73話 役割
「でも初代ララ・ミネスもどちらかと言えば前衛兼後衛タイプでしょ?」
「どうしてそう思うの?」とララさんが聞いて来た、
「えっだって【神衣】持ちでしょ?それなら完璧な前衛にしないでしょ?」
「えっ、【神衣】って毒とかの状態異常に罹らないだけでしょ?」
「いや正確には属性ダメージも半減するよ」
「だったら尚更前衛でしょ」
「いや味方にも掛けなきゃいけないから」
「味方に掛ける?どういう事?」
「えっ?神衣の効果をMP33で味方に掛けれるんだけど」
「そうなの?」
「ああそうだよ」と言うと考え出した、
「……どうりでヒールもファイアも唱えられないはずなのにMPポーションを持たされてた訳だ」
「そうなの?」
「ええ、ヒールを唱えられるのはセフィルス・アベルとアイナ・アルナの二人でファイアはレーナ・マニャとハルト・クリフでアイスはデール・ライアよ、MPは時間で回復するから出来るだけ魔法を唱えれる人をバラした方が良いのよ、なのにララ・ミネスだけが魔法を唱えれなかったのよ、常識で考えたらハルト・クリフのファイアをララ・ミネスに覚えさした方が良かったのよ」
「ヒールやファイアやアイスよりすごい魔法を唱えられる、それならMPをその為に唱えれる専用にする、そして貴重なMPポーションをその魔法の為に使う」
「知らなかったの?」
「ええ、知らなかった、いえララ・ミネスがとんでもない魔法を唱えられたとかは確かにあったのよ、でもとんでもない与太話とかだったわ、私達のご先祖のセフィリスのパーティーの話は無数にあってそれこそ世界中に無数にあるわ、炎の魔人持ちのレーナ・マニャが湖の水をすべて凍らせたとか、ハルト・クリフが死者を生き返らせたとか、デール・ライアが巨大化するとかね、中にはセフィリスではなく我が国のバビット・バビットがやったんだという類の話もあったわ、当然無茶苦茶な話はララ・ミネスにも有ったのよ、時を止めて自分だけは動けるとか、巻き戻せるも有ったわね、7人になれるや、腕を2本生やせて4本に出来るや剣を振ったら山が斬れるや悪人の胴を2回斬って真ん中抜いて身長を縮めたとかね、その中にパーティー全員のダメージを半減するや状態異常を防ぐも当然あったわよ」
「でもどれも証拠が無かったのよ、当時はノートが普及してなかったから、殆どが口伝だったの」
「だから、嘘大げさの類だと思ってたのよ」
「何でノートが普及してなかったの?」
「鉛筆が無かったから」
ぶっ、何だそれは、
「正確には王都にある古代図書館ていうランク2のダンジョンでノートをドロップするのよ、で鉛筆は全く別の場所、マニャ領とかの古びた洋館ランク2で出る煤渡りがドロップするのよ、で当時は他国みたいなものだったから、馬車もいいのが無くて精々隣町と貿易するぐらいだったわ、セフィリスがランク3を攻略したから同盟を結ぶようになって最終的に1つの国になったのよ200年ほど掛けて」
「だから当時の記録は口伝でしか伝われなかったのよ、そして口伝だから脚色や憶測で語り継がれてしまって信用出来なかったのよ」
「それって何年前だっけ?」
「セフィリスがランク3を攻略したのが1834年前と言われているわ」
「で建国したことになってるわ、実際には数年掛かって王都周辺を統治、現在の侯爵領込みで100年程、この頃に紙が流通しだして記録が残っているわ、ただそれも数100年後に模写したものだから本当なのかは分からないけどね、それから100年後位で今の公爵領込みの大きさよりちょっと小さいくらいになったわ、それから1000年掛けて今の大きさ位になったわ」
「只アルナ領は未だに領土が変化しているけどね、10年前と今じゃ全然形が違うから」
「じゃあ帝国は?」
「さあ」
「さあって帝国の歴史は分からないの?」
「一応向こう側が言う歴史はあるけどまず間違いなく嘘だから」
「嘘なの?」
「嘘と言うか認識の違い?建国は4971年前だって言ってるけど多分町1つを国だと言ってるだけだと思うわ」
「何でそう思うの?」
「だって有り得ないからそんな昔から国を持っていたのは」
「向こうと貿易するようになったのは1600年ほど前からなのよ」
「で当然貿易するから向こうの商品や暮らしが分かるんだけど、最初の貿易でノートを大量に持ってきたのよ、私達は驚いたわよそりゃあ、こんだけのノートがあるなら多分古代図書館みたいなのが2つも3つもあると」
「古代図書館があるとどう凄いの?」
「古代図書館には閲覧できる資料が有るのよ、本とかは開けなくて見れないんだけど置いてある惑星義や天体模型、地図それも魔物の生息図だったり、木を組み立てての家の模型とか水車の模型とかね」
「だから古代図書館が沢山あれば英知も沢山手に入れられるって事で驚愕したわ、もし戦争になれば確実に負けると」
「そして向こうの商人がノートを破いてこう言ったのよ、『これは火を付けるのに便利な道具です』と」
「はい?」
「だからノートを火を付ける為に使う物と認識していたのよ」
「当時のアベルサリアの人達は本当に驚愕したらしいわ」
「我が国も人の事は言えないけど、それでも鉛筆が見つかる前からホーンラビットの毛と草の汁や動物の血で文字を書くはしていたのよ」
いやいやいや馬鹿にも程があるぞ、何で帝国とアベルサリア国の国民の知能にこんなにも差が有るの?
まさかララさんとルーク君やルルさんが異常なだけ?
それともレベル差やスキルで?
そう言えばララさんは【指揮】とか【理論的】とか持ってたけど……マジでそんなスキルなの?
持ってたら知能指数が上がるの?
怖い、スキルが怖い、怖いが聞くしかない、「な、何で帝国の人間はそんなに馬鹿なの?」
やっぱり【指揮】や【理論的】などのスキルの付け方が分からなくて、それで差が……、
「1600年前に帝国に人間は居ないわよ、当時の帝国のある大陸ジュジーンの主な種族は狼人族、猫人族、狐人族、兎人族、竜人族、神人族が主な種族で竜人族や神人族は帝国の南の方で独自の文明を持ってたから、帝国は獣人族の4種だけだったわ」
……、
じゃあ当時帝国がノートを火を付ける物と認識していたのは……、
……、
獣人族うううう。




