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第二話

 ダイヤの後を追うと、彼は既に宴に溶け込んでいた。

「おせーぞ、エマス!」

「ダイヤがはやすぎるんだよ。ちょっとは落ち着きを持つべきじゃないか?」

「エマス、兄貴のダイヤに文句つけるのかー?俺が黙っちゃいないぞー」

「そーだぞー!俺も黙っちゃいないぞー!」

 ダイヤのように岩の体を持つ二人組がそう言って俺に絡んでくる。彼らはルビーとガネト。ダイヤも含めて岩でできた彼らは、岩石型人形ストーノイドと呼ばれる型のゴーレムだ。

 正直言うとこうなったこの二人は面倒くさい。なぜただの石を食べるだけでここまで酔ったような状態になるのだろう。そう思っていると二人の頭に金属が降ってきた。大きく陥没する二人の頭をその金属が指を開いて、つかむ。その腕(金属製)の持ち主が俺に向かって優しく問いかけた。

「あぶないだろ、ルビー、ガネト!・・・大丈夫か、ダイヤ?」

「ああ。ありがとう、シルヴァ」

「弟を叱るのも守るのも兄の役目だからな。ゴルド兄さん、このアホどもを頼む。」

「・・・OKだ」

「ゴルドもありがとう。その二人も乱暴に扱わないでほしい」

「・・・優しいな、お前は」

「そういわれちゃこれ以上手は出せないな。兄さん、その辺置いといて」

 そう言ったシルヴァにルビーたちをそっと置いたゴルド、そしてさっき会ったプラチナは、金属型人形アイアノイドと呼ばれる金属類でできたゴーレムだ。ごつごつとした岩石型人形ストーノイドと違って、キラキラ、スベスベした体をしている。

 ルビーたちの処理が終わったら、ゴルドたちと食事することになった。といっても、摂取するものは人間たちに渡さなかった鉱石である。ダイヤもまだまだ食べるようで、こちらに混ざってきた。

「そういえば、トパーとカーパーがいないね?」

ふと、俺はここにいない岩石型人形ストーノイド金属型人形アイアノイド二機組ふたりぐみについて質問する。

「あの二人なら、まだ仕事してるんじゃねぇのか?」

「鉱石運びを終わらせて、今は周りを警備しにいったよ。」

「・・・勤勉だが、無意味だな」

「もしも、って考えは大事だぜ、ゴルドよぉ」

「俺たちもそのおかげで楽できてるからね」

「もっとも、彼らがやらなかったとしてもエマスにやらせるくらいなら私たちがやっているよ。」

「ちげぇねえ。エマスには任せねぇな」

「・・・同感。エマスに無茶はさせない」

「またそうやって過保護こじらせてる。俺にだって警備くらいできるさ!」

「俺らが過保護だからやらせないわけでも、お前ができないからやらせないわけでもねぇよ。それは俺たちの仕事で、お前の仕事じゃねぇってことよ」

「私たちは『ラビ』に君の守護を頼まれてるからね。君のリスクは極力避けて当然だよ」

「・・・『ラビ』の言葉。エマスも覚えているだろう?」

「・・・・・・ああ」


『エマス、君はゴーレムにとっても、人々にとっても大切な存在なんだよ』


 『ラビ』。俺たちゴーレムの生みの親。直接言葉を聞くどころか会った記憶もない存在だが、兄である皆がしきりに俺に話してくるので覚えてしまった彼の言葉。それを思い出すと、色あせることのない記憶の彼方から、この世界に来てしまった頃のことが現れた。

次回、エマスの過去。


更新は10/21 10:00の予定です。

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