82話 虐殺では無い一方的に殺せるだけだ ③
「で、話し戻すけどライア公爵軍が圧勝出来る理由の二つ目がレベル差よ」
「えっ?」
「ライア公爵軍の公太子のデューク・ライア率いる第1騎士団は全員ランク2攻略者のレベル150位よ、デューク・ライアに至っては10代で180でランク3攻略者よ」
「ライア公爵家はね、セフィリスがランク3を攻略してから現在まで王家以上にランク3を攻略しているのよ、だからこの国最強の公爵家って言われてるのよ、ちなみに我がミネス公爵領はライア公爵領、王領に次いで3番目よ」とドヤ顔された。
「それに比べてガイル侯爵軍の第4騎士団は伯爵家の三男とかの貴族籍を無くした者達の中でも駄目な方」
「駄目な方なの?」
「ええ、ガイル侯爵家は公爵家を田舎って馬鹿にしていたから質の良い騎士は王都方面か中央に普通の騎士はローゼン領方面やヤアル領方面に送られるわ、で使えない者がライア公爵領方面に送られるわ」
「だからガイル侯爵軍のライア公爵領との境の関所の拠点防衛していた守備隊は質が悪い、勿論主にライア公爵領方面を任されてた第4騎士団も質が悪いわ」
「だから第4騎士団の平均レベルは半数が120位もう半数が90位、拠点防衛していた守備隊に至ってはレベル60も無いランク1を攻略している冒険者よりレベルが低い者が大勢いたわ」
「何で?守備隊はそんなに低いの?」
「魔物退治しないからよ」
「偶にはするわよ、でも冒険者と比べると回数は格段に下がるわ」と、
「騎士団には大きく分けて3つのタイプが有るのよ、一つ目はランク3を攻略する為の騎士団、デューク・ライア率いる第1騎士団がそれね、無論攻略の為にレベルはとてつもなく高いわ、二つ目は治安維持の為に街道で繁殖した魔物とかダンジョンから稀に出てくる魔物を狩りまくる守備隊、これも結構な頻度で実戦しているからレベルは高いわ、問題は三つ目の町や関所を守る為の拠点防衛の守備隊、主な任務は町を守る為だから基本闘わない、今は交代制にしているからそれなりに高いけど当時は低かったわ」
「ランク3を攻略する為に鍛えまくっているライア公爵家の第1騎士団と半数が街道の魔物を狩る守備隊と街を守る拠点防衛の守備隊、レベル差が70位」
「このレベル差がライア公爵家が圧勝する二つ目の理由」
「で三つ目が戦略で四つ目が戦術の差」
「三つ目の戦略は軍の在り方、ライア公爵家の騎士団はこの国が出来て領土を広げるのに何度も戦争してきたわ、昔は南東の現ライア公爵領にパズー国って言う騎馬隊保有の国、と言うか略単なる盗賊団が有ってそれと何度も戦争しているわ、当時は我が国に牛は居たけど馬は居なかったからものすごく不利だったんだけど、戦ってる最中に馬を手に入れ増やし、それを超える騎馬隊作って勝つと言う事をしたのよ、そう言う歴史を持つからきっちりとした軍を持ちちゃんと機能しているわ、対してガイル侯爵家の騎士団は只の6人パーティーの集まり、元子爵家の三男か男爵家の三男かで隊長が決められるという、6人の連携もまともじゃない集団、ある意味両軍がぶつかれるまで逃亡しなかったのを褒めるレベルの軍、だからこれも圧倒的に勝てる理由」
「後下準備的な意味でスキルも覚えれる様にしていたわ、【剛力】【跳躍】【俊敏】【警戒】何かの付け方を調べて騎士団全員にそれを付けさせていたわ」
「四つ目は戦術、これは棘盾何かも含まれるべきなんだけど棘盾をお皿の様に中央を凹ませて受け両脇を進軍させて敵兵を包むように移動する包囲する陣形」
うわっこれはやばい、ただでさえパーティーポイントに差が有ってレベルでも負けててその上軍としても劣ってて包囲されるとかどうするんだこれ?
「後伏兵、実は2000の兵だけでなく伏兵として500人の2隊が居たんだけど使う前にガイル侯爵の第4騎士団が崩壊したから実質2000の兵しか戦って無いわ」
実は伏兵もありましたってか、完全に詰んでる、
「それどころか300の兵で勝利出来たんじゃねえ?って言う位の話なのよ」
何それ?なろうに有りそうな無茶な状況は?桶狭間完全に越えてるじゃねえか。
「流石に300じゃ包囲自体無理そうだし棘盾も有効に使えないだろうけど勝てるだろうという位には信憑性はあるわ」
勝てるだろうかよ、勝てる可能性があるとかじゃなくて普通に勝つ方に天秤傾いてるのかよ。
「パーティー能力、レベル差、軍としての機能、陣形とどれか一つでも戦況を覆せるほどの効果を生み出せる物を4つある状況で五つ目に秘密兵器でしょ、もう戦争って感じにはならなかったそうよ」
「何て言うのかな劇の戦いみたいな?歩きながら剣を振るうとバッタバッタ死んでいくみたいな?」
完全に某ゲームの無双だわ、光の速さで動ける黄金の騎士様との戦闘だわ、只々死んでいくしかないわ、
「だから戦争と言えないだからと言って虐殺だったかと言うとそうでもない只単に死んでいくだけの戦いだったわ」
うん同じ評価だわ、
「只ガイル侯爵軍の方にも優秀な兵士が居て、多分上司に嫌われて左遷された様なレベルも高い兵士が数十人位はいたからライア公爵側にも被害が出たわ」
「結果はライア公爵側の被害は戦死者13名、ガイル侯爵側は戦死者およそ4000名捕虜487名と言う戦果で終わったわ」
流石に無傷では無かったか、只さすがに異世界の戦争だわ、正面からぶつかって2000対5000で戦死者13名で勝つとか流石に地球では有り得ないわ。
と言うか戦死者が多すぎるんだけど?
普通一割超えた時点で逃げ出さない?
日本の歴史上の激しい戦いでも25%も死なないんだけど?
「戦死者が多くね?」
「そうね、今までの歴史の中でも人間同士なら過去最大と言えるくらいじゃないかしら?」
「じゃあ魔物との場合は?」
「魔物との戦いの場合は当然全滅、100%よ」と、
「魔物が集団で町や村を襲えば負けた場合ほぼ全滅するわ」
……、
そうか、そう言う世界だったわ。




