106話 バンパイヤ
「もしかして?女神様がゴブリンやオークを作ったと思ってたの?」とララさんが聞いてきた。
違うの?そう思ってるだけじゃないの?
「違うの?」
「違うわよ、元々ゴブリンやオークは居たわよ、じゃないと生態系が大きく変わるでしょ」
確かに、群れで狩りをする種族が2種類も急に現れたりしたら生態系が変わるわ。
「因みにゴブリンやオークが居ないとどう変わるの?」
「ゴブリンやオークが居なかったらビックベアやパラライズバイパーの主なエサが人間になるから人間が生きていけてないわ、だからゴブリンやオークが居なかったは有り得ないのよ」と、
マジか、そんな状況なのか、
「じゃあオークを100体倒したりしない方が良いのか」と言うと、「オークを100体って……、確かにパーティーポイントが42ポイントで【母親似】で更に6ポイント上乗せで……」
「あっ違うぞ」
「えっ?」
「【母親似】の6ポイントは12ポイントの内の6ポイントを勝手に振り込むだから合計12ポイントであって18ポイントになる訳じゃないぞ」
「そうなの?」
「うんそうだよ」
「じゃ貴方にとって【母親似】は要らないスキルなのね」と悲しそうな顔をした。
「いや一応レベルMAXまで上げると追加で2ポイント足されて14ポイントになるから駄目なスキルでは無いぞ」
「本当なのそれ?」と聞いてきた。
「本当だけどやったら目立つだろ」
「そうね、何より貴方が居ないと意味無いし、王女を連れまわす訳にもいかないし、早くても次々世代の話ね」
「それでも鉄のお守りで更に3ポイント?上乗せで45ポイント、それに鋼の装備で攻撃力や防御力を上げてノーマルスキルの【スラッシュ】レベルMAXや【ファイア】レベルMAXで更に攻撃力を上げて【索敵】レベルMAX何かで効率よくオークを見つけて【ヒール】レベルMAXや回復薬で傷を治し痺れ治し丸や毒消しで状態異常も治せる、……流石に100匹は群れの規模的にも無理だから出来ないだろうけど2~30匹位の群れは出来ない事も無さそうね」と言い考えこんだ。
「本当に常識を覆すわね貴方」と、
「今までは有名なパーティーが何組も組んでオークの群れの討伐に乗り込んでいたのに、1パーティーで同等の戦果上げるとか無茶苦茶ね」と、
「まだしてないよ」
「出来無い事も無いとしか思えないんだけど」と、
「それも一日の戦果が数倍どころか数十倍、流石に毎日群れを発見しないといけないからそれは甘い計算だとしても、簡単に見積もっても10年掛かるランク3のダンジョンを2年は切りそうな位で出来そうね」と言いまた考え込んだ。
「10年掛けてランク3を攻略する予定だったけど……」と考え込んだ。
「鋼を作ってる合間に妊……ダンジョン攻略……でも2年なら……ランク3を攻略してから……でもそれじゃあもしもの場合に……」と色々と考えてる様だ。
じゃあこっちはこっちで考えるか、
ゴブリンやオークは元々居た、という事は……この世界の基礎となる魔物は居たことになる、
魔法はどうなんだろう?
「ねえララさん?」
「当主をサーリア……シシリーナナリーとミミ―達に……私とルルはダンジョン……」と考え込んでいる。
「おーいララさん」と声と少し上げた、
「えっ何?」
「女神様が来る前に魔法は有ったの?」
「ええ勿論よ、じゃないと生態系が崩れるというより世界が崩れるレベルよ」と、
「証拠は?」と聞いた、
「証拠ねえ?」と考え出した。
「ドラゴン」と、
「ドラゴン?」とオウム返し、
「ええドラゴンよ、あんな大きな体の生き物が空を飛べるのは魔法のおかげよ、後小さな虫には魔力在っての行動するわ、フライングホッパーは羽が無いけど飛ぶしミラージュバタフライは魔力を使って消えれるし、植物に至っては魔力を使って受粉するのも居るから魔力があったは確定よ」
「いや、それが何で5000年前から存在すると?」
「それは化石よ、10万年前の地層からドラゴンが出てきたし、1万年前からはフライングホッパーやミラージュバタフライの入った琥珀が出て来たから5000年以上前から存在する事が分かってるのよ」
「それと何と言ってもバンパイヤの存在よ、バンパイヤは5000年程生きられる個体も居て1000年程前までは普通に5000年以上前の事を覚えている人が居たわ」
5000年生きていた人居るのかよ、生きた化石が居たのかよ、それじゃあ魔力は有ったは確定だな。
「そもそもバンパイヤはそういう種族なのよ」
「そういう種族?」
「そう、人間より遥かに寿命が長い種族なのよ、でも寿命が長いはリスクも有って体を維持するのに大量の魔力が必要なのよ、だから体を維持するのに沢山の食糧がいるし子供を作るのに吸血して魔力を補給しなければならないのよ、だから寿命が長くて吸血する種族、それがバンパイヤと言う種族よ」
「子作りで吸血するの?」
「そうよ子供を作るのに吸血するのよ、それで相手の男から魔力を貰うんだけど男性が血が足りなくなって死亡するのよ、それがかなり死亡率が高くて年々男の数が減っていって今は絶滅したと思われているわ」
「そうなの?」
「ええ、最後に確認されたのは800年前の家のミネス公爵領がバロン候爵領を滅ぼしてポロク候爵領になったあたりよ」
「えっ?戦争で全滅したの?」
「いいえ、バロン侯爵家が隠し持ってたMPポーションて言う魔力を回復するポーションを2つ持って逃げたのよ」
「MPポーションを持って逃げたの?」
「ええそうよ、でも仕方ない事なのよ、だってその時には女性は15人位で肝心の男性が1人だったから、バンパイヤ族は本当に滅亡の危機だったのよ、MPポーションが有ればリスク無しで子供が作れる、だから必要だったのよ」
「そうなの?」
「ええ、吸血は魔力つまりMPを手に入れる為にする行為、つまりMPポーションで代用出来るのよ、だから吸血しなくて良いになるから普通の人間の子作りと変わらなくなるわ」
俺の知ってるバンパイヤと違う、眷属じゃ無くて同族の子供を作るのに吸血するのか、
もしかしてこの世界のバンパイヤって……、
「バンパイヤって名前になったのって何時から?」
「女神様が現れて【鑑定】で鑑定するとバンパイヤって表示されるようになってからよ、それまでは吸血族や蝙蝠人とか呼ばれてたわ、それは他の種族もよ、エルフは森守族や耳長族何かだったし、獣人族達はウェアウルフやウェアキャットって表示されるんだけど魔物と混同しない様に狼人族や猫耳族とか呼ばれていたわ、それこそ地域によっては呼び方が変わるから多数の呼称が有るわ」
つまり纏めるとこの世界は元々魔法の有るファンタジーの世界?
それで人間が滅びそうだったから女神の従神、アンドロイドがスキルやパーティーポイントで保護した?
だからゲームみたいな世界になった?
ゴブリンやオークやバンパイヤは地球のそれと似ていたからそういう呼称になった?
もしかしたらこんな世界になったのも思ってたよりずっとまともな理由なのかもしれないな。




