59話 俺はチートが出来るでしょうか?
「それはもう侵略し終えてるって事?」
「違うわよ!簡単に言うとアルナ領は東西に長いのよ、我がミネス領の東西の長さの3倍以上、それで雪国だから端から端まで伝令がを届けるのに数カ月もかかるのよ、冬なんて下手したら2カ月足止め食らったりするからまともに情報が届かないのよ、だから私の所のミネス領と東のマニャ領で統治しているのよ、名目上はアルナ領から委任という形で」
「何でそんな形?」
「何でって北に行くと寒くて住めないからよ」と、まあそうか、
「昔はミスリルも採れたからホットペッパーや薪を大量に使ってでもミスリルで儲けられるからもう少し北に長かったけど今は取れないから領土を縮小したのよ、その代わり東西に広がったのよ」
「そんな事して大丈夫なの?周りの国からのクレー……文句は無いの?」
「周りに国は無いわよ、アルナ領が最果てだから、西に領土を広げてブリザ国と隣国になっただけ」
「隣国になっただけで侵略した訳では無いわ、それどころかブリザ国と貿易が出来るようになったからブリザ国も喜んでいるわ」
「それで実際の統治とどう違うの?」
「儲けが無い」とララさん、
「儲け?」
「普通に統治するのはそこから取れる食料品やドロップ品や金属で潤わす為よ、だけど統治権を委任しているだけだから殆んどの物品はアルナ領に行くわ、だから守ってるだけで潤わない、損しかしてないわよ」「食料もアルナ領だけでは賄えてないから援助しないといけないわ」
「じゃあ止めるって手は?」と聞いたら、
「止めたらアルナ領の人間が死ぬでしょ!」とガチで怒られた。
ですよね、まあそれをしない前提の人間ですよねララさんは、
「確かにそれをすれば楽よ、クリフ公爵ならそれを取引にもするでしょうけど、うちのミネス領はしないわ、200年前の恩もあるしね」
「それに今だけの話よ」
ん?今だけ?
「10数年前はミスリルが採れていたからアルナ領からミスリルを食料の代金として手に入れてたわ、だからランク3を攻略すれば10数年の損失なんてすぐに返ってくるわ」
「ねっ!」と強めに言われた、
「いいけど、俺のスキルポイント稼いでポーションとか生産出来る様になってからだぞ」と言ったらララさんがすごく驚いた、おい!実は期待して無かったのかよ、
……、
「……いいの?」と聞いて来た、
「今更だな、……今更ランク3の攻略をあきらめたりしないでしょ?」
「でも、それは……私達の問題だから……」と怯えながら聞いて来た。
「正直このまま死なれても困る、俺がこの世界で生きていくのにララさんが必要、でもこのままじゃ単騎で特攻しかねない、ならララさんとランク3を攻略してララさんを確保するのが俺にとっては最優先事項になってる、だから問題無い」
「御免なさい……」と泣き出した、
慰め方が分からん、
「まあ冒険したいという欲望は無きにしも非ずだしな」
まあ正直なろうの主人公みたいには成れないがこの世界の住人より有利は覆らないだろう。
「只さっきも言ったが今すぐじゃないぞ」
「ええ、10年後、いえ30年後でも待つわ」泣きながらもちゃんと答えた、
「いやそんなに掛からないよ、ララさんスキル12個付けられるって言ったけど4個分俺にくれ」
「えっ?ええ、いいけど譲渡出来るの?」
「いや俺に付けさせてくれって意味」
「それは勿論いいわよ、だって貴方の力なんだから」
よし、許可は取れた、
行くぞ、異世界転移物のテンプレ、チート無双をおぉ、
……、
違った間違えた、まだだ、
まず、あれとあれを確認しないと、後々問題になる。
ララさんのスキル一覧を開いけと念じた、
レベルアップ時の成長率が上がるスキルと念じた、
スキルは空欄だった、
そうか、無いのか、
嬉しい様な悲しい様な、敢えて【技能派】のレベルを上げずに経験値が不味い状況でスキルポイント稼いで強化、ってのが無い事に気付いた、無いという事は出来ないという事でつまり他の人に比べて強くならないという事、
だけど無くて良かったのかも知れない、仮に有ったならスキルポイントをそれに貢がなきゃいけない、例えば【ちから成長率アップ】が有ったなら当然【すばやさ成長率アップ】もあるだろう、無論たふさやきようさも、なら上げなきゃいけなくなるのが、ちから、すばやさ、たふさ、きようさ、まりょく、かしこさ、せいしん、みりょく、の8項目HP、MPも別枠なら10項目でレベルMAXにするならスキルポイント128万ポイント、もし成長率アップがユニークスキルなら更に3倍、
やってられるか!
【技能派】持ちのララさんですら17才で153万だぞ、128万まで貯めるのに何年掛かるんだ?、
そういう意味では良かった、速攻攻略出来るから、うん無くて良かったわ。
只やっぱりショック、理屈では無い方がいいは分かるんだがそこを楽しむのが好きなタイプ、Mでは無いが苦労して苦労して頑張った分が数値に出るというのが楽しいのに。
よし問題の一つは解決というか何も無かっただけだが、重要なのはもう一つの方、
これが有ると無いとは大違い、
スキル一覧を開いて、
スキルを隠せるスキル!
さあどうなる?




