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きっと人生が、映画ならば  作者: 人間モドキ
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木場武志

 二千十六年、十二月三十日。

 都内のワンルームマンションで一人暮らしをしている木場武志は携帯アラームの音で目が覚めた。時間を見ると朝の六時だった。木場は社会人になってから、仕事のない日に、こんなに早く起きるのは久しぶりだった。

 木場はオフィス用品の営業の仕事をしていた。仕事はとても忙しく、月の残業時間は八十時間を超える月もあった。

 ノルマにも日々追われており、精神的に休まる時は、夏季休暇と年末年始の休暇くらいであった。

 休みの日だろうが構わず、会社から電話が掛かってくる事もしょっちゅうであった。

 木場は今年二十五歳の誕生日を迎えた。木場は二十歳を超えた頃から、年をとるのが、嬉しくなくなっていた。

 木場が小さい頃は、誕生日には決まって家族が誕生日プレゼントやケーキでお祝いしてくれたり、学生の時には、友人がサプライズで祝ってくれたりなど、わくわくすることが沢山あったが、社会人になってからの誕生日は一人暮らしの自宅で、一人寂しく映画を観ているか、仕事をしているかのどちらかであった。

 楽しかった学生時代が終わった木場は、残りの人生は消化試合の様な気がしてならなかった。

「どうせ、自分達が老人になる頃には年金も貰えないだろうし、貰えたとしても、雀の涙だろうね」

 木場と同年代くらいの人達と喋る時の内容はこんな話題ばかりであった。嫌でも聞こえてくる日本の未来の暗い話題に木場はうんざりしていた。

 そんな木場の日々の癒しは、休日にする映画鑑賞だった。学生時代にレンタルビデオ屋でアルバイトしていた木場は映画が大好きになった。

 木場は休日にレンタルビデオ屋で映画を四、五本借りては、家でお酒を飲みながら映画を観る時間が至福の時であった。木場が学生の頃から、恐らく年間で百本近くは鑑賞していた。

 木場は悩んだ時や、失恋して酷く落ち込んだ時にも、映画を観た。木場がそんな時に立ち直る術を教えてくれるのも映画であった。

 木場は友達と映画館に行くのも好きだった。特に夜遅くにレイトショーで観に行った時の映画館の閑散とした雰囲気が好きであった。

 木場が映画好きというのは周囲に周知されていたということもあり、木場はよく友人達にお勧めの映画を聞かれていた。

「どんな映画が好き?」

 木場は決まって、聞いて来る友人達にそう質問をし返した。

 それによって、お勧めの映画を木場なりに考える為だ。

 木場はそうして友人に映画を紹介し、後日感想を聞くのが好きであった。自分が好きな映画を友人にも好んでもらえると、木場は自分が作ったわけではないのにも関わらず、この上なく嬉しかった。

 木場にとって、好きな映画は自分の一部だと思っていた。自分の今の性格は、今まで観てきた映画たちによる影響が極めて大きいと考えていたからだ。


 毎日のように朝まで飲み明かしていた学生時代に木場はとても戻りたいと思っていた。

 木場は大学生時代の友達たちとは特に仲が良く、社会人になった今でも、たまに飲みに行っていた。

今日は大学時代の仲間と久しぶりに集まって遊園地に行くことになっていた。

先日、大学時代に仲の良かった五人組で飲み会をした際に、仲間の一人の桜庭明日香が遊園地に行きたいと騒ぎ出したのが原因だった。

明日香は金髪ロングヘアーで顔立ちは色白の美人だが、一度、我儘が始まると止まらなかった。五人で飲み会をする時や、どこかに旅行に行く時は大体明日香が「やりたい。行きたい」と言いだした時だ。

 明日香は五人組の中ではマドンナ的存在であった。いつも話題の中心にいた。金髪という見た目から、明日香の性格を知らない周囲の人たちは、明日香の事を性格がきつそうなギャルと決めつけていた。

