この世の沙汰は表裏一体
個人的記録201X-3-10
奴らが現れ始めて何日経ったか、もうよくわからない。
役に立つかわからないが、後に続くもののために
日記を書いてみようと思う。
奴らは、何らかの病気に感染した人だ。
その何らかの病気にかかると、吐き気を及ぼすような
異形に変化しそして、徒党を組んで僕たち感染してない
人を攻撃してくる。
奴らのことをゾンビと言わないのは、奴らにかまれても
ゾンビにならないのと、映画に出てくるゾンビと違い
腐っているわけでもないし、走るし、知恵があるようで
武器をもって襲ってくる。
そのうえ農業らしいものも行い、奴らのための食糧を
生産し、それを食べる。
なぜ奴らのための食糧というのかといえば、どこから
持ち込んだのかわからないが、奴らのように吐き気を
及ぼすような奇妙な作物を畑に植え育てているからだ。
そして彼らによって汚染された土地では普通の作物が
作れなくなる。
こちらからの意思の疎通はできず、組織だって一方的
に襲ってくる。正直ゾンビよりもたちが悪い連中だ。
いまいるシェルターの食糧も残り少ない。
噂では、奴らを治療するための薬の開発を行って
いるそうだが間に合うのか?
研究レポートNo001
病気治療のためのナノマシンが最悪の結果をもたらした。
体内に常駐し、怪我をすればすぐさま止血、治療を行い、
登録されてない微生物やウイルスを排除し、老化を抑制
する画期的ナノマシンのはずが、ゾンビを生み出す最悪
のナノマシンになってしまった。
このナノマシンは人を人でないものに書き換えゾンビに
してしまいこの変化は一方通行で不可逆なため、一度感染
するとどうしようもない。
接触感染のみで空気感染しないことだけが幸いで
まだ封じ込めが成功しているがどこまで持つか・・・
個人的記録201X-4-1
なかなか時間が取れず、間が空いてしまった。
4/1だがエイプリールフールではなく朗報だ。
感染の原因の判明と感染者を直すことができる薬が
開発された。
感染の原因はどうやらナノマシンという小さな機械が
体内で暴走することが原因だそうで、感染していない
人間と感染者を比較した結果、なぜか発見された
カウンターナノマシンというものを培養したものを
注射で感染者の血管に直接打ち込めば、時間がかかる
のと、感染している間の記憶が失われるが、治療可能
らしい。これで、世界は救われるかもしれない。
研究レポートNo002
多くの犠牲の上に、カウンターナノマシンの開発に
成功した。それは朗報だが、封じ込めがもう限界に
来ているらしい。
まずは、封じ込めに協力している軍、政府関係者
から接種をはじめ、この病気の情報を開示すること
での混乱を避けるため、新型インフルエンザの
ワクチンという名目で世界中の人間に摂取させる
らしい。
これでアウトブレイクを防ぐことができれば・・・
個人的記録201X-7-2
なかなか時間が取れず、また日記が書けない。
我々人類に残された数少ない工場をフル稼働して
治療薬を封入した弾丸を大量生産し、それを使って
大規模反抗作戦を行うらしい。
俺もその作戦に参加するつもりだ。
これで世界が救われることを祈る。
研究レポートNo0XX
失敗した・・・失敗した・・・失敗した。
世界中でのカウンターナノマシンの摂取が完了
する前に封じ込めが崩壊し、感染爆発が起こって
しまった。
先進国には摂取が間に合ったがそれ以外では
間に合わず、ゾンビ対人類の総力戦になった。
情報網は分断され、正しい情報がどれか
わからないまま世界中で紛争が始まった。
不幸中の幸いは、カウンターナノマシンを
摂取さえしていればかまれても感染しない
ので、これ以上被害が広がらないことだ。
この研究所のある国はまだ持ちこたえられる。
ゾンビのナノマシンのみを破壊し、できれば
