77話 伯爵家の結婚事情
「ちょっと待ってくれ」と、
いやまだだ、まだ諦める状況じゃない!
ランク3のダンジョンは攻略する、でもその後はスローライフで過ごしたいんだ、
だから今ここで何とかしないと、
「どうしたの?」とララさんが、
「いや、何でそう簡単にお嫁になるの?もしかしてララさんの勘違いかも知れないし、もう少し考えなきゃ」というと、
「「ララ様が勘違いするはずがありません」」と声を揃えて返された。
やばい、やばい人だったのかシシリーさん達は、
「仮に勘違いでもいいのです、それなら間違いを正せばいいのですから」と、
「間違えてるかどうか判らずに事が進む事の方が問題です」
確かに、リーナとララさんとルルさんが嫁ぎました、でも間違いでした、じゃあ後戻り出来ないからな、
「でも間違いだったらどうするの?嫁いだことを無かったことにするの?」と聞くと、
「ララ様やリーナ様が犠牲になるくらいなら私がなります、間違いなら貴方を殺して私も死にます」と、
覚悟出来すぎいいい、
でももしユニークスキルに振り込めなかったら殺されるのかよ。
「ちょっとララさん」と小声で囁いた、
「何?」
「いやユニークスキルが必ずレベル1なら振り込めるって訳では無いかもしれないから……」
「ああ大丈夫よ、間違いってそういう意味じゃないから、仇なす者って意味の間違いよ」
「それにリサ様がお嫁さんになると決めてるお方ですので間違いがありません」とナナリーが、
リサちゃんの信用度半端ねええ。
「それに結婚するというのは口止めの為に支配下に置くという理由もありますが同時に利益を分け与えるという事にもなります。……それに……私の場合は……お嫁に行けるという事にもなるので、私にしても渡りに船ですので」と恥ずかしそうにシシリーが答えた。
まさかこんな美女なのに嫁に行けなかった?性格にすごい問題でもあるの?
「どういう事?」と聞くと「わ私はもう24歳なので」と恥ずかしそうに答えた、
「私の護衛を任されたのよ、だから結婚出来なかったのよ」とララさんが答えた、
「いえ私の方が結婚するのが嫌だったので」とシシリーがフォローした。
でもそれなら俺と結婚するのも嫌でしょは聞かないでおこう。
性格に問題がある訳では無いのか、安心した。
でも24才で行き遅れはひどい。
「いやそういうのではなくて自由に恋愛したいでしょ?」と聞くとシシリーとナナリーに何とも言えない顔をされた。
何でだ?当たり前の常識を聞いただけなんだが?
「ユウ、彼女達は伯爵家の娘で20才を過ぎていてユニークスキル二つ持ちなのよ」と返された、
何で伯爵家の娘で20才越えのユニークスキル二つ持ちに自由恋愛したいでしょと聞いたら駄目なんだ?
「簡単に言うとまず貴族のユニークスキル持ちは6歳くらいで結婚相手を予約するのよ、婚約って言ってね」
「それで伯爵家って王家、公爵家、侯爵家から領地を預かって治めるのよ、だから大概は婚約相手が公爵家と侯爵家の次男以下かその分家の子になるのよ、又は同じ伯爵家から選ばれるのが普通なのよ」
「で、公爵家や侯爵家の次男とかの場合、当然第1夫人はユニークスキルを受け継がせる為に同じ公爵家の一族の次女や三女が選ばれるから大概は第2夫人以下になるのよ、大概は第1夫人に子供が出来ない又はユニークスキルのレベルが低かった場合の予備としてね」
「うちのミネス公爵家は決まったユニークスキルが無いからそこは結構緩くて自由恋愛出来るんだけど無くは無いからマシってくらいなのよ」
「でね、公爵家や侯爵家の次男や分家の子との婚約はよっぽど酷い相手でもない限り断れないのよ、領地を減らされたりしちゃうから」
なんだそれ、
「これもうちのミネス公爵家は緩いけどやっぱり無くは無いのよ」
「無くは無いんだ」と聞くと、
「それを完全に無しにしたら他の公爵家や侯爵家領の伯爵家から娘が嫁ぎに来て他の公爵家や侯爵家と敵対になりかねないからね、後単純に軽く見られてしまうから出来ないわ」と、
「他の公爵家や侯爵家の伯爵家から嫁が来ると不味いの?」
「勿論よ、ユニークスキルの他家への流出問題になるから」
そうか厳しいな、
「で、同じ伯爵家同士でも一度婚約して破棄すると悪評を流されたり、と言うか破棄した時点で悪評と言うより只の評価だからこれも断りにくいのよ」
「だから伯爵家の娘の良いユニークスキル持ちは粗6歳くらいで婚約が決まって自由に恋愛なんて出来ないのよ」
「稀に良いユニークスキル持ちが自由恋愛で駆け落ちする娘も居るわよ、実際それで問題になって戦争が起こったし」
「戦争起こったんだ」
「ええ、実際には自由恋愛に見せかけた良いユニークスキル所持者の強奪だからね」
「800年程前に侯爵家5家の伯爵家の者達が組んで魔法学園に魔法を習いに来ていた公爵家6家の伯爵家の許嫁の居る娘達を口説きまくったのよ、中には無理やりも有ったらしいわ、そして終いにはライア公爵家に嫁ぐ予定の第3王女をガイル候爵家の次期跡取りが奪ったのよ、でライア公爵家がガイル侯爵領に戦争を仕掛けたのよ」
「でボッコボコ」とちょっと嬉しそうに語るララさん。
「そんなにボッコボコなんだ?」
「ええ、ガイル侯爵家は崩壊して生き残った分家の者にカイル侯爵家と名前を変えさせてなんとか滅亡を阻止出来た位にボッコボコ」とちょい笑いのララさん、
「そんな激しい戦争になったんだ」
「激しかったけど激しい戦争では無かったわよ?」と、
「どういう事?」
「宣戦布告して7日目に侵攻してその日に初戦闘が行われたのよ、第3王女を娶るはずだった跡取り息子の公太子のデューク・ライア率いるライア公爵軍の第1部隊2000とガイル侯爵軍の拠点防衛の5000が」
おおっ、兵力差2.5倍か♪だけど第3王女を娶るはずだった跡取り息子のデューク・ライアか、これは士気が高いぞ♪滅茶苦茶面白そうな状況だな♪
「でボッコボコ」とララさん、
……、
そこちゃんと説明しろよ。
次回ちゃんと説明しますので




