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きっと人生が、映画ならば  作者: 人間モドキ
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スタンド・バイ・ミー

二千十七年、一月一日、早朝。

 木場は長い取り調べが終わり、ようやく解放されていた。

 木場が警察署を出ると、朝日が眩しく、輝いていた。

 警察署の前には木場より先に解放されていた、竜司、明日香、勝平、奈々の四人が木場を待っていた。

 取調は五人それぞれ別の取調室で行われていたので、四人の顔を見た木場は、思わず安心感からか、笑ってしまった。

「よう、武志。あけましておめでとう」

 竜司がいたずらな笑顔で言った。

「ああ、そっか!あけましておめでとう」

 木場は今日が元旦だという事を、すっかり忘れていた。

「大変だったね」

 奈々が疲れ切った表情で言った。

「うん、みんな無事で良かった」

 明日香が言うと勝平がつっこんだ。

「いや、一番危なかったの、明日香だからね?」

 勝平のつっこみに五人は笑い合った。

「なんか安心したら、お腹空いちゃった!ねぇ、何か食べに行かない?」

 明日香の提案に皆、賛成だった。

「俺、肉がいいな」

「いや寿司でしょ!」

 そんなたわいもない会話をしながら、五人は警察の人が運んできてくれた車に乗り込んだ。

「そうえば、武志さ」

 運転席に座った竜司が、助手席に座った木場に話しかけた。

「どうした?」

「遊園地行く前に車の中でした会話覚えてる?」

「なんかしたっけ?」

「ほら、武志、言ってたじゃん。映画みたいな死に方がしたいって。色々大変だったけど、まさにこの三日間ぐらい映画みたいな体験だったろ?今はみんな無事で、映画はめでたくハッピーエンドだ。武志は今、死にたいとか思ってるのか?」

 そう言われた木場は少し考え込んで、冗談っぽく答えた。

「んー、いや、思わないなぁ。エンドロールの後の地味な人生も、頑張って生きてみるよ」

 それを聞いた竜司は満足そうな顔をした。

「そうか、そいつは良かった」

 竜司が車のエンジンをかけると、後部座席に座っていた明日香が竜司に話しかけた。

「なに?なんの話してたの?」

「いや、何でもないよ」

 竜司がそう言うと、明日香は後ろでブーブー文句を言っていた。

「よっし、行くぞー」

 竜司の掛け声とともに、車は動き出し、木場達の乗った車は木場達の住む街へと向かった。

 食事は結局、明日香の希望が通り、寿司になった。五人は寿司を食べた後、待ち合わせした駅へと向かい、そこで別れることになった。

「じゃあ、また集まろうね」

 明日香はあんな事件に巻き込まれたにもかかわらず、いつも通りの様に別れを切り出した。

「うん、そうだね。また近いうちに」

 勝平が少し寂しそうにいった。

「なんかさ、この別れ方、スタンド・バイ・ミーっていう映画のラストシーンみたいだ」

 木場がそう言うと、奈々が笑って言った。

「出た!映画オタク!その映画見てないから分からないよ」

「ええ?あのスティーヴン・キングの有名な映画だよ?」

 木場が驚いて言うと、明日香が反応した。

「あっ!あの曲が有名なやつでしょ!映画は観てないけど!」

「おいおい、皆、あれは絶対観た方がいいよ。名作だから」

 木場は悲しそうに言った。

「じゃあ、今度会うまでに観とく」

 勝平が木場の肩に手を置いて言った。

「じゃあ、皆、元気でな」

 竜司のその一言で五人は解散した。

 五人はそれぞれの元の日常へと戻って行った。

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