治療できる新型カウンターナノマシンを
できるだけ早く開発しないと・・・
個人的記録201X-11-2
大規模反抗作戦が実施され奴らに占領されていた
隣国を解放した。ただ風の噂では、逆に取り返さ
れてしまった国もあるようだ。
食料生産ももうボロボロで残された時間は少ない。
できる限り早く何とかしなければ・・・
研究レポートNoXXX
人をゾンビにするナノマシンの解析がようやく
終わった。恐ろしいことに、このナノマシンは
人の認識を狂わせる機能も持っているらしい。
もともとは、病気の感染を防ぐために、病気に
かかっていそうな人から無意識のうちに避ける
機能が反転し、病気が正常に見え、病気に
かかっていない人はおぞましい怪物に見える
ようだ。そして、いまさらの話だが、感染して
もその人間の意識は失われていないようだ・・・
つまりゾンビになった人ではなく、ただの病気
の人を我々は虐殺していたのだ。
どうすればいいのだろうか・・・
誰か教えてほしい。
個人的記録201Y-3-2
最終反抗作戦を実施するらしい。感染の原因の
ナノマシンは一定以上の電子パルスを浴びると
壊れることが分かったため、
我々人類に残った最後のロケット打ち上げ場の
ギニアから超大型の水爆を積み込んだロケット
を打ち上げ、成層圏で爆破し世界中のナノマシン
を一気に破壊する作戦だ。
奴らを一掃できる代わりに、地上にあるほとんど
の電子機器が破壊されるというが、滅ぶよりかは
ましらしい。
今俺たちは、電子情報にしかない技術情報や、
図面などを急ぎ紙などに移す作業に従事している。
それが終われば、最終反抗作戦のギニアで最終決戦だ。
最終反抗作戦の成功を祈る。
研究レポートNoXXX
人を治療するためのナノマシンの開発に成功した。
いやそれはもとからあったのだ・・・
暴走したナノマシンを正常に戻したものを
ただ摂取させるだけでよかった。
問題なのは、その量だ、現状は相手の体内にある
ナノマシンより多くのナノマシンでの上書きして
やる必要があり数で負けると暴走したナノマシン
に上書きされ治療できない。
この解決には時間がかかりそうだ・・・・
個人的記録201Y-7-11
これが最後の日記だ。これを読む人達すべてに
お願いだ
自分の正義が絶対に正しいとは思わないでほしい。
最終反抗作戦は、多くの犠牲の上に成功した。
そう成功はしたのだ・・・
ただ、そう我々がゾンビだったのだ。
我々がおぞましいものと言っていたものが、
感染していない人類で、我々がおぞましい
ゾンビだったのだ。
最終反抗作戦で水爆が爆発した瞬間、その
電磁パルスで世界中のナノマシンや電子機器
が崩壊した。
その瞬間、目の前でのたうち回っていた奴らが、
人間に戻った。いや我々の狂った認識が戻ったのだ。
そして我々自身がゾンビであることが正しく認識された。
ナノマシンが壊れてももう元の姿には戻らないらしい。
我々がやってきたのは、人間を殺し、ゾンビに変容させ
世界を破壊に導いていたということだ。
そして我々がコピーしていた技術情報はすべて
おかしなコピーで誰も認識できないものになっていた。
おそらくゾンビでしか認識できない情報なのであろう。
電子機器が壊れたことで、制御を離れた原子炉は暴走し、
世界中で致命的な放射能汚染が始まった。
おそらくこのままほとんどの文明は失われ、
人類は衰退するのだろう。
感染していた我々ゾンビの側の人間のほとんどは、
ナノマシンの恩恵が無くなったことで死んでいった。
私ももう長くはないだろう。
もしこの核の冬が過ぎ生き残った人類がいて、
この日記を読むことがあるのであれば、
何が正しい行いなのか、本当にやっていい行為なのか
我々の失敗を反面教師として何が正しいのか考えて
行動してほしい。