 明日香はそれが大嫌いであった。なので、彼女自身は人を見た目では判断せず、人の内面の良い部分は見つけてあげられる、とても心優しい女性であった。

 しかし、そんな温厚な性格だけではなく、嫌な事は嫌、好きな事は好き、とてもはっきりした女性でもあった。

 だが彼女のその自由奔放さが、仲間である木場含めた四人は嫌いじゃなかった。明日香は現在アパレル関係の接客の仕事をしている。その持ち前の明るさから、日々の売り上げは結構良いらしい。

 ふと、木場がテレビに目をやると、ニュースがやっていた。どうやらつけっぱなしで寝てしまったらしい。

「都内各地で発生している連続失踪事件で新しい情報がわかりました。警察が発表した情報によると、現在行方がわかっていない村本秀樹さん、川口昇さん、内山達彦さん、ですが、いずれの方も一年前に起きた・・・」

 木場は歯を磨きながらニュースを聞いていた。その時、木場の携帯電話に着信が入った。 画面を見ると山田勝平からだった。今日遊園地に行く五人組の一人だ。

「もひもひ」

 木場は口に歯ブラシを銜えながら電話に出た。

「あっ、木場ちゃん?勝平だよ。木場ちゃん朝苦手だからちゃんと起きてるか心配になってさ。起きてるなら安心したよ」

「お前は彼女か。大丈夫だよ、ちゃんと起きてますよ。ありがとよ」

「うん、あっ、それと木場ちゃん、この前、携帯電話新しいのに代えたって言ってたけど、番号は変わっていないんだね」

「そうそう、店員さんに聞いたら番号は変える必要はないんだって。しかもこのスマホ凄いんだぜ。なんと防水機能付き!お風呂場でもいじれるんだって。凄いだろ」

 木場は自慢げに言ったが、勝平は興味がなさそうだった。

「防水機能なんて別にいらないでしょ。まぁ、とにかく起きてるなら良かった。じゃあ、また後でね」

 勝平はそれだけ言うと電話を切った。

 山田勝平は体重百キロを超える超巨漢だ。そんな見た目だが、どんな相手にも優しい態度で接し、仲間思いな良い奴だ。そして極度の心配性でもあった。

 勝平は現在、福祉関係の仕事をしていた。持ち前の優しさから、勝平が担当している老人達からも、とても好かれているらしい。

 しかし、勝平は食事の事になると、目の色が変わる。一緒に食事に行き、メニューを見る時の勝平の目つきは、獲物を狙うハンターのそれであった。

 以前、こんな事があった。木場は勝平と一緒にステーキを食べに行き、店員が勝平に先に注文を聞くと、勝平は二人分の料理を頼んだ。勝平は注文に迷った時、食べたい物を全部頼むという癖があった。木場はそれを分かっていたが、店員は勝平が一緒にいた木場の分の注文も頼んだと勘違いし、店員はそのまま木場には注文を聞かず、厨房に行ってしまうという事があった。

 木場が口をゆすいでいると、また携帯電話が鳴った。

 木場はまた勝平かと思ったが、今度は海村竜司だ。竜司も仲の良い五人組の一人であった。

 竜司は身長が仲間の中では一番高く、大学時代はアメリカンフットボールをやっていたこともあり、体系はかなりガッチリしている。顔はしゃくれた顎がなければ、まぁまぁハンサムだった。竜司は体育会系で鍛えられたリーダーシップがあり、五人組の中ではリーダー的存在だった。

 竜司は現在、木場と同じく営業職で働いている。どうやら医療機器関係の営業らしい。竜司は声も大きく、ハキハキとしているので、取引先の人達から、かなり気に入られているというのも納得だ。

