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きっと人生が、映画ならば  作者: 人間モドキ
9/23

ビンゴ

 二千十六年、十二月三十一日、午後三時。

 赤木と木下は昨夜、警察官二人が車にはねられ、殺害された事件現場に来ていた。現場には黄色いテープが張られ、応援に駆け付けた複数のパトカーによって、道路は封鎖されていた。

「まったく、ひでぇな」

 赤木は血の跡がついた地面を見つめ、煙草をふかしながら言った。そんな赤木のもとに、木下が歩み寄ってきた。

「赤木さん、現場で煙草吸っちゃ駄目ですよ、まったく」

 木下は呆れながら言った。

「はいはい、で、どんな感じなのよ」

「酷いですよ。まったく」

「え?俺の事?」

「違いますよ。赤木さんの事じゃないです。まぁ、赤木さんの仕事に対する姿勢は酷いと思いますが」

「殴るぞ」

「冗談ですよ」

「で、酷いって何が」

「遺体ですよ。殺された警官二人の。車で引いた後に、鈍器の様な物で何度も殴られた跡があったみたいです」

「狂ってやがるな」

「まったくです。やはり、やったのは橘でしょうか?」

「いや、まだ断言はできないだろ。そうだ、調べるように頼んだやつ。どうだった?」

「ああ、赤木さんの言う通り、接点が見つかりました。でも、何故あんな事を調べさせたんですか?」

「長年刑事をやってるとな・・。おっと、刑事ドラマのベテラン刑事みたいなサブイ事言いそうになった。危ない危ない」

「それと、もう一つご報告が」

 一人つっこみをしている赤木の話を無視して、木下は話を続けた。

「なんだ?」

 少し寂しそうな顔をして赤木は言った。

「昨夜、この道沿いにある食堂から百十番通報がありまして、何でも、お客同士で揉め事があったと」

「なんだそりゃ、橘の件と何か関係がありそうなのか?」

「うーん、それはちょっとわかりかねるんですか、何でも、食事をしていた男が急にヤクザ風の男二人にラーメンをぶちまけたり、腹をフォークで刺したり、滅茶苦茶だったみたいですよ。ちなみにその三人の男達は無銭飲食で逃げたみたいです。あと、調味料が盗まれたとかなんとか」

「ますます訳が分からねぇな」

 赤木は困り顔で言った。

 赤木がそんな事を喋っていると、赤木の視線の先に、一台の車が奥の道を走ってるのが見えた。それを見た途端、赤木は表情が変わり、慌てて、自分の車に走って行った。

「ちょっと!赤木さん、どこ行くんですか!」

 木下は慌てて赤木を追いかけた。赤木は運転席に座り、木下は助手席に座った。

「まったく、何も言わずに、行動するその癖良くないですよ」

 木下は息を切らせながら言った。

「おいおいおいおい、まさかとは思ったが、こいつぁ、ビンゴみたいだ」

 赤木はしたり顔で言った。赤木はそのまま車のエンジンをかけた。

「ビンゴって。なにがですが!僕にも教えてくださいよ」

「いや、俺にも詳しいことはわからん。奴に直接聞いた方が早そうだぜ」

 赤木はそう言うと、車を走らせた。

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