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第5話

Another Story

  綾野 祐介

第5話


 結城良彦は早速教えられた講師控え室に綾

野という講師を訪ねてみた。意に反してそこ

には岡本浩太は不在のようだったが、当の綾

野本人は在室していた。


「すいません、綾野先生ですか?」


「そうですけど、あなたは?」


 結城は身分と訪ねた目的を手短に話した。


「それで岡本浩太に話を聞こうと云う訳です

ね。それは枷村君に担がれましたね。岡本君

は枷村君からその話を聞かされたと云ってい

ましたけど全然心当たりがない、とぼやいて

いましたから。」


「そうですか、でもあの場所で何かが起こっ

たことは確かなようなのですが。不自然な穴

も空いてましたから。」


「不自然な穴?」


「ええ、湖岸に近いところに結構大きな穴が

空いていました。何かの儀式が行われたよう

な祭壇らしきものもありました。」


「危ないな、まだ埋めてなかったのか。」


「えっ、今まだって仰いました?」


 結城は綾野の呟きを聞き逃さなかった。


「いっいや、危ないなと云っただけですよ。」


「確かにまだ、と仰いましたよ、綾野先生、

あなたもあの場所に行ったことがあるのです

ね。」


 綾野はあからさまに「しまった」という顔

になった。記事にしないというのなら、とい

う前置きが普通付くのだが、綾野は別の条件

を出した。二度とこの件に関わらない、とい

うのなら話してくれる、と言うのだった。


「それはどういう意味ですか。」


「あなたのためを思って、という意味です。

あなたも自分の身は大切でしょうから。」


「何かの危険があると?」


「お話しするにはリスクがある、ということ

ですよ。」


「私は新聞記者ですよ、取材にはリスクは付

き物です。そんな話ならぜひお話いただけま

せんか。」


 綾野の思惑は外れた。新聞記者がそんなネ

タを逃す筈はないからだ。


「ただ、私の話の前に、そうですね、これと

これと、それからこれぐらいかな、この程度

の本を読んで予備知識を得てからきてくださ

い。それが最低条件です。」


 綾野が差し出したのは数冊の古ぼけた本だ

った。


「それが条件でしたら、これを読めばすぐに

話して下さるのですね。」


「いえもうひとつ、この本を読んでその内容

を信じられたらお話します。」


 どうしても譲れない、綾野の表情はそう物

語っていた。結城良彦は仕方なしに数冊の本

を手にその場を後にした。

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