117話 また天丼だ
「理由は分かったけど俺の嫁として確保するのは何で?」
「隠して運用する為よ、【マッスルダンス】や【リジェネダンス】は隠蔽して使うのに貴方の能力が必要だからよ」
「だから【マッスルダンス】を覚えさしてそれを誰にも気づかれない様に【隠蔽】で消す、それをばらさない様にリスクを上げさす為に妻にするが必要なのよ、後普通に【神楽】のレベルも上げたいしね」
うーん、逃げ道無いね、
「戦争に使わないって手は?」
「こっちが使わなくても向こうは使うわよ」と、向こうね、まあリベルの事だろう、
「それよりこっちが使わない理由が無いでしょ?」と俺の顔を真剣に見ている。
まあそうだな、俺が見つけただけで使ってはいけないと言う権利は無い。
それに戦争に使うはしょうがない、
「仕掛けるで無いのなら」と言うと喜んだ。
「ええ、こちらからは仕掛けないわ、でもかなりの確率で仕掛けられると思う」と、
使う事になるから覚悟はしてと言う意味だろう。
「それなら別にいい」
戦争するなとは言えないし、知ってる情報を使うなとも言えないし、何よりララさんに死んで欲しくないからな。
戦争の犠牲を減らすのにはどうしたら良い?の答えは終わらせるが一番の解決法だからな、片方に付いて早期で終わらせるのが一番犠牲が無くて済む、でリベルとララさんのミネス、どっちに付くかなんて決まってる。
「それでもう一つお願いが有るの」とララさんが聞いていた。
お願い?何だ?兵士を強化して欲しいとか?
「ブリザ国を属国にして欲しいのよ」と、
……、
「えっ?何で?」
「鉄のお守りや【母親似】が広がってファイア系を唱える人が増えたなら多分リベルが仕掛けるから」と、
「元々ブリザ国はリベルが国になる前のその辺りに住んでた権力者の圧政から逃げた者達で作られた国なのよ、だから鉄のお守りや【母親似】でリベルが強化したらブリザ国に攻め込むわ」
「えっ?でもそれならブリザ国も鉄のお守りや【母親似】で強化したら良いだけじゃ?」
「無理よ、元々の国土がってか国民の数が違い過ぎるのよ」
「リベル国が1000万でブリザ国が5万位だから勝負にならないわよ」
「じゃあ今までどうやって生き延びれたの?」
「前に言ったでしょアイスドラゴンが巣を作ったってその山脈のおかげよ、リベル国とブリザ国を隔てる様に高い山脈、ベルー山脈が有るのよ、それがリベル国がブリザ国に進攻しなかった理由なんだけどそれが鉄のお守りや【母親似】で崩れてしまうのよ」
「えっ?」
「今まではその山脈自体越えるのに10000人で行っても半数が死ぬかもしれない様な難路なのよ、でブリザ国と戦争して勝って略奪しようとしても何もない」
「何も無いは言い過ぎでしょ」
「そりゃあ多少はあるわよ魔女のピアスとか、でも本当にそれ位しか無いのよ」
「いや食料とか人手とか」
「無いわよ、10万人で行軍して5万人行軍で死なせて5万対5万で戦争して2万死なせて3万の奴隷を手に入れて6万で帰って3万死なせるの?」
それもそうか、
「食糧だって略奪して手に入れた食糧より行軍で使う食糧の方が多いわよ」
成程攻めてまで手に入れる物が無いと、
「だから攻められなかったのよ」
「でも鉄のお守りや【母親似】のスキルが有ると行軍での死亡者を減らせる事が出来るし何より略奪して手に入れる物にとんでもなく良い物が見つかったから略奪しに来るわよ」
「良い物?」
「そうほっか石とミニントよ、ファイアとアイスの魔法書を作る材料よ、ほっか石は今までは雪国で寒さを防ぐ為に砕いて小さくして布切れで包んでお腹や靴下や手袋にいれて使うだけの物だと思われてたのよ」「だから雪国位でしか使い道が無い物として認識していたわ」
「それが何?これでファイアを覚えられます?何そのいきなり価値がひっくり返る現象は?」
「ミニントもそうよ、食べたら体を冷やす効果が有る食料で夏にちょっと人気が出るだけの物かと思いきやアイスの魔法を覚えられます?どうするのよこんなとんでもない事を引き起こして!」と怒られた。
いや俺に当たられても。
「特にミニント、アイスの魔法を覚えられるとかとんでもないんだからある意味ヒールより貴重なのよ」
「そうなの?」
「ええそうよ、ヒールの魔法はまだエルフやランク3の冒険者にいるけどアイスの魔法は唱えれる冒険者は居ないわね」
「そうなの?」
「正確には冒険者ではあるんだけど冒険しない冒険者ね、腐りやすい魚を運ぶ為に凍らせる仕事をする者しか居ないわ、それが一番稼げるからね」
ララさんが一度深呼吸をしてこっちを見た。
「話戻すわよ、という訳だから鉄のお守りや【母親似】をばら撒いたらリベルがブリザに攻め込むのよ、ここまでは分かる?」
「ああ」
「当然それは貴方の所為では無いんだけど」と言いこちらを伺って来た。
「だからと言って気持ちのいい物でも無いでしょ?」と手を胸の前に寄せ体を曲げて身長低くしての媚びる様な上目遣い、うん上手になって来てるな媚び方が。
「そしてブリザ国の王家は女王制で未亡人のシャンデル・ド・グラス女王と双子の娘スティーリア王女とブリーナ王女の3人」と、
ああ、この展開は……、
「だからブリザ国の為に3人をお嫁さんにしましょう」と、
何回目の天丼だ?




