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018 おめぇのせいで失敗気分しか味わえねぇよ

◆□◆018―A 蔵人の推理


「悪いが、犯人を特定するにはピースが足りねぇ」

蔵人は玉緒の電話での質問に対してそう答えた。

(ギルマス。こっちは美味いスープカレーご馳走になってるっすよ。何もわかりませんでしたじゃ帰れないっすよ)

玉緒は泣きついた。

「おいらは美味いスープカレーも何も食っちゃいねえがな。何もわからないってわけじゃない。んじゃあ、考えるためのキーワードをタマに伝えるぞ。『最初の被害自販機』、『10人程度の<帰還者>ギルド』、『道産子』、『仮想通貨』、そして『アンサイジング』とその解除だ」

蔵人はヒントだけ提示した。だが、玉緒にはまるでヒントになっていないらしかった。


(いやいやいや、さっきからちょこちょこ出てくる<アンサイジング>ってのが分からないっすよ)

「タマはすぐ攻略サイト見る方だったなぁ。ちょっとは自分で考えろって言ってやりたいが、こればっかりは仕方ないか。少し長い講義になるが、大丈夫か?」

(じゃあスピーカーモードに切り替えまーす。あ、横に座ってるのは、尾城鷲平さん。ぼくと同じ<帰還者>です)

いきなり紹介されて、尾城は「どうも」と短く答えた。見えないにも関わらず、律儀に頭を下げる。


「二人にはこう名乗った方がいいかな。おいらの名は桜童子にゃあ。元【工房ハナノナ】ギルドマスターです。まずは、地球帰還に関して一言申し上げます。今回の事態はおいらたちにとっても想定外のことだったため、取り残された仲間たちがいます。異世界との自由な往来の実現をこちらの世界から果たすのがおいらたちの目的です」

(ん?)

蔵人の自己紹介に尾城が小声で反応した。

(アンタんところの大将、なんか悪の頭領が言いそうなこと言ってるべな)

「聞こえてますよ、尾城さん。ハハハ、だが、正しい評価だ。この地球世界に、未曾有のモンスターを招き入れるかもしれない穴を開けようとしているのだからね」

(おっかねえな)

「だが、そんな悪夢まで実現させてはならないし、おいらたちの行為がある程度正当性をもって地球社会に受け入れられる状態までもって行かなければならないとおいらは考えている」

(悪と言われるか正義と言われるか、結果が全てだべな、こういうもんは)

「勝っても官軍にゃなれねぇがな。おいらたち<帰還者>は圧倒的なマイノリティだ」

(兎耳さんよぅ。問題の<アンサイジング>ってのはさー、その、異世界の穴っていうのと、自販機の事件と、どうにかこうにか繋がるべな? そこら辺を教えてもらえんかねえ)

尾城のリクエストに蔵人が応える。

「おいらたち<帰還者>は、異世界で第三種生命体に遭遇し体内に取り込まれたことで、<魔力細胞>を手にすることになりました。その結果、新たな能力を得た。その能力は『この世のあらゆるものをアイテム化する能力』。アイテム化されたものはカードとなります。それを使用可能な状態にすることを<アンサイジング>と呼んでいます」

(アイテム・・・カード・・・アンサイジング)

蔵人の説明に玉緒が呟く。


「さて、<アンサイジング>には3つの系統があります。系統は、アイテム化する際の手の型に関係して変化します。おいらはこれをじゃんけんに喩えることにしました。まずは、『チョキ』。物質を指で直接挟むようにしてカード化する方法。これを<擬神化>と呼びます。物質の魂を守り神のようにして使うといえばイメージしやすいかな」

(擬人・・・)

玉緒の呟きに即座に訂正する。

「いや、<擬神化>だ。次に、『パー』。手を開いて物質に直接触れないでカード化する方法。これを<肉体強化>と呼びます。使用者の見た目や能力に影響を与えると考えてもらおうか。今おいらが兎耳なのは、この力だ」

(ギルマス、こっちの世界でも兎耳なんですか!)

