第1章 3節 この道のりのキツさ、やっぱりサービスなんかじゃないんですけど。
誰も待っていない続編です。
ようやくちょっとグロいシーン出ます。
魔物以外に普通の動物もいます。
あとこれ、異世界転生、転移系ではないです。
異世界ですが、ちゃんと主人公は異世界で生きてきています。
俺は。
今。
どこにいる?
確かに森にはいる。
俺はどっち向かって進んでんだ?
なんとなんと道に迷いました。まずいなぁ、人がいないし、いた所で声もかけられないし、でもこうして迷っている間にも俺の活動限界は近づくし。
ただ北東に進むだけだったろ……。
どうしてこうなった……。
―――時は2時間前に遡る。
干し肉一欠片の食料を手に、その先の旅路を案じたその場所から、持っていたコンパスで北東の方角を確かめながら歩き始めた俺がそこにはいた。
まぁまぁ順調な歩き出しだった。そりゃそうだ。北東にまっすぐ進んでさえいれば良かった。迷うわけない。
そして俺は慢心していた。
そう。俺は幽霊だと。
3キロほど歩いたところで、道はなくなり、森に入った。
方角をこまめに確かめながら進む。慢心して進む。どうせ魔物は襲ってこねぇよ。とか、そんなアホなことを考えながら進む進む。
Q.あの時の神様みたいな人は、なんて言ったんでしたっけ?
A.死んだけど現世に戻って働けと。
Q.その仕事の内容は?
A.魔物と戦えと。
この問答が、心の中ででも出来ていれば、迷うことは無かったのだろう。
森に入ってからさらに2キロほど。
ズドッ
「!?」
俺は後ろから攻撃された。なんだよ!触れるのかよ!!つーか、後ろから攻撃って。デジャブ?
強烈な攻撃はリザードマンのような怪物によるもので、(以下、リザードマン)そのパワーは装備を含めた体重,93キロの俺を軽々吹っ飛ばし、俺は目の前にあった木に顔面から突っ込んだ。
死ぬ直前のことなんざ思い出したくもねぇが、明らかにあの時より威力あった。死ぬ。
しかし、派手に顔面から突っ込んだにもかかわらず、俺の顔、及び背中に傷はなかった。痛むけど。痛いけど。
ここでわかったことを整理。
・魔物共には認知される。
・触れらず、認知もされないのは人間だけ。
・痛覚健在。
・痛い。
・痛い。
やるしかねぇ……。
そしてようやく「戦闘」は始まる。
立ち上がって剣を抜く。
先までの油断は露と消え、表情は鋭く、敵を見据える。目の前のリザードマンに向かおうと1足踏み込むも、相手からこちらに僅かに早く追撃に来ていた。反応出来ずにもろに喰らう。
鋭い爪による攻撃は、あの時の死の恐怖を思い出させるようだった。さらなる追撃体勢……!先刻と変わらぬモーション。このままでは直撃は免れない。
しかし。
「二度同じ攻撃をくらってたまるかァァ!!!!」
かつてないほど気合を込めて叫び、東洋の「カタナ」と呼ばれるその剣の柄で敵の攻撃を受ける。
怯むリザードマンとの間合いを一足一刀の距離に捕らえ、力強く踏み込む。
「三日月斬り……!」
斬!
滑り込むようにしてその巨躯とすれ違い、その刹那に美しい三日月のような剣蹟がそれを切り裂いた。脇腹に刻まれた1文字はまるで定規で引いたかのように美しい直線を描き、その傷より吹き出す鮮血が、横にいる彼をすり抜けて枯葉や枝を赤く染めていく。
スイッチが切れるように雰囲気が元に戻る。
はあ、とりあえずっつか返り血で汚れなくてよかったわ。魔物も木にもすり抜けないのに、血だけは通り抜けて行った。顔から突っ込んだはずなのに顔は傷ついていないし、血もでてないし、転んでいるはずなのに汚れもついていない。
つくづくわけわかんねーなこの状況。
とりあえずあのビルに向かわないことには状況は一向に変わらない。北東に。向かわなければ。
方角を確認しようと腰に下げてあるコンパスを触る。
そこにはただの革製のベルトがあった。
コンパス無ぇ!!!
おいどこ行った!!!
てっめ!!!どきやがれ!
リザードマンの骸の顔面目がけてキック!!
びっくら仰天!その蹴り、完全に空振り。なんで外す!!勢いそのままにぶっ倒れ、文字通り天を仰いだ。
ふと横を見る。
粉々に砕け散ったそれは。
もう南は指せなさそうだった。
そして、今に至る。
どうしてこうなったもクソも、全部俺のせいじゃねぇか!!!
俺がした愚かな行動!!
1! すげーテンパって歩き回った!!この時点で迷子確定!
2! リザードマン倒したところを見失った!!リザードマンとの戦いからどっから向かってきたか分かったかもしれないのに!!
3! 干し肉ヤケ食いした!!食料全滅!!!
これ、終わったんじゃね?
いや、諦めるのはまだ早い。俺の辞書には「諦める」も「逃げる」も載ってるけど、まだその時じゃない。
太陽から方角を割り出すしかないか。それに食料もどうにかしなきゃ。人は居ないしな。
とりあえずこの森の中で野営するしかないみたいだ。日が暮れるまでには絶対にこの森を抜けられない。ここまでバカでかくて木が沢山ある森ならば鹿ぐらいいそうだし、火を起こすことはできるから調理も可能。
となると、これは。
ひと狩りいこうぜ!!!
ってことかな?
はい。ひと(りで)狩り行こうぜ!!!ね。
森を捜索。
鹿はいないか?
馬はもっと居ないわな。
兎?ふるさとか!
ひとりで勝手に問答しているアホはここですよお巡りさん。
……それはさておき。全然食えそうなやついねぇんだけど。
なにか音がした。
何かがいる。
気配がする。
わかりやすく枝先の葉が揺れ落ち、またも巨大な何かが迫ってくる。
張り詰めた空気。
油断はない。
ガサガサッ!!!
来た……!!
初心者ですのでまだまだ拙いですが、どうぞ読んでやってください。
感想とかあると嬉しいですし、ダメ出しも全然ウェルカムです。
よろしくお願いします。