 何故か、五人組の中で竜司だけが木場を下の名前で呼んだ。木場が電話に出るなり、竜司は大きな声で言った。

「よう!武志!起きてっか!この野郎!」

 あまりに大きな声に木場武志は耳鳴りしていた。

「朝からうるせぇよ。起きてる起きてる。てか、さっき勝平からも電話来たから、お前で二人目だよ。どんだけ皆、俺が寝坊してると思ってるんだよ」

 木場は面倒くさそうに返事した。

「はっはっはっは。お前は朝弱いからなぁ。てことは、順番的に次は奈々か明日香から電話来るんじゃないか?じゃあ、また後でな」

 そう言うと海村竜司は一方的に電話を切った。木場はなんて勝手な奴だと思いつつも、竜司の優しさと不器用さに少し笑いそうになった。木場は出かける支度を終え、携帯電話で五人組のグループチャットに「起きてる。電話不要」と送った。

 木場が待ち合わせの駅に着くと、他の四人は既に集まっていた。今日は海村竜司の車で向かう予定なので、車の前に四人全員集まっていた。

「あっ、木場ちゃん、やっと来た。朝ごはん食べた?」

 秋元奈々が心配そうに尋ねてきた。秋元奈々の長く伸びた黒い髪は風に吹かれて乱れていた。秋元奈々は五人組の中では一番のしっかり者だ。しかし、時折彼女の発する言葉には、するどい毒を感じることもあった。

 奈々は現在、税理関係の会社で事務職をしていた。奈々の思考はとても冷静で、現実的であった。最近の口癖は主に「早く結婚したい」であった。

「まだ食べてないよ。みんなは?」

 木場が尋ねると、桜庭明日香が答えた。

「今ちょうど皆、そこのコンビニで買ってきたから、木場ちゃんも行ってきなよ」

「ああ、そうなんだ」

 木場はコンビニに向かった。木場はコンビニでサンドウィッチとコーラを買って、竜司の車に乗り込んだ。

 助手席には奈々が、これから向かう遊園地のガイドブックみたいな物とにらめっこをして、すでに座っていたので木場は後方の席に座った。

「新しくできたアトラクション楽しみ!」

 明日香はクリスマスの日の子供のようにはしゃいでいた。横に座っている勝平のお腹を思いっきりつまみ、喜びを表現している。

「痛いよ明日香。それにしても大学を卒業してから、もう三年も経つのかぁ。昔はよく、みんなで出かけたりしてたけど、飲み会じゃなくて、こうやってみんなで遊びに行くのはかなり久しぶりだね」

「みんな仕事忙しそうだもんなぁ。武志なんか、ほとんど休みとれないんだろ?大変だよな」

 竜司が車のエンジンをかけながら言った。

「まぁ年末年始こうやって休みもらえるだけありがたいよ。明日香なんかはサービス業なのに、よく休みとれたね?」

「店長に駄々こねまくったからね!休みくれなきゃ、辞めてやるって騒いだら、すんなりオッケーだってさ」

「ははは。明日香らしいな」

 車が動き出したところで明日香が大きな声で叫んだ。

「よーし、今日は普段の仕事のことは忘れて楽しもう!出発!」

「ちなみに片道かかる時間どんくらい?」

 勝平はそう言いながら、さっそくポテトチップスの袋を開けていた。

「ここからなら、一時間もしないうちに着くよ。奈々、なにか音楽かけてくれ」

 竜司がそう言うと、と奈々はぶつくさ言いながら、自分の携帯をステレオに繋ぎ、音楽をかけた。

「あっ!奈々!音楽かけるなら僕の携帯でかけて!」

「やだ!めんどくさい!」

 勝平の言葉を奈々は一掃した。

「あっ明日香!僕のポテチ、勝手に食べた!」

 車内は早くもお祭り状態だった。木場は懐かしいこの雰囲気に安心していた。海村竜司の運転する車は遊園地へと向かい動き出した。

「そういえば、木場ちゃんってまだ仕事続けてるの?」

 木場武志が今一番聞かれたくない質問をしたのは明日香だった。木場はサンドウィッチを頬張りながら答えた。

「まだ続けてるよ。一応ね」

 すると竜司が続けた。

「上司のパワハラ凄いんだってさ」

「馬鹿。言うなよ」

 木場はそう言いながら竜司に空き缶を投げつけた。

 確かに木場は、現在の職場で上司からのパワハラに悩んでいた。きっかけは些細なことだった。

 上司の指示に誤りがあった為、木場が意見したのが始まりだった。元々、その上司にあまり気に入られていなかったこともあり、それからというもの、上司に仕事と関係のないことで責められたり、無視されたりした。

