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第25話

Another Story

  綾野 祐介

第25話


「ここで一体何をしているんですか?」


 単純な疑問として浩太が問いかけた。


「私はここで何もしていないのだよ。ただ毎

日何かの検査を受け続けているだけだ。それ

が人類の役に立つのではないかという思いで

ね。私が外界に普通に暮らしていくのは無理

があるんじゃないかと思うんだよ。元々ナイ

アルラトホテップの血を引いていることは何

か覚醒でもしないかぎり問題はないのだろう

けど、それにツァトゥグアの遺伝子が加算さ

れたとき、どんな反応が現れるのか、想像も

つかないからね。でも浩太に同じことを強要

するつもりはない。お前はツァトゥグアに取

り込まれただけだから、問題ないと思われる

からね。但し、アーカム財団の監視は一生続

くだろうが。」


「監視?」


「そうさ、気が付いていないだろうが、ずっ

と監視は付いている。私はその監視に気がつ

いて自らここに閉じこもる決心をしたんだが

ね。」


「それならそうと一言仰ってからにしてもら

えればこんな苦労は。」


「それは申し訳なかった。ただお前の人生に

足枷をしたくなかったんだよ。」


 話を聞いていた恩田が口を挟んだ。


「綾野先生、どうです?、この際この桂田君

と一緒に私の研究室に来られませんか?」


「恩田先生のところへ?」


「そうです。ここは余りにも閉鎖されすぎて

いる。それに原因は綾野先生の所為ではない

でしょう。なら一人で犠牲になる必要はない

と思いますよ。何か問題が発生した時には、

みんなで支えてみんなで解決して行くべきで

す。」


 なぜか恩田はいつになく強い口調で綾野に

詰め寄った。


「そうですよ、先生一人じゃなく、僕も桂田

もそれほど違う境遇じゃないんですから。と

りあえずここは出ましょう。ここに居たら身

体より先に精神の方が参ってしまいますよ。」


 各々に説得されて綾野は研究所を出る決心

をしたのだった。


「しかし出ると言っても問題はここの所長の

許可だな。かなり熱心に私の身体を調べてい

るから手放さないんじゃないかな?」


「それは、私の方から正式に手続きでもしま

しょう。」


「ではよろしくお願いします、恩田先生。そ

れにしても、よくここまで入ってこれたね、

多分ここに私が居ることは極秘扱いになって

いるから普通に聞いても答えてくれないだろ

うし、案内もなしにここまで入れることも考

えられないんだが。」


 当然の疑問だった。


「セキュリティは桂田がなんとかしてくれた

んです。」


「桂田君が?ここのセキュリティは万全のは

ずなんだがね。何かツァトゥグアに取り込ま

れたことと関係あるのかな。私や浩太にもそ

んなことができるんだろうか?」


「そういったことも含めて、うちで研究させ

て貰えると。」


 恩田の眼は輝いていた。しかしそれは一研

究者の眼ではなかった。


「ここで一体何をしているのかな?」


 突然部屋のドアのところから声がした。


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