89話 奴隷にもなれない可能性
「ねえユウお兄ちゃんラビお姉ちゃんとビビお姉ちゃんとミミ―小母さんを奴隷かお嫁さんにして欲しいの」とリサちゃんがとんでもない事を頼んできた。
ルルさんと3人の兎人族の女性を見た、
4人とも小さくなって俯いている、特に兎人族の3人は震えている。
「どういう事なのルルさん?」とルルさんに聞いた。
「御免なさい」と言って俯いた、
「ちょっとルルどういう事なの?」とララさんが聞いた、
「御免なさい、でもどうしても彼女達を貴方の奴隷にしてあげて欲しいの、私も奴隷でいいから……性奴隷でもいいです」と震えだした。
「ちょっとルル!あなた何を言ってるか分かっているの!」とララさんが怒りだした。
その剣幕にリサちゃんが脅えて震えだした。
シシリーとナナリーが奥から出てきた、皮鎧を脱いで普段着になっている。
「説明しなさいルル!」とララさんが更に声を荒げた、
「ちょっと待ってララさん」と言ってララさんを止めた、
でもララさんが止まりそうになかったから「いいから俺に任せて」とちょっと強気に言った、
シーンとした、
でだ、この状況俺には何となくだが良く分かる、何となくだが良く分かるって日本語としておかしいけどそうとしか言えないんだよな。
まず兎人族の彼女達3人はルルさんとリサちゃんの知り合いだ、名前知っているから、
次に兎人族である事から考えて貧しい、
リサちゃんの奴隷にしてと言うお願いから推測すると奴隷にならなければならないという状況に陥ったと、
ルルさんとリサちゃんは俺の事を千円札3枚売って金持ちになると知っている、
その上スキル振り込み出来ると知っている、
つまりどこかの見ず知らずの者の奴隷になるなら俺の奴隷になった方が良いと考えたという事、
それは単純に嬉しい、二人からそれなりに信用されているという事だから。
問題は養えるかどうかなんだが……、
どう考えても余裕なんだよな、
千円札の売った金で十分養えるし、それがもし手に入らなくてもパーティーポイント振り込みとスキル振り込みで戦闘が簡単になりそうだし、だからランク3で稼げるだろうからお金の問題は無い、
問題は俺の他の人には無い能力をバラさないを信用出来るかどうかなんだけど奴隷にするから問題無いんだよな。
そして最後の重要な部分、俺個人の問題、奴隷にしてメリットがあるかどうかなんだが、
兎人族の種族能力を調べるのに奴隷が居た方が良いし、調べ終わったとしてもその種族能力を使うのに奴隷として確保していた方が良い、後単純に奴隷にするなら安全性的にもルルさんの知り合いが良いし、女性が良いし美人なら尚更良い。
後リサちゃんとルルさんの好感度アップも出来るという美味しい話でしかない。
つまり断る理由が無い、
俺が考え込んでいると周りが心配そうに動向を見ている。
「別に彼女達を奴隷にしても問題は無いと思うんだが?」とララさんに聞いた。
ララさんも冷静に考えればリスクがほぼ無い事に気付いたのだろう、
「そうね、何も問題は無かったわね」と言いながら俺を抓った。だからそれ理不尽。
「お姉ちゃん?」「ララさん?」「やったあ♪」「「ララ様」」「あの……」と皆が口々に発言した。
「じゃあまず、ルルから」とララさんが仕切った。
「お願いした私が言うのもあれだけど良いのお姉ちゃん?奴隷を持つことに反対してたのに」と、
「それは今までの事よ、奴隷を数人雇ってもその数人しか助けられない、それならその分子供達の教育に当てた方がより多くの人を助けられるから無駄に金使うなと言う意味で反対してただけよ、でもユウの力が有ればその根本部分から変えられるし、その力を詳しく調べる為にも兎人族の奴隷が欲しいのよ、だから渡りに船なのよ」とララさんが言うとルルさんリサちゃんと兎人族の3人が安心した顔をした。
