19話 ドロップアイテムとスキル生成の世界
「そんな冗談よりあなたの妄想癖がそっちの世界では普通の方が気になるんだけど?」
「それに貴方が良い男の理由もまだ途中だし、何より塩が半刻で8キロ買えるとかの方が気になるんだけど」
あからさまに話を変えやがった。
だけど、突っ込んでもこっちがやばい事に巻き込まれそうだし……スルーで。
只だからと言って完全に放置するのも気が引ける。
「まあ今は無理だけど何かあったら言ってくれ、ララさんを助ける気持ちはあるから」と言っておいた。
少しララさんが照れた気がする。
「まあ妄想癖って言うか、空想で作った話が売れるんだ、それも結構高く」
「そうなの?」
「うん、さっきの話なんだが新しい凄い金属なんて今更発見出来ない」
「出来るのは大きな会社、いや組織の一員にならないといけない、そして見つけても組織の物、まあ見つけ賃は貰えるがほとんどの儲けが組織の物になる」
「馬車のすごいのも個人で作るのは無理だし、中々個人ですごい事をするのは難しい、まあそれでも稼ぎようはあるんだが殆どが失敗したら破産とまではいかないがリスクがでかい、それに比べて空想の話を売るは俺達の世界では結構簡単なんだ、パソコンって機械を買う10日分の賃金と月々半日分のお金で払うだけで出来る、そもそもその10日分と半日分も別の目的で使う為に買うのであって基本はタダで出来る」
「つまり、ノーリスクハイリターンだから皆一度はそれを夢見てする」
「それも数年分のお金をね」
「だから俺たちの世界では妄想癖、いや空想癖は結構いるんだ」
はい、嘘です、只の変態です、でもこれで押しとうそう。
「成程ね、一番簡単なお金の稼ぎ方が物語を考えて売るなのね、こちらの世界じゃノートは高いからする人はいないけど貴方の世界ではノート?それよりも安いものがあるのね」
ノートあるのかよ、なんだそれ?
いやおかしくないか?普通そこは紙でしょ?
説明するのにいきなりノートから言う?
おかしい、絶対おかしい、俺でもそこは紙って説明する。
ララさんがそんな変な説明するとは思えない、
「ララさん、ノートを見せてくれ」
「ええ」ララさんが不思議そうにノートを取りに行った。
ララさんがノートを持って来た。
それは確かにノートだった。
「誰かが紙を作ってその後にノートが作られたんだよね?」と真剣に聞いてみた。
「ノートって作れるの!?」とララさん達が驚きながら答えた。
はあ?作れるの?作ったんじゃ無きゃどうしてここに存在するんだよ?
「どういう事?作られたものじゃ無いなら存在しようが無いんだけど?」
「それは31ページって言う魔物のドロップアイテムよ」と、
何だそれ?じゃあ紙を作らずにノートが存在するって事か?
何なんだよこの世界は……、
この世界の文明って何なんだよ、
「じゃあ、紙は?羊皮紙はどうやって作ったの?」
「紙は知らないけど画用紙は13ページという魔物が落とすわ、羊皮紙はマッドシープが落とすわ」
何それ?普通の紙を知らないの?
「じゃあ鉄は?鋼は?金は?」
「勿論鉄なんかは鉱山から取れる鉄鉱石から取れるわ」
良かったちゃんと鉄鉱石から取れるんだ。
「只魔物からもドロップするわ、鉄はアイアンアントやアイアンスコーピオン、金はゴールドスライムなんかが落とすわ」
「はがねってのは知らないけど」
「鋼を知らないの?」
「ええごめんなさい」
鋼を知らない?鋼って結構簡単に出来るよな?確か鉄に炭素少し足すだけで良かったはず、
だから鉄から鋼を作るのは結構簡単なはず、というか鉄鉱石から鉄にするのにある意味途中で出来るはずだよな?
ってか製鉄技術の基本じゃねえ?鋼生み出すのって?
日本刀作るのに外に硬い鋼で中に柔かい鋼の2種類以上で作るって聞いたことがあるぞ。
で、確か平安時代に日本刀はあったはず、鳴くようぐいす平安京だから794年、そう考えたら鋼見つけるの遅くない?
もしかして……、
まさかとは思うがここはゲームのような世界、地球の常識が通じない可能性がある。
俺のメニューにあった生産という項目、そこから考えて……、
「鉄鉱石からどうやって鉄を取れるの?」と聞いてみた。
「鉄鉱石を鍛冶師が持っているスキルの【金属解体】を使ってで鉄や錫や銅に分けることが出来るわ」と、
……、
マジか……、まさかとは思ったがこの世界……。
いや流石に中世のような世界でそれは……、……有り得るのか?
「じゃあ、鉄の剣作るのはどうやるの?」
「それも同じ、鍛冶師が鉄に向けて武具生成のスキル、【生成アイアンソード】で作れるわ」と、
……、俺はこの世界に来て今一番びっくりしている。猫耳の生えた亜人を見た時より。
もしかしてこの世界、製鉄技術が無いのか?
製鉄技術が無い世界……あれ?もしかしてこの世界詰んでるんじゃないでしょうか?
俺じゃ無くてこの世界の技術がスキルという袋小路に入り込んで詰んでいるんですが?
良かった今回は俺は詰んでない。
いやそれって結局俺も詰んでるじゃねえか!