はどうするか考え始めた。特にやることもなく、ただただ暇なのだ。
「さて、これからどうしたもんか」
「仁さん、どうかしたの?」
俺が呟くとヒースが反応してくれた。長い金髪を揺らしながらこちらに顔を向けてくる姿は結構サマになっている。
「いや、これからどうしようかと思ってさ。今、君たちを実体化させたけどやることが思い付かないから」
軽く愚痴を溢すと、スグロが呆れたようなため息を吐いた。その顔からは、やれることは幾らでもあるだろうと言いたげだ。
まあ実際あると言えばあるのだが、せっかくなので彼に意見を話すよう促す。
「じゃあ、仁の今使える能力を確認するのはどうだ? 力を持ってても使えないんじゃ意味がないからな」
「そうだ、な。ナイスアイデアだ、今から確認してみるか」
そうして、窓を開き能力の確認を始める。
まず〈システムウィンドウ〉からだ。
この能力は女神から所有権を奪っちゃった力だ。今、思い出してもヤバそうだが便利なので仕方がない。使える能力は大きく分けて5つだ。
マップ・AR表示・データベース・設定・他スキル連結
それぞれ説明していこう。いや、説明というよりは効果を羅列するだけだが。
:マップ―地図、カレンダー、時計、スクリーンショット、ムービー、レコーダー、アイコン、ロックオン
:AR表示―ウィンドウ機能をAR表示、アイテム説明、キャラクター説明
:データベース―データ保存、ログ、メモ、アイテムデータ一覧、能力データ一覧、データ復旧、データ検索、ヘルプ
:設定―カラー、可視化、位置情報編集、複数画面、画面分裂
:他スキル連結―他のスキルと連結させる(複数同時も可)
なお、ストレージもあったが :道具箱がストレージ扱いとなっている。
さて、説明していこう。
アイコンは地図の機能の1つで地図に表示される人物のアイコンを設定する事ができる。カラー、メモ、データ、能力一覧などとなっている。どちらかと言えばデータベース寄りな能力だ。
カラーは{関係なし―白 味方―緑 敵―赤 危険人物―黒 勇者、および関係者―黄}表示だ。変えたり追加も出来るらしい。
アイテムデータ一覧は今までに鑑定したものや道具箱内にいれたもののデータをデータ保存で保存する機能。能力データ一覧は能力を見る、受ける、感じる、能力が使える者を見る、まあ能力と関われば自動解析し、使用可能にする機能。検索はそれらのデータから該当するものを探せる機能だ。
他スキル連結は、道具箱とストレージのように同一のデータとして扱いやすくしたり、能力をあわせて新しい能力を作り出すものだ。
次に〈導化師〉だ。この能力は少々内容が多いのでところどころ省きたいと思う。じゃあ、また効果を羅列していく。
:道具箱―収納、解体、合成、コピー
:ジャグリングボール
1.―特殊効果付与+魔法属性付与
2.―代役、依代、代人
:トランプ
1.―同一
2.―トランプ兵
:マジックウェポン
1.―同一
2.―量産、武具変化
:瞬間移動(10cm以下無制限)
:千変万化
:全魔法適性、耐性
:その他
となる。詳しく見ていこう。
分解は道具箱内にあるものを素材、ステータス、スキル、魔法に分け、道具箱内に入れる機能だ。
合成は道具箱内にあるものを合わせ新しいものを作る。また、作ったもののレシピはアイテムデータ一覧に保存される。そして、作ったものは常に一定の品質、レア度、状態にになる。
コピーは1日に1回のみ素材がなくても道具箱内のものを作り出す第一コピーか、素材のあるものを道具箱内でアイテムデータを使い作り出す第二コピーがある。
ジャグリングボール、トランプ、マジックウェポンの1は特殊効果と属性を付与できるようになっている。ここで言う特殊効果とは、俗に言う状態異常などや回復といったものもある。
2はそれぞれの固有能力となっている。
ジャグリングボールの代役、依代、代人はボールが一度だけダメージを肩代わりしてくれる。また、ジャグリングボールの性能は創った時の魔力の使用量によって決まる。
トランプのトランプ兵は大きさ50~60cmの兵隊を造り操作できる。こちらも性能は魔力の使用量によって変化する。
マジックウェポンの量産はただ、武具を一度にたくさん創り出すだけだ。武具変化はこの能力の真骨頂といえる。それはこの世にある武具から想像上の武具まで創り出す能力だ。
千変万化は自分や魔法、武器を変化させる能力だ。ただし条件が有り所有権が他人にあるものは変化させることができない。例えば、昔のステータスウィンドウのようなもののことだ。
その他には、これらの能力が纏めてある。
{隠密、隠蔽、偽装、変装、懸賞、福引、換金、鑑定、注目、挑発、詠唱破棄、調子者、瞬間記憶、技術適応、完全再現、調整、失敗、身体操作、理解不能、スキル取得補助}
その他となっているが、案外便利な能力もあるので侮れない。
懸賞はスキルを使用し懸けるものを選ぶと抽選が行われ賞品が貰える。福引は懸けるものはお金オンリーで金額を設定するとこちらはガラポンが出て当たった玉に対応する賞品が貰える。
どちらも何度か挑戦したが〈大幸運〉の効果は受けないらしく今まで1度も当たったことはない。
調子者は自分が仕掛けた策が上手くいくとステータスが1割アップするらしい。
失敗は自分のスキルや魔法を失敗させる名前通りのスキルのようだ。使い道がわからない。
次は〈大幸運〉だ。
これは常時発動しているようで、効果はステータスのLUKを常にカンストさせるものだ。
試しに、と思い :失敗を使ってみたらステータスのLUKが500まで下がった。ヘルプによるとほとんどの人がLUKだけ50らしいのでどちらにしても高いのだろう。
というか、失敗スキルがERRORスキルを無効化しちゃったよ。前言撤回、やっぱり使い道がありました。
次に歌唱魔法なんだが……疑似人格に使用しているのであまり俺には関係がない。もし機会があったら説明しよう。
次に〈100の魂〉を説明する。
この能力を簡単に纏めると、4つに分けられる。
1つ目は身代わりの魂を100個創ることができ、HPが尽きた場合の俺の死や精神破壊、魂の破壊消滅など、とにかく命に関わる傷を負ったときに100個の内1個の魂を破壊することで完全に回復する能力。なお、この破壊された魂は1分に1個生産される。
2つ目は俺が死んでないときに任意のタイミングで魂を破壊することで完全に回復する能力だ。しかし、この場合は24時間の間(最大数-使用回数)となる。
3つ目は誰かに殺された場合のみ仲間のステータスを1~2倍に増やすことができるというものだ。
次の大罪魔法はあまり使用する気はない。なぜならこのスキルを使うとHPが削れるか、死ぬらしい。まあ、100の魂も適用される。が、もし死んだ場合2つ目の条件になるようだ。
しかし、効果がどのようなものなのか次の機会にでも試してみるのも一興かもしれない。
次に〈双霊鎌召喚〉だが使用できなかった。試しに鑑定を使用すると[使用条件:Lv.30]と書かれていた。
次の〈愚鈍の王〉も同様だったがLv.50と双霊鎌召喚より厳しかった。
これらが今、使用できる能力だ。
「ふぃ~、疲れた……」
確認をしてみたが正直、いった通り疲れた。
見始めたのが深夜ごろだったのに、気付けば空が明るみ始めていた。
「1度、寝るか……」
そう一言呟くと、俺は意識のスイッチが切り替わったように心地よいまどろみの中へと意識を委ねていった。
19/7/29 システムウィンドウに時計を追加