CHAPTER1 PART5
「着いたよ」
ヤマネに手を引かれしばらく歩くと、大きな家がある場所にきた。
その家の広い庭の中心には、大きな長テーブルといくつかのイスがある。
さらに歩くと、テーブルの上がごちゃごちゃしているのが見えた。
たくさんの食器にたくさんの食べ物。
(言ってはいけないかもしれないけど…汚いわ…)
「ヤマネ、おかえりなさい」
呆気にとられて固まっていると、声が聞こえた。
声のした方を見ると、
(わぁ…)
オレンジ色の癖のある髪で、帽子を被って右目に眼帯をつけた、かっこいい人がイスに座っていた。
その近くには、茶色の髪と茶色のうさ耳をした男の人が座っている。
(この人たちは、ヤマネの知り合い…?)
「あの、初めまして。
あたし、アリスといいます」
お辞儀をしながら言うと、オレンジ色の髪の人はニコッと笑った。
「ご丁寧にどうも。
私は帽子屋。
マッドハッターとも呼ばれますが、お好きにどうぞ」
(帽子屋さんっていうのね…)
「俺は三月うさぎ」
ポーッと見とれていると、茶色の髪をした人が、食べ物を食べながらそう言った。
(こっちは三月うさぎさんね)
ふむふむとみんなの名前を覚えながら、もう一度テーブルを見ると、いくつかのケーキが目に入った。
「ねぇヤマネ。
今は何かパーティーをしているの?」
気になって聞いてみた。
「うん」
「何のパーティー?」
「何でもない日のパーティー」
(何でもない日のパーティー?)
ポカンとしていると、帽子屋さんが口を挟む。
「ヤマネ。
その子が来たので、既に何でもない日ではないですよ」
あぁそっか、と、ヤマネは納得する。
「さぁ。
もうパーティーは終わりにしますよ」
帽子屋さんがそう言い、みんなが家に入っていって、どうしようかと佇んでいると、
「あなたもどうぞ。
どうせ行くところがないのでしょう」
と、帽子屋さんに声をかけてもらったので、喜んで家に入った。