 木場は最初、ショックよりも驚きのほうが大きかった。こんな事、木場は子供がすることだと思っていたからだ。

 しかし、木場は思った。社会に出ている大人も、意外と子供とやっていることは変わらないのだ。社会に出るというのは、そういう大人達とも付き合っていくことなのだろうと木場は思った。

「おい、運転中だぞ」

 竜司は子供をしかりつけるように言った。皆がケラケラ笑う中、奈々だけが真剣な顔で言った。

「木場ちゃんがパワハラ受けて悩んでるなんて、昔じゃ考えられなかったよね。学生の時は尖った性格で、誰に対しても思った事は言ってたし、信念は曲げない性格だったじゃん。上司に反抗したりしないの?」

「まぁ仕事だし、学生の時みたいにはいかないよ。どんなに糞野郎でも上司だしさ。最初の頃はよく反抗してたけど、上司から嫌われてもなんも良いことないんだよね。損するだけっていうか。ますます俺に対する態度が悪化していって、仕事がやりにくくなるだけなんだよね。それに気づいてからは、上司の機嫌とるのも仕事だって気づいたよ」

 木場はつい喋り過ぎてしまったと思った。皆で楽しく遊びに行っているのに、雰囲気を盛り下げるような発言をしてしまったことを後悔していた。

 それに気を使ってくれたのは明日香だった。

「それ凄いわかる。うちの上司も嫌味ばっかり言ってくるからさ。そんなんだから、頭の毛がどんどん薄くなっていくんだっつーの」

「それ頭のハゲは関係なくない?」

 すかさず勝平がつっこむと車内は和やかな雰囲気を取り戻した。木場はよく、仕事の悩みの相談を、この四人にしていた。

 他の人達には相談できなかったが、この四人には何故か、木場は相談できた。木場は四人が自分の中の黒い部分を浄化してくれる気がしていた。だからこそ、この四人にだけは心を許せた。

「ほら、武志って昔から頭良かったじゃん。だからその上司は武志に嫉妬してるんじゃない?」

 竜司が運転しながら言った。

「いやいや、全然頭良くないから」

 木場は謙虚にそう言った。

「まぁ、勉強もそうだけど、武志は頭の回転が早いじゃん。周りの人間が何を考えてるか、いつも察してあげてるし。俺はそういう意味ではお前は天才だと思ってるよ」

 木場は竜司がそんな事を恥ずかしげもなく言えることに感心していた。

「あっそれ少しわかるかも。木場ちゃんって口悪いようにみえて、意外と場の空気とか読んでるよね。IQ高そう」

 奈々も急に乗っかってきた。

「いやいや、気のせいだから。天才なんて言われたことないし」

 木場がそう言うとすかさず竜司が返した。

「あのね。俺の持論では天才は天才にしか評価されないんだよ。まぁ、だから、その上司は無能で、俺が天才ってこと。知ってた?IQが二十違うと会話が成り立たないんだって!」

 竜司はおちゃらけてはいるが、本当は元気づけようとしてくれているんだなと、木場は思った。竜司は昔から、人をさりげなく励ますのが得意で、木場は竜司のそんな性格が大好きであった。

