46話 ブラックカード
それ只のキャッシュカードじゃねえか、
おいおいギルドカードだぞ、それが只のキャッシュカードとかねえわ。
どれだけ俺がギルドカードに期待してたんだと思っているんだ、
ギルドカードを見せて「えっ?そんなまさか伝説の賢者様ああ!」とか「えっ?そんなまさか伝説のハイヒューマン様ああ!」とか「えっ?35才?えっスキルが何もない?」とか駄目だけどお驚かせといて、……後でっていう驚かしポイントだろそこは、
そこのテンプレが無いとか言う以前にギルドカードじゃ無くてキャッシュカードかよ。
しかしそれだとよくあるギルドマスターに呼ばれてのテンプレも無い、
「おい、お前ちょっと来い!」って部屋に呼ばれて「この俺ギルドマスターの権限でお前をAランクにする」って言うテンプレ、それで一応断るんだけど「お前みたいなやつをEランクにしとけるか!」って怒られてしかたなくAランクになるってやつ、いや正直本当に死にたく無いからそれをガチでやられると困るんだが、だが別の面でそれに憧れる俺がいるのも確かだ。
やっぱりギルドマスター(偉い人)に特別扱いされてのAランク(一流評価)は憧れるよね?
「じゃあギルドマスターの権限でって言うのは無いのか」とちょっと冗談で拗ねて見たら、「あら?私の権限で何かして欲しいの?」と聞いて来た。
そうか、よく考えたらこのギルドのギルドマスターはララさんだったわ、
うん、俺の中でのギルドマスターのイメージと違い過ぎる、普通ギルドマスターって言ったら顎鬚たっぷりの筋肉隆々のおっさんか、スキンヘッドの筋肉隆々のおっさんかでしょ、100歩譲っても見た目20代後半の眼鏡が似合う足がエロい感じのエルフのお姉さんでしょ、童顔の銀髪美少女とか無いわ、その姿なら実はギルドマスターの師匠で齢100才超えてますってパターンのキャラでしょ、
「それじゃあ特別にギルドマスターの権限で特別なカードをあげる」
えっ?特別なカード?何それ?
「カード貸して」と言ってきたので渡したら何か下でごそごそした後カードが黒いカードになっていた、
「はいこれ」と黒いカードを渡して来たので受け取ったけど薄い緑色のカードが黒いカードになっただけで別段代わり映えしないんだが?
「本来このカードは王族と公爵や侯爵の家族、又は伯爵でも特別に何かをした人、商人ならアムネス商会の頭取、冒険者ならレベル3のダンジョンを攻略した人、そんな人たちにしか渡さない貴重なカードなのよ♪」と何故か物凄く嬉しそうに語った、
「まあ貴方の場合、鋼の発見、スキルを付け足せる能力、千円札の売買による金貨1000枚くらいの預金、そして今一番気になるのがタタ草何かによるポーション等の生産、どれをとっても一流だからこのカードを持っていても問題無いわ」と、
「それでこのカードの性能は?」
「カード自体は普通のギルドカードと一緒だけど、そのブラックカードを持っている事自体がすごい事だからそれを見せれば今お金が無くても信用でお金を借りれたり、ある程度ならわがままを言っても聞いてくれるわ、勿論それで何かが起こったら責任は取らないといけないけど」
「つまり?」
「つまり、ブラックカードを持てる凄い人って証明になるから色々と出来るって事」
……、
つまりこれって只のブラックカードじゃねえか!
天丼かよ、
いやいやそういう事じゃ無くてだな、
……まあいい、様するにギルドカードは只のキャッシュカードって事だな、
その性で所謂テンプレの大半が出来無くなったがまあいい別にテンプレする為に異世界に来た訳でも無いし、
「お金を預けれるのは分かったけど、それって結局大金持ってることには変わりないから泥棒来るってのは変えられないんじゃ?」
「入金はカードが有れば誰にでも出来るけど出金は本人にしか出来ないわよ」と、
まあそうだよな、これが未来の地球の技術でやってるならカードを盗まれたら全財産失うってのは考えられない、何かしらの手は打ってるんだろうともよ、
「それで出金は本人にしか出来ないから盗んでも意味が無い、仮に本人も攫って拷問かけてお金を取ろうとしてもギルドの方で使用禁止にも出来るし、それにギルドカードは複数作れるから」
「例えば貴方が金貨1000枚10000000リア持ってたとして金貨990枚9900000リアと金貨10枚100000リアに分けて金貨10枚の方を日常的に使い、金貨990枚の方をギルドの貸金庫に預けておけばたとえ誘拐されて拷問掛けられても犯人が手に入れられるのは金貨10枚100000リアまでよ」
「これはこの世界の常識だから泥棒もそれは分かっているから、だから絶対安全では無いけど預けた方が安全ではあるのよ」
成程ちゃんと考えているんだな、それなら全財産持ち歩かなくていい、入金と出金と預金が出来るのか、
「あっそれと本人にしか駄目と言ったけど本人は一人じゃなくてもいいのよ、最大6人まで使える様にも出来るから家族で入って父親が死んだら受け継げるようにも出来るから」
「勿論ちゃんとした手続きを踏まえるのと手数料はかかるけど」
ギルドってかもう銀行業だろそれは。
「じゃこれでギルド銀行の話は終わりでいい?」と聞いて来た、
「ああ」取り敢えずギルド=銀行と覚えよう。
「じゃあ、次の話は子供たちが奴隷に成りたがらなかった場合の話」
「そんなことは無いと思うけど一応決めておきましょう、……ギルドの貸金庫に預けましょう、で、貴方には護衛を雇いましょう、これでいい?」
「ギルドの貸金庫?」
「ええ、大きなアイテムボックスみたいなものよ、但し持ち運びが出来ないから貴重品を預けるのに使っているのよ、町にギルドを作ると街の大きさによって入れれる量が変わる仕組みの物」
「このリュオーの町だとギルドは最大4つ、貸金庫の容量は1つ100㎥なの」
「出し入れはギルド職員なら誰でも出来るけどちゃんと周りを囲って厳重にしているから、それと他にギルド職員2名立会いのもと開けるというルールもあるのよ、それで普通ギルドはこのくらいの町なら12刻体制あなたの世界では24時間体制?で貸金庫も12刻体制なんだけど、うちは正規職員が私とルル含めて8人しかいないから朝太陽が昇ってから太陽が沈むまでの期間しか営業してなくて貸金庫は朝太陽が昇ってから一刻経ってから太陽が沈むまでの期間しか使えないわ、一応緊急時にはちゃんとそれに合わせて対応するけど基本は今言った通りよ」
なんだ他に正社員いるんだ、まあそりゃあそうか、ギルドをいくら賢くてもこんなに若い子二人で運営は出来んわな、それと貸金庫は他の社員立ち合いの下に、……ほんとちゃんとしているな」
「あれ?そんなにちゃんとしているなら盗まれる心配ないんじゃ?」
「そうね、まず大丈夫でしょうね」と返された、
「えっ?じゃあ千円札売らなくてもいいんじゃ?」
「それは駄目よ」
「何で?」
「泥棒が来るよりも恐ろしい人達が来るからよ」
何それ?どんな奴が来るんだよ、
めっちゃ怖いんだけど、