「これからある実験をしようと思っているからなー。普段からぬいぐるみ姿というわけじゃあない。さて、最後は『グー』。祈るように手のひらを見せないでカード化する方法。これを<概念具現化>と呼ぼう。今回自販機を荒らしたのはこの能力じゃないかと思うんだ。異世界との回廊を作り上げるのもこの能力だと考えています。事件とのつながりが分かってもらえたかな」

(ギルマス、<魔力細胞>ってなんですか)

「おいおい、タマ、そこからかよ」

(いや、話は分かるんですよ。ちゃんと聞いてますよ? でも、にわかには信じられないっていうか。そんな細胞が身体にあるってのが、ぼかぁちょっとよくわかんないです)

玉緒は理解がなかなか追い付かないようだった。一方、尾城は着実に理解しているらしく、話を継いだ。

(自販機の事件に魔法が関わってるっつーなら、破壊の痕跡がないっつーのもわかるべな。それなら、北海道で爆破事件が起きたのも納得がいく。そっちも魔法だったんだべ。それでもやっぱり道産子がやったとは思えんがねえ)

「タマ、自分にも<魔力細胞>があることについては後で実証すれば納得できるだろ。それよりも、自販機被害の方を考える方が先だ。じゃあどんな魔法だったら有効だと思う?」

(えっと、ギルマス。確認なんですけど<擬神化><肉体強化>の二つは自販機がカードになっちゃうから使えないですよね?)

「飲み込みが早くなったな、タマ。つまり<概念具現化>を使えばいいわけだが、一体何を具現化すればいいと思う?」

(鍵、ですかねえ)

「それなら防犯カメラを見れば犯人がすぐ特定できるな。尾城さん、犯人の目星はついているのかな」

(いや、それはねえべ。勝手に鍵で開けてるヤツいたらすぐバレるべな)

「じゃあ、鍵ではない。開けずに金を取り出すには鍵以外で何を使えばいいかな?」

蔵人の問いに、尾城はしばらく考えてから言った。

(そうか、ニセ金か)

「ああ、おいらもそう思う。しかも自販機の中身をすっからかんにしようと思ったら、千円札も百円硬貨も偽造しなくちゃならねえ。それも、かなりの量だ」

(だが、そんな精巧な札を<概念具現化>で作れるべか?)


「精巧である必要はない。識別機をクリアさえすればいいんだ。だから作るものは、千円札サイズの『識別機で真札と誤認されるただの紙』でいいし、百円硬貨も形状と重さが同じな『識別機を誤認させるただの塊』でいい」

(それを、つり銭からニセモノが出るまで繰り返すわけかー。そりゃあ根気がいるなあ)

「防犯カメラがあるならば、長く自販機前に滞在した客を調べたらいい。ただ<アンサイジング>を解除すれば、そのニセモノは雲散霧消してなんの証拠も残らないから、しらを切るだろうがね」

蔵人が<道雪>を用い、亜咲実が<追跡>を使えば偽造貨幣を行使した実行犯は絞り込めるだろう。だが、偽造し、交付した最初の人物を特定しなければ意味がない。

「おそらく事件の概要はこうだ。<帰還>初日、<概念具現化>に気付いた人物は、金を殖やす方法を思いつく」

(殖やす? まず偽造だべ?)

「<複製>のように殖やす能力が、この偽造事件には必須なんですよ。識別機を誤認させ得るクオリティのものを最低でも三十万円分は作らなければならないですからね」

(それでも<偽造>が先だべさ)

「おいらだったら、本物の貨幣を<複製>することを先に思いつきますよ」

尾城は「うーん」と唸ってから「そだなー」と呟いた。

(じゃあ、そもそも<偽造>なんてしてねえで、<複製>でいいんでねえか? 大前提として、<偽造>したってところから間違えてんじゃねえべか)

「<偽造>は間違いないと思いますよ」

(なしてさー)