「はぁ?竜司が天才なら私も天才だから!引っ込んどけ、しゃくれ野郎!」

 明日香が声を上げた。そのまま勝平と奈々が続いた。

「じゃあ木場ちゃんの良さは僕もわかってるから僕も天才!」

「私も!」

「おう、武志。みんなに愛されてるな。俺の次に」

 竜司が木場の顔を見て言った。

「そんな事で落ち込むな」

 そう言ってる様に木場には見えた。すると、急に奈々が何か思い出したのか、急に声を上げた。

「そうだ!そうえば勝平。前に会った時にダイエットするって言ってたけど、ポテチ食べてるじゃん。駄目じゃん!」

 急に言われた勝平は動揺していた。

「い、いやちゃんとやったんだよ?実際、夜ご飯とか抑えてたし、それで二キロ近く落としたんだから!」

「本当かよ?後で体重計買うからな」

 そう言った奈々の目つきが完全に刑事のそれになっていた。

「おいおいおい、確かに僕は太ってるけど、でも、誰にも迷惑はかけてないだろ?」

 勝平はポテチを食べながら言った。

「おいデブ!ポテチ食いながら言うなや!」

 竜司が言うと奈々が続いた。

「あんたねぇ。本当にそんな事ばっかり言ってると、早死にしちゃうよ?親より長く生きることが、親にできる最大の親孝行なの!わかる?」

「うん、まぁそうだけどさぁ、やっぱり一回きりの人生だし、好きな物食べて死んだほうが良くない?」

 そう言った勝平は悪びれる様子がない。奈々は呆れ顔で「あほ」と言った。すると、明日香が続けて言った。

「まぁでも確かに私も細く長くより、太く短く生きたほうがいいかなぁ。年取って病気と

かになって、介護されてまで生きるのって辛くない?私は若くて綺麗なうちにサクッと死にたいな」

 木場は明日香らしいなと思った。明日香は木場に話を振ってきた。

「木場ちゃんは?」

「うーん、俺は映画みたいな感じで死にたいかな。さくっと」

「なにそれ、どゆこと?」

 勝平が不思議そうに尋ねた。

「映画ってさ、二時間くらいの間に、とんでもなくドラマティックな事が起こるじゃん。凄い燃えるような恋愛をしたり、世界を滅ぼそうとしてる悪の組織と戦ったりさ。あんな事って、人生で一回あるかどうかだと思うんだけど、あんな体験をした映画の主人公ってエンディングの時には人生に後悔ってないと思うんだよね。燃え尽きたって感じでさ。そんな体験した後の地味な人生って退屈そうじゃない?それならハッピーエンドで、俺もう死んでもいいって状態で死にたいかな」

 しばらく皆静まり返っていた。完全に誰も共感していないようだった。やってしまった。木場はそう思った。すると竜司が冷たく言い放った。

「お前やっぱり変な奴だな」

「ていうか変態だね」

「変だね」

「映画の観過ぎ」

 木場は四人全員から見事に否定された。こんなにも共感を得られないことに、木場は驚いた。

「酷い言われようだな」

 木場はあまりの言われっぷりに、笑いながら言った。

 すると、勝平が車窓から外を眺めながら言った。

「なんかさ、今日パトカー多くない?何かあったのかな?」

 その質問に答えたのは奈々だった。

「ああ、そういえば、今日のニュースでやってたよ。最近、この辺で三人行方不明になってる事件あったじゃん。あれ誰かが誘拐したらしいよ。誘拐した犯人の証拠が見つかったとかで、その犯人は指名手配になって、公開捜査だって言ってたよ。多分それじゃない?」

 木場以外の三人は、普段、ニュースを見ていないのか「へぇ」とだけ相槌を打った。

「ああ、なんか今朝、そんなニュースやってたなぁ。ちゃんとは観てないけど」

 木場がそういうと奈々は呆れながら言った。

「ちょっと、あんた達、もういい大人なんだからニュースくらい観ないさよ」

 他の四人はぐうの音も出なかった。

「でもまだ捕まってないんでしょ?なんか怖いね」

 勝平が不安そうに言った。

「日本の警察は有能だし、すぐ捕まるだろ。おっ、そろそろ着くぞー」

 竜司は冷静にそう言うと、車を駐車場に向けて走らせた。五人は駐車場に着き、遊園地へと足を運んで行った。

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