12話 中世の人は馬鹿ではない
「大丈夫よ」とルルさんが言って来た。
「えっ?」
「なんかさっきから真剣な顔をして考え込んでいるから、お姉ちゃん達の話は話半分てか知らなくてもいい話だから、ふ~ん、程度に聞いておけばいいわ」
「さっきの話は魔物と人では子供が出来ない、子供はお父さんかお母さんに似る、稀にお爺ちゃんに似る子もいるくらいの認識でいいわ」とルルさんがかみ砕いて説明した。
「ちょっとルル、アナタはもう少し頭を使いなさい、この話の重要な部分は人間がなぜ性交して増えるのか?なぜ単一で子供を作らないのか?って部分に繋がる大事な話なのよ」
「だからお姉ちゃんそんな話は普通の人にはどうでもいいのよ、お姉ちゃんの話に興味湧く人ってルーク君とラルフ君ぐらいよ」
ラルフ君て誰だ?
君だから若いだろう、ルーク君と同い年くらいの子供かな?
「ルーク君好きなのこういう話?」とルーク君に聞いてみた。
「えっ?・・そうですね、結構為になる話だと僕は思うんですが、他の人はあまり興味を持ちません」とルーク君が物凄く恥ずかしそうに言った、
「ふ~ん、そうなんだ」
「ララお姉ちゃんの話は面白いよ♪良く分からないけど♪」とリサちゃんが言った。
なるほどね、遺伝子の話とかちゃんと理屈を分かっている人が居る、無論研究している人もいる、ただ普通の人はあまり興味が無い、という事か、
うん、普通だわ、地球と同じだわ。
「アナタは興味湧かないの?」とララさんが目をキラキラさせながらこっちを見て来た。
やばいな、これ仲間に引き込みたいときの目だ!
助けてルルさん、ルルさんが目を背けた、じゃあルーク君助けて、ルーク君が目をキラキラさせてこっちを見ている、あかんルーク君もそっちの世界の住人だ、
どうする?
好きだというか?
嫌いだというか?
好きだと言えばいろんな話が聞けこの世界のこともわかるだろうが何というかやばい、
俺がこの世界の住人じゃないことがバレそうだ。
聞くだけでなく聞いてくるだろうし、今の状態だとこの世界のことが分からないから当たり前のことを間違う可能性が大、で、バレると、
嫌いだというとこの世界のことを聞くチャンスを失う、
これ結構重要な選択肢だぞ、
う~ん、
う~~~ん、
「それなりかな・・」
うん逃げた。
「そう・・・・じゃあ何で人間は単一で子ども作らないか?考えて見て」とララさんが聞いて来た。
押してくるな、そんなに仲間作りたいのか?
まあ適当に答えておくか、
「多分そっちの方が効率いいからじゃ無いのかな?」
「どういう事?」
「単一だと簡単に考えて10回世代交代しても自分の分入れて11回分の人生分の環境に合わせた成長しかない、二人で作るなら2の11乗-1の環境に合わせた成長又は進化が入ってくることになる」
「2の11乗?」
あっ2の11乗とか意味わからないか・・どうしよう?
「えっとだな、2の乗数ってのは2、4、8、16、32、64、って2倍ずつ増えていく数字のことなんだけどそれの10個目が10乗」
「なるほどね、・・・・それでどうして効率がいいになるのかしら?」
おっ大丈夫そうだ♪良かった素直に理解できるレベルの知恵がある人で、
「えっと、お父さんとお母さんの成長、環境に合わせた進化を子供は受け継ぐから2人分だろ、だけどお父さんにもお父さんとお母さんがいるだろ、無論お母さんにもお父さんとお母さんがいる。
つまりお父さんはお爺ちゃんとお婆ちゃんの環境に合わせた進化を受け継いだって事、無論お母さんも、
そしてお爺さんにもお父さんとお母さんがいる。
つまり1代前はお父さんとお母さんの2人、2代前はお父さん側のお爺ちゃんとお婆ちゃんにお母さん側のお爺ちゃんお婆ちゃんの4人、3代前は父側のお爺ちゃんのお父さんにお母さんに父側のお婆ちゃんのお父さんお母さんの4人+お母さん側のお爺ちゃんとお婆ちゃんの両親の4人、合わせて8人分、
つまり2、4、8、16、32、64、と増え10代前なら1024人、で、10代前の1024人+9代前の512人+8代前の256・・・で自分入れて2047人の環境に合わせた成長が見込めるって事になるから効率が良いになる」
「成程、そう言う考え方ね、・・・・ちなみに私の考えでは2人で作るなら1人で作るのとは違って個体差が出やすくなる、簡単に言うとお父さんでも無いお母さんでも無い個体が生まれることになるから、必然的に単一ではない個体の群れになるって考え、それなら単一の個体の群れと違って環境に適した個体も生まれやすいから生存確率が上がるという考え」
ん?なんかそっちの方が正しい感じがするぞ?
あれ?中世の文化の人に知識で負けてる感じなんですけど?
テンプレは?
あれ?中世人ってこんなにも優れているものなの?
いや、おかしくないか、
確か地球でも無理数を発見したのは紀元前だったはず、足し算引き算掛け算割り算に至っては誰が発見したかもわからない、
何故か?
決まってるパルプ(紙)が出来るより早く世界中で使われてたからだ。
逆に倍数が分からないって方がおかしいのかも知れない、
いや違うな、掛け算が発見された(考えた)といって誰でも知っている訳では無い、
例えば日本の場合江戸時代識字率は80%くらいというその時代ではとんでもない数値だが、別の見方をすれば20%も文字を知らないという事、掛け算が存在するからといって皆が掛け算できる訳が無い。
問題はどの程度の普及率かだ。
掛け算の普及率が2%とかで貴族でも知らない人が居るとかで掛け算普通にしてたらおかしいと思われる。
庶民なのに掛け算とか出来るぞ?あいつどこから来たんだ?分からない?怪しいぞ?捕まえろ!となって、
最悪他国のスパイとか思われて殺される可能性がある。
やばいな、下手なことはしないでおこう、殺されるより馬鹿と思われてた方がましだ。
よし、これからは馬鹿の振りをしよう。
そうだ、そうだ、それが良い、
「ところで、一つ聞いていいかな?」とララさんが聞いて来た。
「何?」
びっくりした、このタイミングで聞きたいことがあるとか、まさかスパイ容疑がかかってるかと思うわ。
「ねえ?貴方はどこから来たの?」と、
ええええっ、
まさかマジでスパイ容疑掛かってない?
どうする?町の名前なんて知らないぞ、どう答えたらいいんだ?
やばい、ガチでやばい、答えようが無い質問だ。
「南から・・」
なんだ南からって怪しすぎるぞ、だけどマジで答えようが無い、
質問され続けてどんどん状況が悪くなるだけだ、マジでどうしよう?
「南ねえ・・」
やばい、周りも固唾を飲んでいる、
空気が重い、
ルーク君もこっちを探る様にしている、
やばいガチでスパイ容疑がかかってる、
「もしかして貴方・・・・」
「この星の住人じゃないんじゃないのかしら?」
えっ?
「他の星、いいえ、この世界とは根本が違う別の世界、異世界から来たんじゃないの?」
何でそこまで分かるんだよ、