56話 遺伝率
「ねえユウ?貴方この国を継がない?」と聞いて来た。
無茶苦茶だ、
何でそんな状況になるんだ?
転移初日で王様になれとかテンプレ何段階すっ飛ばしてんだよ、
せめて他の町に移動中に盗賊や魔物に襲われてる馬車を助けたらその馬車に王女が……みたいなのが起こってからにしろ、何で会ったことも無い王女との婚約が成立するんだよ。
だがおかしい、王に子供いないの?
「この国継がないって王に子供いないの?」
「居るわよ8人、でも王の資格と言われる【母親似】を受け継いだのは長男のラーク王子と三女のリーナの二人だけ」「言っとくけど二人いるってだけでもすごいのよ、先代と先々代の時は途切れるんじゃないかと思われてたんだから、世代交代するたびにドンドンレベルが下がっていってレベル1になったら本当に稀にしか遺伝しないんだから」と、
まあそうだわな、遺伝する可能性が30%で最大遺伝が30%なら9%しか現状維持出来ないんだから、
「そして今現在、王の資格である【母親似】持ちは先代のルーナ妃と現国王のローグ王とその長男のラーク王子と三女のリーナ王女の4人、それと……」と言いながら嫌そうな顔になるララさん、
「それとジャルグ男爵家の一人息子ゲルズよ」と完全に嫌がってる顔になった。
……、
「……嫌いなの?そのゲルズって?」
「ええ嫌いだわ」とはっきりと言った、、
「男爵の跡取り息子としてやることが完全に自分の為にだから、国の為にとか領民の為にとかでは無く、自分の欲望の為、だから嫌い」と声こそ張り上げなかったがものすごく重みのある嫌いだった。
「嫌いな人間は誰にでもいるわ、私の場合ギルス候爵やクリフ公爵とかね」
「ギルス侯爵は奴隷を消耗品として見ているから嫌い、でも消耗品としてはちゃんと見ているからこそ無駄に遊びで殺していたバルド伯爵を処刑した、クリフ公爵はうちのミネス公爵家とは仲が悪い、塩が採れるシーソリデの町から安全に塩を運ぶ為に通らなければいけないバイシュの町で高めの通行料やレベル1のダンジョン封鎖なんかもしていて利権を確保している、でも国境沿いで魔物が異常繁殖した時には援軍を送ってきたわ、まあ利権を守る為にだけど、でもその利権で儲かった分はちゃんと領民にも還元している」
「自分の利益を考えてしているけどその頭の片隅にはちゃんと領民の為になるか?がある」「だから嫌いではあるけど尊敬できる部分もちゃんとある」とちょっとだけ誇らしく語るララさん、
「でもゲルズは違う、あの男は自分と大好きな母親の事しか考えてない、領民を苦しめても気にしない」と本当に嫌そうに語るララさん、
「貴族は高潔であらねばいけない、という貴族としての根っこが無い男、そんな男に王家を継がせるわけにはいかないわ」
「王家を継ぐ?」
「そうよ、ゲルズをリーナ王女の入り婿にして王家に入れようという動きがあるのよ」
「それでララさんはゲルズじゃなく俺をそのリーナの入り婿にって事?」
「そうよそしてリーナの【母親似】をレベルMAXにして欲しいのよ」と、
「そうすれば王家は王家としての威光を保てるし何と言ってもリーナが幸せになる!」と、
「あんな良い娘があんな男の嫁になるとか許せないわ!」と怒っているララさん、
……、
「何でそんな男爵の息子に継がせようとするの?ラーク王子は?ラーク王子も駄目な人なの?」
「違うわよ!」と怒鳴られた、
「御免なさい……貴方は知らないだけなのに怒って」と気恥ずかしそうに、
「ラーク王子は良い王子よ、それもかなりね、只……王家の4人の【母親似】はレベル1なのよ、だけどゲルズはレベル5なのよ」
「レベル5なの?」
「ええそうよ、多分【母親似】の付け方に気が付いたんでしょうね、それで王家を狙っているのよ」
「貴方の説明で分かったけど【母親似】は自分のお母さんの事、それでゲルズは母親と一緒にダンジョンに潜ってたと聞くわ、それに初代国王のセフィリス様も母親とダンジョンに潜ってたと伝承にある」
「多分母親と一緒にダンジョンに潜って何かすると【母親似】のスキルを覚えれるんでしょうね」
「この世代には二人【母親似】が居るけど多分次の世代ではいなくなるかもしれない、だからレベル5のゲルズを王族に入れて【母親似】を次代も次次代も受け継がせようとしているの」と語るララさん、
成程レベル5なら結構な確率で受け継げるからな、
そしてこっちを見てにやっと笑って「ただ私達には貴方がいる、貴方は【母親似】をレベルMAX出来る、ならあんな奴を王族にしなくていい」
「だからユウ!リーナを娶ってあげて欲しいの!」と嬉しそうに言うララさん、
まあララさんの言いたい事は分かるんだが……正直ちょっとショック、
「じゃあ♪第1夫人貰っちゃお♪」とか言ってたのに【母親似】を付ける為に王女に俺を譲るとか、
うん、少しは惚れられてるって思ってたから、
まあそうだわな、初日で惚れるとかそんなご都合主義みたいな展開にはならないわな、
仮に結構惚れてたとしても国と俺どっち取るならそりゃあ国だわ、
うん期待してました、すいません、
そうだよね、こんな美人がそう簡単に惚れる訳が無い、あくまでスキル付けられるからって打算の関係、
ショックだけどちゃんと現実を見よう、
現実……、
あれ?滅茶苦茶美味しい話なんだが?
「どう?リーナを娶る気は?」とララさんが聞いて来た、
「いや顔を見たことも無い女の子を娶るとか言われても……」
「あっ♪大丈夫よ♪すっごい美女だから♪髪もちゃんと金髪だから♪」と嬉しそうに語るララさん、
いやそういう意味で言ったんでは無いんだが?
やっぱりちょっと心が痛いな、そこまで嬉しそうにされると、
「リーナすっごい可愛くていい子なのよ♪絶対気に入るから♪ねえ?いいでしょ?」と、
「何でララさんそんなに嬉しそうなんだ?」いくらなんでも喜び過ぎだ、王族の権威が保たれるからってララさん個人が喜びすぎな気がする。
「だって貴方がリーナを娶れば一緒に暮らせるじゃないの!」と、
ん?
一緒に暮らせる?ララさんとリーナが?
「どういう事?」
「どういう事ってどういう事?リーナを第4夫人にするなら一緒に暮らす事になるでしょ?」と、
……、
えっ?
増えるの?ララさんもルルさんもリサちゃんも嫁にした上での4番目の嫁って事?
予想できるかああ!