ただ兎人族の2人は力を詳しく調べる為にってどういう事?って疑問にも思っていそうな顔だ、
そして18歳位の兎人族は何かほかに心配事が有るようなそぶりをしている。
そしてルルさん、こっちをじっと見ている、少し目が冷たい。
その顔!ララさんが俺を問題児って言う時のまたしでかしたわねって顔だ。
「ララ様、ラビさんのパーティー能力をご存じですか?」とシシリー低い声で訊いてきた、
その瞬間、空気が変わった、やったあ♪が絶望に染まった。
「噂でわね、丁度いいわ本人から聞きたいわ教えて頂戴な」とララさんが言った。
一番暗い顔の、というよりもう死んでいるという様な生気が無い顔の18歳位の兎人族に皆の視線が集まった、
「はい、私ラビ・スノーのパーティー能力はちから3すばやさ3たふさ3器用さ6魔力7うん8です」と泣きそうな声で答えた。
うわっ、マジか、いや確率的にいったら6個のうち半分が駄目ステータスだから2分の1×6の64分の1だから、居てもそんなにおかしい訳では無いんだが最初の兎人族がそれかよ、
まあ奴隷になろうとしてたから尚更確率は上がるんだがそれでも初日で出会うとか、それも俺の奴隷候補とか、マジ仕組まれて無いよね?
周りが俺の動向を気にしている、
特にラビ・スノーさん、そうかそれでさっき心から喜んでいる顔してなかったんだ、
うん、そのパーティー能力なら奴隷にすらなれない可能性も有るよね、そうだね奴隷にするのにもお金が掛かる、奴隷には最低限の保証がされている、それは買う側にしたら最低限の保証をするだけの経費が掛かるという事、つまり買った奴隷にその分の価値を見出さなければならないという事でパーティー能力が悪いとその価値を見出せないから……、
「奴隷になれない人っているの?」と聞いてみた、
皆が暗くなった、特にラビ・スノーは泣きそうだ、
「勿論いるわよ、性奴隷にもなれない人はいるわ、そう言う人は鉱山に送られて3年経たずに死ぬわ」
「3年で死ぬの?」
「ええ、鉱山病と兎人族病と魔物にやられてですぐ死ぬわ、兎人族病は兎人族餓死の一歩手前の状態の事よ」
「魔物にやられるの?」
「ええ急に魔物が現れるのよ何故か、それも発掘している人物のすぐ後ろに」
それってMMORPGとかである釣りしてたら魔物が釣れるってやつみたいな物?
考え込んでたら皆が心配そうに見ている、また入り込んでしまってたわ。
「いやパーティー能力悪くても別に気にしないけど?」と言うと歓喜が沸き起こった。
特に3人の兎人族が泣き出した程だ、
いやそんなに喜ばれても、
正直パーティー能力を12ポイント振り込める俺には全く関係が無いレベル、例えば3、3、3、5、5、11、というとんでもない偏りでも12ポイント振り込める俺には7、7、7、5、5、11、に出来る、それは最低値がちから5すばやさ3たふさ5のドラゴニュートが全てちからすばやさたふさに振り込まれたとしてもちから7すばやさ5たふさ7ですばやさ2ポイント分こちらが上になる、
つまりどんな数値でも12ポイント振り込める俺には振り込められないこの世界の住人より強くすることが出来る。
だからどう考えても前衛向けでは無い兎人族でも他のどの種族より前衛向けに出来る。
「何ならラビ・スノーさん?重騎士や盾士になってみる?」と聞いてみた。
そしたらラビさんが絶望顔に早変わり、他の人達も俺を脅えた目で見てくる、リサちゃんに至っては大泣きしだした。
えっ、何で?俺何かしでかした?
ララさんが深い溜息を吐いた、「本当に貴方って問題児ね、ちょっとは自重しなさいよね」と怒り出した。
ねえ?俺何しでかしたの?教えて。




