102話 お守り 前編
「そ、そんな簡単な材料で出来るの?パーティー能力を上げれるという国宝よりすごい装備品が?」とララさんが何とも言えない顔をしながら言った。
驚きと喜びが有るんだけどそれより悔しさ?みたいな負の感情が見え隠れしている様な本当にどう表現していいか分からないような顔をしている、ちょっと震えているし、他のメンバーも似たような顔だ。
うん、気持ちは分かるよ、ドラゴンの骨とかなら納得も出来るんだろうけど木と紐だからな、
木と紐がどんな魔物からドロップするかは分からないが……弱そう。
ランク1の最初の方の魔物の匂いがプンプンする。
「シシリー!薪と紐全部持って来て!」とララさんが叫んだ。
シシリーがキッチンの方に行った、ちょっと経ってリサちゃんが綱で括った薪を大量に持って来た、リサちゃんがキッチンの方に戻って行きまた大量の薪を持って戻ってきた。
「リサちゃんもういいわ有難う」とララさんが言った。
「じゃあお茶持ってくるね♪」と言いキッチンに戻って行った。
シシリーが紐を大量に持って来た、それは見事に大量だった、1m位の紐が300本位?いや4束あるから100本で1束にしているだろうから4束で400本それに半束位あるから450本位か。
「何でこんなに紐有るの?」
「紐50本で今貴方が着ている服が出来るから」と答えた。
紐で服?どう見ても生地で出来ていて紐で出来てる様には見えないぞ?
「紐で出来るの服が?」
「勿論布でも出来るわよ、普通は綿や麻の生地で作るけど応用みたいな物で紐からも作れるのよ鍛冶師が」
鍛冶師すげえ、武器じゃなく防具も出来ると言うか裁縫出来るのか、
「勿論鍛冶師のスキルで作らない、糸から作る機織りも有るけど手間が掛かるから凄く高いけどね、鍛冶師のスキルを使うと四半刻位で出来るけど機織りだと数日掛かるわ、人手も二人要るしで、でも2色にしたり達人は絵も描けるから貴族用ってところね」
ああ、だから2色は高いのか、本当にスキルで作るのが基本の世界なんだな。
「皆、薪1つと紐を5本位ずつ持って、残りはユウが」と言われた。
「これ全部木のお守りにするの?」
「ええ、本当にリスク無しで何百個も出来るのか試しておきたいしね」
「じゃあ、折角だから銅のお守りと鉄のお守りも作ってみようか」
「……何よそれ?」とララさんが怪訝そうな顔で聞いてきた、
「いや多分だけど木のお守りの上位互換だと思うよ?」
「上位互換?より効果が高いって事?」
「うん」
「それじゃあ木のお守りが1上がって銅のお守りが2上がって鉄のお守りが3上がるって事なの?」
「いやそれは分からないよ、それを今から調べるんでしょ」
「そ、そうね、じゃあ材料は?」
銅のお守りと鉄のお守りを調べよう。
銅のお守り 銅0.2紐1 鉄のお守り 鉄0.5と出た。
「銅のお守りが銅0.2紐1で鉄のお守りが鉄0.5で出来るみたい」
「シシリーナナリー持って来て」とララさんが二人に頼んだ。
シシリーナナリーが銅と鉄を取りに行って戻ってくるまでの間ララさんが「鉄500gでパーティー能力3上がる」とかブツブツ言ってるのは聞こえない体で、
シシリーとナナリーが銅と鉄を持って来た、なんか芝刈りに行くお爺さんが持ってそうな竹で編んだ篭みたいなのを背負って持って来た。篭から大きさが疎らな銅の塊と鉄の塊が出てきた、「鉄6キロ位こっちが預かるわ」とララさんが言いシシリーからこぶし大位の塊を2つ受け取った。
残りの銅の塊5個と鉄の塊10個を受け取った。
それをアイテム欄に入れたら銅18鉄37とララさんの分を合わせて60㎏ちょい、1人30㎏以上それを苦も無く持ってくるとか、ララさんとルルさんの護衛だからな、シシリーとナナリーはレベルが高そうだ。
じゃあ生産するか、先ずは木のお守りからだ。
生産、木のお守り、個数は……1個でいいな、銅のお守りの方が良い性能だろうし紐を残してた方がいいだろう。
生産開始!カンカンカン……出来た。
「出来たよ」と言って木のお守りを手のひらに出した。
皆が驚き喜んでいる。
「鑑定」とララさんが言うとシシリーとナナリーとルルさんとリサちゃんとルーク君が「鑑定」と言い出した。ミミ―とラビとビビはそれを羨ましそうに見ていた。
「さっき渡した千円札は?」と言うと「はいどうぞ」と3人が千円札を渡して来た。
「いやそうじゃ無くて使いなよって意味」と言うと困った顔を3人がして「使う?」と言った。
「色々それを調べてみな」と言うと3人が調べだした。これで彼女達も【鑑定】を覚えるだろう、【鑑定】が有れば食べていけるだろう、これで仮にパーティー能力を振り込まないで俺が死んだとしても問題は無くなった。
さあララさんどう御満足行きましたか?
見ると物凄く残念そうなララさん、いや全員。
何があった?
ララさんが物凄く残念そうに「木のお守りは駄目だったわ」と、
何で駄目なんだ?