玉緒も飲み込みが早いが、尾城という男もなかなか飲み込みが早い。まだ能力自体の存在を知って三十分と経っていないのだ。それなのに矢継ぎ早に質問をとばす。蔵人は、さすがゲーマーと心の底で微笑んだ。そして言った。

「<複製>が識別機を誤認させうるものならば、自販機の中で消失させる必要がないからですよ」

(あ)

玉緒が呟いた。

(証拠が残らないように能力を解除する必要があったんだ。つまり、<複製>した貨幣では識別機を誤魔化すことができなかったから、<偽造>せざるを得なくなったってことですか)

「そういうことさ、タマ。だが犯人は、<複製>する能力を持ったがために、<偽造>する能力をもつことができない。<帰還者>一人では、一系統につきひとつしかカード化できないからだ。だから、協力者が必要なんだ」

(犯人は複数だべか!)

「ええ。<複製>者と<偽造>者の他に、きっともう一人必要になるでしょう。自販機の識別機を誤認させる貨幣を作る際、何度か失敗しただろうから、作り直すためには<カード破棄>のような能力がいるはずです。シュレッダーのようなものを<擬神化>したのなら三人目は必要ありません。それでも少なくとも二人はいるわけです」

(そうか、分かったべ。被害に遭った日ではなく、その前日、複数で不審な動きをしていた者を調べればいいんだべさ。タマくん、兎耳さんと話しておいてくれー。前日に被害を受けたものがないか友人に聞いてから、知り合いの警察に相談してみる)


尾城は電話をしに階下に降りていく。残された玉緒は呟いた。

(どうして、そんなすごい能力に気付くことができたのに、お金なんかに固執しちゃったんだろう。ぼくらは三日前まで剣と魔法の世界にいたわけじゃないすか。そりゃあ、あっちの世界でもお金は大事なファクターだったけど、こっちの世界に戻った途端、金の亡者になるなんて、ぼかぁ信じられないな)


「不幸な偶然かも知れねえとおいらは思っている」

(え)

玉緒はゲーム時代の蔵人を思い起こさずにはいられなかった。蔵人はそこにいるプレイヤー、エネミー、活動を阻害するBOTなどの動きを予測し、非常に巨大な絵を描く。そこに配置されると、何故か最後には蔵人の言う通りになっていたという奇妙な体験をすることが玉緒にはたびたびあった。


今回もそうだ。相談内容を話した途端、犯人の動きを予測し、巨大な絵を描いたにちがいない。大きな絵の中で欠けているピースを、玉緒にはない知識と大胆な想像力で埋めていっているのだろう。

蔵人は言った。

「タマは地域仮想通貨って知ってるか?」

(いや、よくは知らないです。聞いたことはある気がするんすけど。なんですっけ、それ)

「んー、じゃあ、仮想通貨っていえばわかるかい?」

(ゲーム内通貨みたいなもんすか)

「それも仮想通貨のひとつだな。いわば、誰かと交換できるデジタル財産といったところか。それに『地域』が付いたら、特定のコミュニティ内で限定的に使えるものとなる。北海道にもそういう仮想通貨があるだろう」

(あ、『DOSマネー』!)

「そう、『北海道限定仮想通貨:~DOSANCO~money』、略称ドスマネーだ。タマ、迂闊に復唱するなよ。最初の3文字をアルファベットとしてそのまま読むと、カード化のための言葉になるんだ」

(ディー・・・あ、危なっ!)

