50話 寿命
「実績作ればその自己評価低いのも治せるわよ、だから私達と一緒にランク3のダンジョン攻略しましょう♪」とララさんが言い出した、
いやだああああ、
落ち着け俺、取り敢えず落ち着いて話し合おう、
取り敢えず深呼吸すぅ、はぁ、すぅ、はぁ、
……、
……、
「嫌だ……」とはっきり言ってしまった、
そら、そうだろ、今までの話から考えるとランク3のダンジョンをクリアするとミスリルが採掘出来るようになる、そして採掘出来る期間は50年、そして現在ミスリルが採れない、という事は……、
50年以上攻略出来てないって事だろうが!
どう考えても死亡フラグじゃねえか!
常識で考えろよララ!この世界の冒険者、つまり戦いのプロが本気でやって攻略出来ないのを地球でぬくぬく育った地球人に出来る訳が無いだろ!
「大丈夫よ、いきなり挑もうと思って無いわよ、ちゃんとランク1から少しずつ少しずつでいいから挑んでいきましょう」
「最初はゆっくりランク1の入り口辺りから徐々に徐々にでいいから奥に挑みましょう」と、
何かエロく感じる言い回しだな、
「あくまで最終的にランク3を攻略しましょって意味で今すぐじゃないのよ、……そうね、10年、10年でランク3を攻略するつもりで挑みましょうって事よ」と返した、
「訳を言え!」とちょっと怒った感じで聞いた、
「えっ?」
「えっ?じゃないでしょ、俺にランク3のダンジョンに挑ませたい理由を述べよって言ってるんだ」再度怒った感じで、
ララさんは馬鹿じゃない、俺の自己評価を上げる為に俺に死ぬ様なことをさせる訳が無い、つまりさせたい理由が別にある。
ララさんが下を向いたというか前髪で目を見られない様にして「あのね、……お父さんとお母さんがランク3のダンジョンに挑んで帰ってこなかったの……だから、だから仇を討ちたいのよ」と、
「ずっと仇を討ちたかった、だけど私達はレベルが上がりにくかった、その為にパーティーメンバーすら集められなかった、……だからせめて倒せる人のバックアップを頑張ろうと思っていた」と泣き声ながら答えた、
「だけどそこに貴方が現れた、鋼を教えてくれた、スキルを12個付けれるって言ってくれた、……だったら期待しない訳にはいかなかった」と、泣き崩れそうになりながらも答えてくれた、
「分かったよララさんの気持ちが」と返した、
「本当!」とララさんが声を荒げた、
……、
「だが、駄目だ」
「あっ」とララさんが小さな悲鳴を上げた、
ララさんの気持ちは分かる、だがそれとこれとは別問題だ、
「現状では絶対大丈夫どころかまず間違いなく殺されると言っていいくらいの勝算しかない」
ララさんが気を落としてはいるが落ち着いて聞いている、
「多分だが今まで攻略しようとした者達の中でもミスリルで攻略しようとしたものが居るはずだ」
「ええ、私のお父さん達もいくつかミスリル装備で挑んだわ」
そうだろう、最初にランク3を攻略した者は鉄装備だっただろうがミスリルが採れるようになってから挑んだ者の中にはミスリル装備で挑んだ者もいるはず、つまりそれって本来はランク3を攻略してランク4に挑む装備で殺されたって事だろ?なら単純な力押しでは無理って事だろ?
ならスキルが12個MAXだからと言って勝てるとは限らない。
だけど1ランク上の装備品を揃えても何十年も攻略がされないというのもおかしい。
だから攻略が進まない理由に何かとんでもない理由があるはずだ!
この世界の住人がまだ誰一人気付いてないこの世界の常識を覆す理由が!
ここで少し疑問に思う事がある、
何で10年?ランク3攻略に10年掛かるの?ランク3に10年ならランク6は20年?でランク9なら
30年?いやそれ掛かり過ぎだろ!
だってそれなら10才で攻略始めたらランク10に挑むのは40才越えだろ?
じゃあ年の所為で戦えないぞ、普通の人間には攻略出来ないじゃないか!
長寿のエルフだけにしか攻略出来ないとか、何その種族差別、
「この世界の人間の平均寿命は?」
「平均寿命?乳児の死亡や冒険者の死亡を入れての平均?」
「いや老衰だけの場合」
「詳しくは分からないけど60年くらいかしら」
思ったより短いな、いや長い方か?1年が長いから地球人と変わらないかも、でも一日の長さも違うだろうし、栄養的な問題もあるからな、後病気、
「じゃあ40才の冒険者って20歳の冒険者と比べてどのくらい戦えるの?」
「40才ならもう戦えないわよ、黒魔術師や白魔術師ならまだ戦えなくも無いけど、前衛職は死ぬだけね」
「稀に40才でも凄い人はいるけどそれは本当に稀ね」
「大体10才くらいで冒険者に成ってランク3に挑んでたとしても30才位でランク2にするかランク1になるわ」
「それならランク3に挑むのに10年ならランク9なら30年は掛かるよね?でも40才ならもう戦えないから人間にはランク9は攻略出来ないよね?」
「そうね、でもエルフなら寿命が長いから……」と言いかけて、
「エルフでもランク9は無理だわ」と言い直した、
「それは何で?」
「エルフは寿命が長いけどその分レベルも上がりにくいのよ、大体寿命が5倍で戦える期間はエルフによるけど10倍位、それでレベルの成長が3分の1だから人間よりましだけどそれでも無理だわ」
「前に言ったアースドラゴンスレイヤーの人達が残した言葉があるのよ、『ランク4は10階層でボスが出て来た、そこを突破してもまだ先がある、そして20階層目にボスの居そうな所まで来た、だが今の戦力では勝てそうにない、故に我らはランク5のダンジョンで鍛える』と言い残してランク5に挑んで帰って来なかったから」と、
「ランク1、2、3は10階層なのよ、でもランク4は20階層、多分ランク5も20階層だと思う、もしかしたらランク7は30階層かもしれない」
「後単純にランク1とランク3じゃあ難易度も違うから、魔物が強いって意味じゃなく階層の複雑さや罠の多さと危険度、魔物自体の出現率、仲間を呼ぶ頻度とか」
「そう考えたらエルフでもランク9は無理だと思うわ」
おい長寿のエルフでも無理なら人間には絶対無理じゃねえか!
けど何でそんなに時間が係るんだ?
絶対何かを間違えている。