「北海道民であるがゆえに、カード化のための文字を目にしやすい環境であったこと。その文字が金と結びつきやすい状況だったこと。犯行を思いとどまらせられる年寄りが、犯人たちのギルドにいなかったこと。それがこの異能犯罪を生んでしまった」

(異能犯罪・・・)

「通貨偽造は重い罪なんだ。一人三万円の儲けで、無期懲役なんて割に合わないにもほどがあるだろう」

(捕まる想像なんてしてなかったんだろうな)

「そうだなあ。捕まることは想像できていないのに、スリルだけは求めていただろうからな。ギルドメンバーを呼び集め、ニセモノを手渡し嬉嬉として注意事項を告げたんだろうさ。一、なるべく人目につかない自販機を狙うこと。二、時間限定で行うこと。三、ニセモノがお釣りとして排出されるまでは投入可能であるが、次の客が釣り銭から犯行に気付くことがないよう、いずれかの方法をとること。ア、次の客がきそうなところでは、五千円を上限とすること。ただし、高額を扱うタバコの自販機はその限りではない。イ、現金投入口に故障中の貼り紙をし、<アンサイジング>解除とともに貼り紙を撤去すること。四、<アンサイジング>については一切情報を漏らさぬこと。こんなところだろうな」

尾城の足音は電話越しの蔵人には聞こえなかったが、憤慨している様子が玉緒にはありありと分かった。


◆□◆018―B 強い眼差し


蔵人は通話を終えると、仲間たちと廃校舎に向かった。

廃校になった後、元々の土地の持ち主のものとなったが、管理の大変さから市に返納された。建物自体は改築があった後のものなので文化財登録を免れ、地域の寄合所としての性格を強くしている。ただ、公園管理課に使用申請を出している者は、蔵人とゲートボールクラブくらいである。

この連休期間はゲートボールの予定が入っていないため、使うのは蔵人たちくらいだ。

「結構、教室とかそのまま使えそうな感じですね」

机をポンポンと叩きながら、空慈雷が言う。

「それにしても、戦闘訓練するには狭いにゃね」

イクスを乗せた山丹は、机の間を器用にすり抜けて歩く。

「<亜空間>を使用している間は、一般人の出入りが少ない方がいいだろう。一応<細則>で『<影武者>で<肉体強化>したものだけが入場できる』って規定したが、無関係なものの影響は極力避けたいところだ」


蔵人が<細則>で定めた<亜空間>の規定は次の通りである。

・一回の<亜空間>の効果時間を30分間とする。

・<亜空間>で破損したものは、もとの空間に影響を及ぼさない。

・<亜空間>から退場するときは、入場したときの空間に戻される。

・発動してから5分間は、発動者に以下の管理権限が与えられる。

(ア)<亜空間>の効果エリアの決定

(イ)入場できる人員の決定

(ウ)自動的に退場されるものの損傷度の決定

・次のいずれかの条件を満たすものは<亜空間>に入場できる。

(ア)<影武者>を用い<肉体強化>したもの

(イ)その他の能力で<肉体強化>したもの

・次のいずれかの条件を満たすものは<亜空間>から自動的に退場させられる。

(ア)<影武者>の損傷度が、管理者の決定した損傷度に達したもの

(イ)<影武者>の各部位の損傷度が、規定された各部位の耐久度を上回ったもの

(ウ)能力の解除等により、肉体に損傷があったもの

・<影武者>の各部位の耐久度は以下の通りとする。特に設定しない場合は中程度とする。

(ア)頭部 上1%の損傷 中2~10% 特11~30%

(イ)胴部 上5%の損傷 中6~20% 特21~50%

(ウ)腕部 上10%の損傷 中11~50% 特51~90%

(エ)脚部 上10%の損傷 中11~50% 特51~90%

・<亜空間>とその外部にいるものは携帯電話で連絡ができる。


蔵人は兎耳姿のまま席について、左手に<細則>、右手に<上書き>というスタイルで書き上げたのだった。それでいながら案外綺麗に書けている。

書き上がった<細則>は莉愛に渡してある。

「さっき予備実験して分かったが、<亜空間>には膨大な魔力を使うらしい。だから、時間も空間も限定的だ。その代わり、<亜空間>内部で壊れたものは完全に復元される。そこで今回は、莉愛に外部で<亜空間>の管理者を務めてもらう」

イクスが莉愛に手を振る。イクスはまだ黒猫娘の姿のままだ。

莉亜は校舎の外から手を振り返す。

(じゃあ莉愛、<亜空間>始めてくれ、さあみんな、5分後から戦闘訓練開始だ。好きなポジションに散れ。外と連絡とりたいなら<バビロン>につないどけ)

「了解」

莉愛と依月風は外から校舎の様子を見ている。

ちなみに亜咲実は校庭で素振り中で、喜久恵は仕事、花純美は喜久恵の家で惰眠を貪っている。


「サブスペース! エリア、廃校舎全域。入場者、にゃあ様・ハギパパ・バジルさん・ディル君・イクス・山丹。損傷度設定、中」

「あ、消えた」

依月風は、莉愛が名前を呼ぶたびに校舎の中の人影が消えていくのを確認した。

「大丈夫かなあ、シゲピッピ」

「え、なに? イルカお姉さん、ハギパパ好きなの?」

「逆、逆。好きになっちゃ負けなの。私が落とすの」

「え、なになに? あの賭け、ホントに続行してんの?」

「昨日もね、湯上がり首筋の香りで攻めて見たけど、逆にこっちがゾワゾワさせられちゃってさ。ヤバいね。一人部屋ないと発狂するから、明日からホテル泊まる」

「一人部屋で何するの?」

依月風は莉愛の肩を叩いて、舌を出してウインクする。

「一緒に泊まるか!?」

「絶対お姉さん、酒飲んで暴れるからやめとく」

「酒飲まないとやってらんないって。素面だったらみんなの前で赤っ恥のコキっ恥を晒さなきゃなんなくなるわ」

「何晒す気なのー」

今度、依月風は莉愛の両肩に手を置く。

「いいかー、少女よー。アンタの彼ピッピはあっちの世界にいるままなんでしょ。ちょっと想像してよ。彼ピッピがー、首元の匂い嗅ぎにくるとこ」


莉愛は異世界にいるヴィバーナム=ユイ=ロイのことを思い出す。その記憶にはとてもリアリティがあった。

ユイの顔が近づいてくる。

ユイの日だまりの仔犬のような匂い。

(いい匂いだな)

ユイの声。ユイの笑顔。

ありありと蘇る。

「ふふふ」

莉愛は笑った。

「え、何、その反応?」

依月風は怪訝な表情を浮かべる。

莉愛はますます幸せな笑顔になって答える。

「今、きっとユイと繋がった」

「はぁー? あんた枯れてるわね、見た目によらず」

おそらく莉愛にとって、恋に恋する季節は終わったのだ。信じて進むために、今は待つ。この実験もその一歩になるはずだ。

そんな気持ちを力強い眼差しに込めた莉愛を見て、現在恋愛(禁止)真っ只中の依月風は宇宙人を見るような目付きをした。


「あ、終わったみたい」

教室に人影が戻った。

「マジでないわー、うさ耳太郎」

「あれは反則にゃ」

「がう」

バジルとイクス、そして山丹が文句たらたらで玄関から出てきた。そのすぐ後に空慈雷と薫樹も出てきた。


(悪い、莉愛。<亜空間>を解除して貰っていいか)

<バビロン>を通じて蔵人からの要請が莉愛に届く。

「スーペスブサ! あれ、みんな早かったね」

莉愛の声にイクスが喚く。

「追い詰めたと思った瞬間、焼け野原にゃ。リーダーにゃんは何を使ったにゃ」

バジルも喚く。

「手加減できない分、<火雷天神>よりもタチが悪い! あれじゃ練習にもならねえ」


「え? 何があったの?」

莉愛は聞いた。薫樹はちらりと依月風を見てから答える。

「こっちが無事で安心しましたよ。あれが、こっちの空間まで影響してたらと思うと・・・。あれは、もはや戦略級兵器ですよ」

「それって」

莉愛の呟きに空慈雷が答えた。

「ええ。リーダーさんのカード、<デモン>です」


のんびりと校舎を振り返りながら、兎耳のぬいぐるみが玄関から出てくる。

「<亜空間>の実験はうまくいったようだな」

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